NHKオンデマンド、傑作歴史ドキュメンタリー「映像の世紀」を特選配信
10月9日(金)よりNHKオンデマンドは、20世紀激動の歴史を重厚なタッチの映像で描き出し、制作から10年以上経った今なお“傑作”の呼び声高い不朽の歴史ドキュメンタリー「映像の世紀」の全話パック特選配信を開始した。配信はNHKオンデマンド「特選ライブラリー」で行なわれる。
「20世紀は初めて映像によってその歴史が記録された世紀」とNHKは語る。たしかにそうだ。緊張を抱えて対立する外交と各国の政治、悲惨な殺戮繰り返された史上最悪の戦争、世相の変化と生み出されるあらたな文化・・・20世紀の歴史は“記述”されたものではなく、それは映像により“撮られた”歴史であった。番組は5年がかりで30か国のアーカイブスから映像資料を発掘。激動の20世紀をつまびらかに、そして重厚に伝える。NHKの渾身の歴史ドキュメンタリー作品だ。
◇NHKスペシャル「映像の世紀パック」全11話(1995~96年放送)
番組の購入価格:2,520円(税込)/全話
視聴期間:購入後30日
購入期限:2009年11月30日
本編時間:約75分/各話
語り(語り手):山根基世
テーマ音楽:加古隆
1.「カメラは歴史の断片をとらえ始めた 第1集 20世紀の幕開け」
第1集では王朝国家が終えんを迎える19世紀末から第一次世界大戦までを紹介。1900年のパリ万博をはじめ、ライト兄弟による飛行機の発明や大英帝国・ヴィクトリア女王の葬儀、ロシア革命で処刑されるニコライ二世一家、第一次世界大戦の導火線となったオーストリア帝国皇太子暗殺事件当日の映像等々、激動の20世紀の幕開けを鮮烈に描く。また、ルノアールやモネ、文豪トルストイも「時代の証言者」として登場する。
2.「塹壕の兵士たちは凄まじい兵器の出現を見た 第2集 大量殺戮の完成」
動く映像で記録された史上初めての戦争、第一次世界大戦。フィルムには、農業用トラクターを改良した1号戦車、最初の空爆、毒ガス兵器など大量殺りく兵器の誕生と、なすすべもなく死んだ兵士の姿を記録。また、若き日のマッカーサーやチャーチル、ルーズベルト、チャップリンなど、のちに世界を大きく動かすことになる人物たちも登場する。第一次大戦ぼっ発からロシア革命、アメリカ参戦、そして終戦までを追う。
3.「噴き出した大衆社会の欲望が時代を動かした 第3集 それはマンハッタンから始まった」
戦争景気にわくアメリカが、国力を高め資本主義社会の基本スタイルを形成した1920年代。娯楽性の高い大衆文化、モータリゼーション、マスメディアの発達とその功罪、モラルの変化、スキャンダリズム、移民社会と排他主義、多様な犯罪、そして拝金主義と好景気の果ての経済恐慌。成熟社会の真っ只中にあるアメリカが経験するこれらの「光と影」をニューヨーク・マンハッタンを舞台に鮮烈に描く。
4.「人々は民族の復興を掲げたナチス・ドイツに未来を託した 第4集 ヒトラーの野望」
20世紀、最も巧みに映像を利用して大衆の心をとらえた権力者ヒトラー。国家がプロパガンダ映画を使い世論をリードした1930年代。ナチスが自ら制作した映像を通して、ヒトラーが熱狂的支持を得た背景や戦術を探る。大恐慌からの再建に苦しむアメリカ、資本主義社会への優越性を宣言するソ連、満州国の建設に踏み出した日本の姿を織り込みながら世界を戦争に巻き込むナチス・ドイツの狂気への道を映し出す。
5.「無差別爆撃、ホロコースト、そして原爆 第5集 世界は地獄を見た」
