「太陽を抱く月」豆知識:“厄受け巫女”は流し雛?韓国時代劇に登場する巫女たちと星宿庁

2020年06月21日21時55分ドラマ
(c)2012MBC

NHKBSプレミアムで再放送中の「太陽を抱く月」第7話で、ついにヨヌ(ハン・ガイン)が巫女として王フォン(キム・スヒョン)との再会を果たした!そして第8話でヨヌがウォルとして厄受け巫女になるところから悲恋の第2幕が始まる…予告動画はYoutubeにて視聴できる。



「太陽を抱く月」は、世子フォンと少女ヨヌが運命の出会いを果たして恋に落ちるが、婚礼を目前に、権力争いの犠牲となってヨヌは呪詛により命を落としてしまう。しかしヨヌは密かに助けられ、巫女として成長する。8年後。王となったフォンだが、ヨヌを忘れられず心を閉ざしていた。体調もすぐれず、王妃も寄せ付けず、もちろん子宝にも恵まれない。そこで大王大妃は王妃との次の床入れの日までにフォンを健康にしようと厄除けの方法を考える。

■星宿庁(ソンシュクチョン)
王室の安寧を祈り、祈祷によって晴れや雨を願う官庁。※星主庁(ソンジュチョン):実在したのは星宿庁(ソンスクチョン)。王室の安寧を祈る巫女たちが所属する官庁として高麗時代からあった。ここに所属する“国巫堂(クンムダン)”は巫女のエリートたち。ただし、儒教を国家理念とする朝鮮王朝においてはその存在を否定され続け、第11代王・中宗(チュンジョン)時代には、完全に廃止となっている。

■巫女は実在した職業?
巫女(ムニョ)とは朝鮮時代に実在した職業。巫堂(ムーダン)とも呼び、巫女は女性のシャーマンのこと。シャーマンとは、神霊・祖霊などと直接に接触・交渉し、卜占(ぼくせん)・予言・治病などを行う呪術・宗教的職能者で巫師を意味する言葉。時には芸能娯楽的な機能も果たした。降神巫(降神体験をして巫女になる)と家系的に世襲する場合があるとされている。第5話で国巫ノギョンがヨヌの父に「ヨヌの病は“神病”で巫女にならない限り病は癒えない」といったが、この神病こそが降神巫になるための精霊のお告げで、“巫病”ともいった。朝鮮時代より以前、古代では政(まつりごと)も巫女の言葉で取り仕切られたりもし、これをシャーマニズムと呼んだ。仏教と儒教が受容されたため次第に衰えたともいわれているが、その後も補完的な宗教として半島の人びとの精神構造の根底にシャーマニズムが横たわっていると言われている。

■厄受け巫女は流し雛?
太陽を抱く月第7話でヨヌと運命の再会を果たしたフォンだが、記憶を失くしたヨヌは自分を巫女と言い、フォンは彼女にウォルという名前を与えた。そんなウォルが第8話ではフォンを守る符籍(お守・お札)の代わりにさせられてしまう。吹替え版ではこの“厄受け巫女”を“人間札”と解説する。日本では、厄年などで“厄除け”の札を神社でもらったり、“ご祈祷”を受けたりするが、日本にも古来から続く身代わり信仰がある。平安時代までさかのぼると、3月上旬の巳の日に草や紙で出来た人形で子どもの身体を撫でて穢れ(けがれ)を移し、その“ひとがた”を川に流して厄祓いをした。この行事は“流し雛”と呼ばれ雛祭りの原点とも言われている。つまり「太陽を抱く月」では“ひとがた”を巫女でやらせようという算段だ。実際に“厄受け巫女”という儀式があったかどうかは定かではないが、シャーマニズムがまだまだ色濃く残っていた時代ならありえなくはない。

■他の韓国時代劇に登場する巫女は?
この巫女という存在は、「太陽を抱く月」だけでなく、実に多くの韓国時代劇に登場する。三国時代の新羅を舞台にした「善徳女王」でも悪女ミシルにこのような巫女的な力があったと描かれ、実在した徳曼(トンマン)にもシャーマン的な力があったとも伝えられている。高句麗の建国までを描いた「朱蒙」(ソン・イルグク主演)や「太王四神記」(ペ・ヨンジュン主演)でも、巫女をときには王よりも強い発言力を持つ人物として描いている。本作を高く評価したイ・ビョンフン監督の「オクニョ 運命の女(ひと)」でも主人公のオクニョが巫女の真似をしたり、5月からNHK総合にて放送中の「100日の郎君様」の第11話にも巫女が登場して、主役二人の未来を予言したりする。また、朝鮮王朝末期を舞台にしたチャン・ヒョク主演「客主」では、キム・ミンジョンが扮したケトン/メウォルが、第16話で雷に打たれて降神体験する場面を劇的に描き、終盤では彼女が国師堂の巫女として国政にまで影響力を持つ人物として描かれる。

さあ、いよいよ次週、28日はハン・ガイン扮するウォル/ヨヌが厄受け巫女となる。果たしてその効果は?

■キャスト(少年・少女期)
ホ・ヨヌ/ウォル役:ハン・ガイン(キム・ユジョン)
イ・フォン役:キム・スヒョン(ヨ・ジング)
陽明君役:チョン・イル(イ・テリ=旧イ・ミノ)
キム・ジェウン/ウン役: ソン・ジェリム
ユン・ボギョン/ポギョン役:キム・ミンソ(キム・ソヒョン)
ホ・ヨム役:ソン・ジェヒ(イム・シワン)

Youtube「太陽を抱く月」予告動画
作品公式サイト

kandoratop【作品詳細】【「太陽を抱く月」を2倍楽しむ】

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