「愛の不時着」や「梨泰院クラス」で世界中に新たな韓流ブームを生み出したNetflixだが、このところ「イカゲーム」や「地獄が呼んでいる」といったバイオレンス性の高いものも多く、中には刺激が強すぎるという方も多いのでは？そんな方にお勧めしたいのが、ソウルから遠く離れた田舎町を舞台にしたハートフルなヒューマンドラマだ。

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●Netflixオリジナルシリーズ韓国ドラマ一覧／Netflix配信中の韓国ドラマ一覧



今回お勧めしたいのは、「ラケット少年団」と「海街チャチャチャ」の2作品だ。
※作品やキャストについては作品タイトルクリックで詳細ページに遷移

Netflixオリジナルシリーズ『ラケット少年団』独占配信中「ラケット少年団」は、ソウルから遠く離れた最南端の過疎村を舞台に、廃部寸前の中学のバドミントン部の部員たちを主人公にした青春スポーツドラマ。だが、単なる中学生の青春ドラマじゃない。まずは、ドラマのあらすじを紹介しよう。

主人公のユン・ヘガンはソウルで暮らす中学3年生。自信家で野球のエースピッチャー。父ヒョンジョンは世渡り下手で家計はいつも火の車。元バドミントンの国家代表も務めたが現在は不安定な生活体育講師。母ヨンジャは、こちらも元バドミントンのアジア個人女子シングルスの金メダリストで、現在は家族と離れて全国1位の海南第一女子中のコーチ。ヒョンジョンは生活のために海南西中のバドミントン部のコーチを引き受けることになり、ヘガンと5歳の妹ヘインを連れてソウルから5時間の辺鄙な田舎にお引越し。一軒家とは名ばかりでトイレも外で、熊の足跡まで…。近くには店もなく、Wi-Fiも繋がらない。おまけにヒョンジョンが引き受けた海南西中のバドミントン部は、かつて強豪として知られていたが、今では廃部寸前。野球ができなくて不満のヘガンは、人気のないバドミントンを馬鹿にしていたが、ひょんなことからバドミントン部に入部し、事情あって一緒に暮らすことになった3人の部員ユンダム、ウチャン、ヨンテと友情を深めながらも大会を目指す。

ラケット少年団ドラマは中学生のスポーツ大会挑戦記であり、青春ドラマだ。目を負いたくなるような苛めもなければ特別な事件も起こらない。ただただ平凡な日常の中で、村人たちに支えられ、中学生たちが成長していく姿が描かれているのだが、毎回5歳～100歳までの村人たち一人一人が抱える問題にも焦点を当てて丁寧に描いている。両親が不在でいつも一人ぼっちだった主人公の5歳の妹は、迷子になったことをきっかけに村ぐるみで目をかけてくれ、田舎を嫌って帰ってこない子供や孫が、都会暮らしにつかれて生きる望みを失くしてやってきた夫婦のアイデアで頻繁に帰省するようになり、夫婦にも生きる望みが生まれる。ハルモニ（おばあさん）の100歳の誕生日を村中で祝う様子がほのぼのと描かれ、話せなくなったハルモニの事情に泣かされる。こうした村人たちのエピソードを通して、家族や人とのつながりを感じさせられ毎回笑って号泣させられる。

それでも都会に比べて過疎地の暮らしは何かと大変。健全であるスポーツ界に残るしがらみや問題点、緑豊かな田舎でも意外に空気が汚れていたり、村おこしに無策だったりと、そんな村が抱える問題もきちんと描かれるあたりが、他の青春ドラマを違って、全世代のリアル成長ドラマとしてお勧めできる。
※もっと詳しい見どころやキャストの魅力は【「ラケット少年団」を2倍楽しむ】で紹介している。

Netflixオリジナルシリーズ『海街チャチャチャ』独占配信中一方、「海街チャチャチャ」は都会を離れ、海辺の街に歯科医院を開業した女性が、悪の強い村人たちと衝突しながらも、何もかもが対照的な便利屋の男性に助けられ自分らしく生きていく大人のラブコメディ。

ソウルで歯科医師として働くユン・ヘジンは、治療方針をめぐって上司と対立して職場を辞める羽目に。思い出の地、海街コンジン洞で気晴らしをするが、お気に入りの靴を片方失くしたことをきっかけにホ・ドゥシクという男性と出会う。ホ班長と呼ばれる男は、ボロボロのジーンズにサンダル履きで、定職にもついていないニートもどきだが、村の便利屋として重宝がられている。
なぜかヘジンの行く先々に姿を現し彼女の窮地を救うが、適正価格の最低限の賃金を請求されるだけにありがたみも半減。それでも一念発起したヘジンはコンジン洞で歯科医院を開業することに。ところが自立心があって都会ナイズされていると本人が自覚しているヘジンは、なれなれしくって、やたら知りたがりで図々しい村人たちが大迷惑。村人たちとも度々衝突。その都度フォローしてくれるホ班長にひかれていくが、自分とは釣り合わないと恋心を封印するヘジンだが…。やがてヘジンは次第に村人たちの優しさに癒しを感じ始め、何やら謎の多いホ班長と結ばれることになるが…。

美しい海街を舞台にしたドラマ。作中時々登場するソウルのお洒落な街並みや医学部仲間との付き合いが、コンジン洞の美しさと素朴な人々の人柄をクローズアップする。事実、ヘジンも村に馴染んでいる自分に気づかず、村を離れてソウルに来た時に村のすばらしさに気づくという一幕がある。「ラケット少年団」の村人に比べて、こちらは過去のヒット曲に執着したり、浮気（？）やダメンズ亭主なども至りで、少々俗物的だが、それでも困ったときには村中で助け合うといった、昔ながらの人付き合いのすばらしさが描かれ、ヘジン同様に毎日の暮らしにつかれた都会人には癒される。肩書や外面などにとらわれず、ありのままの自分とみとめ、自分らしく生きることのすばらしさを教えてくれる心温まる秀作だ。
※【「海街チャチャチャ」関連記事】

Netflixにはほかにも、「愛の不時着」の北朝鮮の噂好きな社宅村の奥様たちや、ヒューマン・ロマンチックコメディに殺人事件まで盛り込んだ「椿の花咲く頃」、Netflixオリジナルシリーズではないが愉快な村人たちが登場する時代劇「100日の郎君様」なども、素敵な村人たちが登場するお勧め作品だ。

新型コロナウィルス変異株の登場で、せっかくの帰省を今年も見送った方も多いだろう年末年始の休暇。そんな方はもちろん、ネット環境さえあれば帰省先でも視聴できるNetflixなら故郷のみんなと韓ドラ三昧もできる。

【Netflixオリジナルシリーズ】