ドラマ「王になった男」都承旨の師キル・サムボンは、映画の都承旨?実在の許筠(ホ・ギュン)紹介!
ヨ・ジング主演「王になった男」最終回がテレビ東京で13日に放送され、“王様ロス”になっているファンも多いのでは?ドラマの放送が終わっても時代劇はまだまだ楽しめる!今回は劇中何度も名前が出ていた都承旨イ・ギュの師であり、庶民のための社会を夢みた革命家キル・サムボン(キル・サンボン)が誰なのか、考えて見たい!予告動画は公式サイトで公開中だ。
「王になった男」は、王の影武者となった道化師ハソンの禁断の愛と数奇な運命を描いた韓国時代劇。
本作の主人公は、時代劇の申し子と呼ばれる若手俳優のヨ・ジングだが、陰の主人公とも言うべき人物は名優キム・サンギョン扮する都承旨のイ・ギュだ。都承旨とは王命の伝達と王への報告を行う官庁の長官で、王の腹心として登場する。イ・ギュは、身分階層が厳しい社会で、キル・サムボンを師と仰いで大同会の仲間たちと平等な世の中を夢みてきた。(都承旨イ・ギュと王イ・ホンについては【押さえておくべき登場人物8人の人物設定】で詳しく解説している)
都承旨イ・ギュ(キム・サンギョン扮)すでに何度も紹介してきたように本作は大ヒット映画をリメイクしたドラマ版。【映画版との違い】「■名前違いの都承旨」で紹介したように、映画版の都承旨ホ・ギュンは庶民のための社会を夢みた実在した許筠(ホ・ギュン)をモデルにしており、ドラマとは別人だ。だが、ドラマ版の中で何度も名前が出てくるイ・ギュたちの師匠キル・サムボンはこの許筠をモデルにしているのではないかと筆者は考える。まずは、気になる許筠について紹介しよう。
■許筠=ホ・ギュン(1569~1618)
父は名門の学者で文章家。母も高官の娘だが後妻だったために、異母兄弟の間で庶子のような扱いを受けて育った。5歳で文章を学び始め9歳で詩を詠んだ秀才で、29歳で科挙の文科に首席合格し官職に就くが、妓生を呼びこんだために僅か半年で解雇される。1602年(1604年とも)には遂安(スアン)の郡司になるが、今度は仏教を信じていると弾劾され追い出される。1606年には明の使臣を接待する従事官として文章と学識を高く評価されたが、仏教を拝し庶子たちと懇意にしたなどの理由で罷免される。朝鮮王朝第16代王・光海君時代には明の使臣として功を立てる。この時に明でキリスト教徒にもなったと言われている。許筠は要職に就くたびに濡れ衣を着せられたり、解雇、幽閉されたりもしたが、1617年には、光海君の義母である仁穆大妃を退かせる「廃母論」を唱え、光海君から厚い信任を受けて従一品の左賛成にまでなった。両班中心だった朝鮮のシステムで庶子差別と身分階級の打破、朋党のない社会を夢みたが、1618年10月、反乱計画の首謀者に問われた。南大門に光海君を誹謗する文書が貼り出され、それを許筠の仕業とされ、最後は政敵の陰謀にハマり、八つ裂きの刑に処せられた。
■『洪吉童伝』で痛烈に社会批判!
朝鮮初の詩集『蘭雪軒集』の著者である許蘭雪軒は彼の実姉で、許筠自身も1612年に朝鮮で初めてのハングルの小説を発表している。これが「逆賊-民の英雄ホン・ギルドン」など多くのドラマなどの題材にもなった庶子が主人公の『洪吉童伝』だ。一読すると勧善懲悪の英雄伝だが、実は身分の違いだけで貧しい暮らしを強いられるという、痛烈な社会批判が込められた、庶民のための社会を夢みた革命家らしい本でもある。
ちなみに、「ホ・ジュン 宮廷医官への道」など多くのドラマで描かれる名医・許浚は同じ一族。
チュ・ホゴル(イ・ギュハン扮)と都承旨イ・ギュ■都承旨でドラマと映画を繋ぐ?
ドラマ版は王イ・ホンを架空の人物にすることで、史実に縛られ過ぎないドラマチックなストーリーを展開させたが、都承旨を映画とは別人物にすることでストーリーをぐんと広げることに成功している。あくまでも筆者の私見だが、許筠=キル・サムボンとしておけば、許筠のやった社会改革や許筠を彷彿とさせるエピソードも、ワンクッションおくことで、もっと大胆にイ・ギュに忍ばせることができる。また、キル・サムボンに許筠をにおわせることで、映画ファンには映画とのつながりも感じさせる。そういえば、キル・サムボンの“キル=吉”は、許筠著の『洪吉童(ホン・ギルドン)』主人公の名前と同じ。キル・サムボン探しのヒントのようでこのネーミングも面白い。
【「王になった男」を2倍楽しむ】では、各話のあらすじと見どころ、韓国での評判、主人公のモチーフになった朝鮮王朝の王・光海君について、映画との違いや、インタビューなどドラマを楽しむための情報をまとめている。
◇「王になった男」作品公式サイト
【作品詳細】【「王になった男」を2倍楽しむ】