遂に真打ちが登場!NISSAN GT-R「SpecV」、驚愕パフォーマンスの秘密を全解剖!
遂に真打ち”Vスペ”が登場!優秀な経営者にして生粋の“カー・ガイ”、カルロス・ゴーン率いる日産自動車は、デビュー以来圧倒的パフォーマンスで世界中を震撼し続けている『GT-R』をさらに進化させたスペシャル・モデルGT-R「SpecV」を2月2日より発売する!この記事では、明かされたGT-R「SpecV」の車体ディティールに迫り、驚愕パフォーマンスの秘密を全解剖したい。
1.エンジン
もともと最高出力485ps/6400rpm、最大トルク60.0kg·m/3,200 - 5,200rpmという圧倒的なスペックを誇るVR38DETT型3.8リッターV6ツインターボエンジンを搭載し、0-100km加速3.8秒という凄まじいダイナマイト加速のパフォーマンスを持っていたGT-Rだが、「SpecV」バージョンのエンジンはカタログを飾る数字の追求ではなく、“中速トルク”の目覚ましい向上にある。
かねてよりこのエンジン、そのトルク特性には目を見張るものがあったが、ここに来て水野和敏氏率いるGT-R開発チームは、ターボチャージャーの過給圧を一時的に高める「ハイギヤードブースト」のシステムを導入した。スポーツ走行愛好者ならばわかると思うが、一段上のギアで飛び込んだコーナーからの立ち上がりに最も必要とされるのが、“中速トルク”だ。GT-R「SpecV」では「ハイギヤードブースト」のスイッチをプッシュすると、3500~5000rpmの中速域でより強大なトルクが発生し、それがトップエンド手前まで伸びる。上り坂だろうが、タイトベンドの直後だろうが、GT-R「SpecV」は思うがままの加速が、たちどころに得られることになったのだ!水野氏らしい渋いチューニングだ。
2.ボディ
まず挙げるべきハイライトはカーボンパーツの追加だ。ブレーキ冷却孔が設けられたフロントウィング、そしてリアウィングもカーボン化される。そしてリアシートは省略化され、全体で約60kgものシェイプ・アップに成功している。もともと重量物は車軸下に集中しているため、GT-Rの重量はグリップ向上に寄与するのみでネガティヴな要素を持たなかったが、このGT-R「SpecV」では、さらに無駄な要素が削ぎ落とされ、徹底的に重量配分が最適化されている。水野氏はかつて「これは車重を的確なトラクションを得るために使うまったく新しい考え方のスポーツカーなんだ」と語った事があったが、GT-Rを一度でもドライブさせたことがあるドライバーならば、それはまさにその通りと頷ける点で、VR38DETTのパワーを軽量級ボディになんかのせたら、それこそF1のような空力付加物がない限り、手の負えないじゃじゃ馬になる。車重をポジティブに活用した巧みなエンジニアリングだ。
3.足回り(タイヤ、ホイール&サスペンション)
まずホイールが、レイズ社製SpecV専用軽量ホイールに換装されたことを挙げたい。バネ下重量をこの鍛造ホイールが軽くしてくれ、さらなるハンドリング向上に寄与する。またGT-R「SpecV」のサスペンションは、よりロールを押さえるため、バネレートを上げ注意深く固めた。サーキット走行により最適化されたのだ。またビルシュタイン製のショック・アブソーバーはモノチューブダンパーとなり、減衰力調整を省くコンベンショナルなものになる。さらにアライメント、スタビ、エンジンマウント部に至るまで「SpecV」専用チューンが奢られ、徹底的な足回りのトータルバランスが煮詰められた。
また装着されるタイヤはブリヂストンとの共同開発によって完成した「SpecV」専用「POTENZA RE070R ランフラットタイヤ」である。コンパウンド、パターンともに進化し、ドライ路面での圧倒的なグリップパワーはこれまでのタイヤ史の歴史を塗り替えることになる。
4.ブレーキ
かつてはポルシェ911のブレーキは世界一だったが、いまのGT-R「SpecV」のブレーキは宇宙一かもしれない。4輪ブレーキのみで20kgものダイエットに成功したGT-R「SpecV」のブレーキは、レース使用のカーボンセラミックブレーキをベースとし、デイユース低温域でも制動力を発揮する驚愕のNCCB(Nissan Carbon Ceramic Brake)を搭載する。その最大減速Gは、なんと2.05を記録したという!このブレーキがあればこそ、GT-R「SpecV」は熟練ドライバーの手にかかれば、鬼のようなブレーキングでコーナーに切り込んでいける。
5.インテリア
リアシートが省略されたと同時に、コックピットにはSpecV専用となるバケット・シートが奢られている。あえてレカロ社製品を避けて、一から開発されたこの専用シートは、未知の領域までパフォーマンスを高めたGT-R SpecVの果てしがない横G負荷から、ドライバーのポジションを守り抜くホールド性を持つ。しかも何と、レーシングカー用バケットシートの保持荷重を凌駕しながら、リクライニング機構を併せ持つというから脱帽だ。この秀逸なSpecV専用シートは、人車一体感をさらに高め、ハイスピード・レンジにおける操縦性に寄与してくれることになる。シートが違えば、自ずとタイムは違う。どんなに高性能車であってもドライブするのは人間だからだ。
と、上記が明かされた「SpecV」の車体ディティールに関する指摘すべきトピックである。それにしてもGT-R「SpecV」には一分の隙もない。もとよりGT-Rはストイックな生活ぶりが伺えるクールな剣客のような車であったが、GT-R「SpecV」はそれに輪をかけてストイックで清貧な鍛錬を積み、刀を研ぎ澄ませた、まさにいつでも真剣勝負が可能と身構える剣豪のような車になったようだ。
気になるGT-R「SpecV」の価格は1575万円と、日本製スポーツカーとしてはかなり高価だ。しかし、考えても見て欲しい。上記で挙げたように、「SpecV」専用パーツがいかに多いことか!そこまでして究極のパフォーマンスを達成しながら、ポルシェ911ターボよりぐっと安い。相対的に見れば、相当なバリュー感が高い。しかも、このGT-R「SpecV」、ニュルブルクリンクのタイムを7分20秒切りをすることは、まず確実と見られ、そうなれば世界中のライバル車たちは遥か彼方に置き去りすることになる訳だ。サムライ・スポーツカーが騎士連合に打ち勝つさまは胸のすくニュースだ。
尚、GT-R「SpecV」は高度なメカニック整備を必要とするため、販売は日産プリンス東京販売株式会社亀戸店をはじめとした全国の7店舗に絞り込まれる。だが、限りなくレーシング・カーに近いながらもフレキシビリティーをもつ奇跡の車を七箇所も販売してくれるのだから、逆説的に言えば驚嘆すべきことである。
スーパーカーの文脈にあらたなラインをもたらしたGT-R「SpecV」。2月2日の発売が待ち遠しい。それまでディーラー訪問を待ちきらない向きには日産が提供するGT-R「SpecV」特設サイトをチェックしてみて欲しい。スキール音を掻き鳴らしながら駆け抜けるGT-R「SpecV」の姿を観られる他、水野氏による開発コンセプトに関するコメントを映像で観られる。
GT-R「SpecV」、まさに”マルチパフォーマンススーパーカー”の誕生だ。
日産:NISSAN GT-R SpecV Webカタログ