第二次世界大戦は、非戦闘員である市民が攻撃された史上最悪の戦争だった。目的のためには手段を選ばず大量殺戮する戦略は、ナチスによるユダヤ人虐殺やアメリカの原爆投下という地獄を生み出た。大量破壊兵器による徹底した破壊と殺戮、おびただしい屍、ホロコーストの実態などカメラが記録した衝撃の映像を数々。「人類の反省」の遺産ともいうべき映像だ。
6.「祖国統一に向けて、アジアは苦難の道を歩んだ 第6集 独立の旗の下に」
アジア諸国は欧米列強に長く支配され、その後日本が支配権を競った。やがて日本が敗れるとアジアの人々は悲願の祖国独立に立ち上がる。インド独立の父・ガンジー、4億人の巨大国家中国を束ねた毛沢東、ヴェトナム独立の指導者ホーチミン等、アジアの指導者たちが持つ苦悩を含め、列強による植民地支配の実情や独立運動の変遷を半世紀に渡って描く。
7.「東西の冷戦はヤルタ会談から始まった 第7集 勝者の世界分割」
米大統領ルーズベルト、英首相チャーチル、ソ連首相スターリンによって開かれたヤルタ会談は、ソ連の対日参戦決定と日本軍捕虜のシベリア抑留、朝鮮半島の米ソによる分割統治の悲劇をもたらし、結果的に東西冷戦の始まりとなった。東欧では強引な共産化が推し進められる一方、アメリカではマッカーシーによる赤狩りが猛威を振るい、冷戦はついに朝鮮戦争で火を噴き、世界は二つの陣営に分割される。
8.「東西の首脳は最終兵器・核を背負って対峙した 第8集 恐怖の中の平和」
東西冷戦は世界を二分し、国家や民族を引き裂いた。米ソのミサイル開発戦争は、一瞬で世界を壊滅させる核戦争の脅威に人類を追い込み、キューバ危機で緊張は頂点まで達した。フルシチョフが失脚後に録音した「回想録」で米ソの攻防をたどり、米ソのミサイル基地の爆発炎上事故、死の灰による犠牲者を出した米の核実験、韓国駐留米軍を慰問するマリリン・モンローの映像などを交え、冷戦の時代を映像で振り返る。
9.「アメリカ社会が揺らぎ始めた 第9集 ベトナムの衝撃」
ベトナム戦争は、テレビがお茶の間に本格的に伝えた初めての戦争だ。1960年代ケネディ大統領暗殺後、アメリカはベトナムに深入りする一方で、国民は繁栄の裏に巣くう貧困や権力者のぎまんに疑いの眼を向ける。ヒッピーなどのカウンターカルチャーが生まれた時代だ。ベトナム戦争で価値観が大きく揺らぎ始めたアメリカ社会の変貌とベトナム介入から撤退までの「アメリカ支配の終焉」を描く。
10.「絶え間ない戦火、さまよう民の慟哭があった 第10集 民族の悲劇 果てしなく」
冷戦終結、ソ連が崩壊した後、世界に再燃した民族紛争や内戦は、再び膨大な数の難民を生み出した。この難民問題は、植民地支配に対する民族運動の勃興、2度の世界大戦、社会主義国家の誕生と衰退などに端を発しており、20世紀始まって以来の最大の課題となっている。第10集では、今世紀初頭の映像を織り込み、国家に翻弄される人々の絶え間ない民族対立の悲劇を伝える。
11.「世界が見た 明治・大正・昭和 第11集(最終回) JAPAN」
20世紀が、日本が国際社会の一員としての地位を確立した世紀。日露戦争での勝利をきっかけに檜舞台に立ち、その後の韓国併合、シベリア出兵、満州国建国で孤立。さらに太平洋戦争、敗戦、戦後復興へと至る日本の歩みは、世界にいかに伝えられたのか。外国人のカメラマンが記録した明治末期から昭和20年代末までの日本の映像と外国人が記した記録を軸に世界が見つめた「JAPAN」を描く。
NHKオンデマンド「映像の世紀」特選配信