話題の韓国ドラマ「シュルプ」で知る宮廷カースト:王の女と息子たちの実態と置かれている立場

2022年10月18日17時29分ドラマ
画像:tvNより
Netflixシリーズ『シュルプ』独占配信中

朝鮮時代の教育ママの奮闘を描いたキム・ヘス主演のコメディ時代劇「シュルプ」(全16話)が韓国tvNにて放送中で、初回視聴率7.6%から第2話では9%まで数字を伸ばしている。日本ではNetflixにて視聴できる。(数字はニールセンコリア、全国調べ)

「シュルプ」は、我が子のために気品なんてものは捨てた!?トラブルメーカーの息子たちと、王座を狙うライバルの策略…さまざまな問題に振り回されながら、未来の朝鮮王を育て上げるために日々奮闘する姿を描く。タイトル「シュルプ」は昔の韓国語で傘を意味し、雨から身を守るように、息子たちを全身全霊で守り育てる母の話、という訳だ。



本作は朝鮮時代を舞台に借りた仮想の時代設定。予告動画などではキム・ヘスがトラブルメーカーの息子たちを追い回す振り切った演技が収録されており、軽いコミカルな時代劇と思いきや、なかなか見ごたえのある本格時代劇としても楽しめる。

そんなドラマを2倍楽しむためには、宮廷に暮らす王の女たちとその息子たちへの期待に関して理解しておくといい。(※以下、第1話見どころより

■揀択後宮vs承恩後宮
朝鮮王朝では王は一夫多妻制をとり、一人の正室(王妃、本作でキム・ヘスが演じたファリョン)と、複数の側室(後宮とも呼ばれる)と区分された。当時、王の妃を選ぶ為にしばし揀択(カンテク)と呼ばれる募集が行われた。この揀択を通して選ばれた側室をドラマでは揀択後宮と呼んでいる。その多くは由緒正しき家柄の令嬢であり、「王の女」としての地位は正室の次に高い。揀択をテーマにしたドラマが「カンテク~運命の愛~」で、その仕組みなどは【「カンテク」を2倍楽しむ】(2)で詳しく解説している。

一方、側室の中にはもともと王宮で下働きをしているうちに王に見初められて側室の座に就いた女性も存在し、そんな彼女たちの事を承恩(スンウン)後宮と呼んでいる。必ずしも高貴な出自とは限らず、正式に王の側室となっても品階は揀択後宮には劣る(現代の視点から言うと揀択後宮がオーディションで選ばれるのに対し、承恩後宮は王じきじきにスカウトされたと考えるとわかりやすいかも知れない)。

■宮廷カーストの番狂わせは息子たち
このように、同じ王に嫁いだとしても、その地位にはスタート時点から隔たりがあるが、ここで彼女達の立場を逆転させる番狂わせが「世継ぎを産めるかどうか」だ。
たとえ他の側室や、正室より品階が低くても、王との間に産まれた男児は必然的に王位継承者候補となる。正室が産んだ男児が王位継承最高位となり、世子として冊封されるが、病やその他の事由で王位継承候補から外れた場合は、側室の子供にも世子となるチャンスが訪れ、実際に王として即位すればたとえ側室であっても大妃となる事が出来る(本作でキム・ヘスク扮する大妃ももとは側室だった)。
上記のような朝鮮時代の王位継承のルールが、本作の「教育合戦」「王の女としてのプライドを賭けた戦い」の要素を生み出している点を押さえておきたい。

■王妃VS大妃
王宮に暮らす宮女から側室までが所属するのが「内命婦」で、厳しい身分制度がある。彼女たちの頂点に立ち、仕切るのは王妃の重要な役目。もっとも大妃〔王の母〕が存命の場合は王妃より力が大きいので、ここでもまたトラブルが起きやすい。【朝鮮王朝豆知識】「◆宮女の身分(内命婦)」で詳しく解説している。

ドラマはまだ始まったばかり。【「シュルプ」を2倍楽しむ】では、各話のネタバレあらすじと見どころ、豆知識などまとめているので視聴の参考にどうぞ。

シュルプはtvNで土・日21:10から、Netflixでも同日から独占配信開始する。

■キャスト
イム・ファリョン役:キム・ヘス
大妃役:キム・ヘスク
朝鮮王イ・ホ役:チェ・ウォニョン
ソンナム大君役:ムン・サンミン
世子役:ペ・イニョク
ムアン大君役:ユン・サンヒョン
ケソン大君役:ユ・ソンホ
イリョン大君役:パク・ハジュン
ファン貴人役:オク・チャヨン
コ貴人役:ウ・ジョンウォン
テ昭容役:キム・ガウン

ほか

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