派遣労働者の叫びに共感!「ガラパゴス」織田裕二が知った満島真之介の14年間!前編深掘りあらすじと後編予告

2023年02月07日08時00分ドラマ
©NHK

NHKBSプレミアム/BS4で2月6日放送の「ガラパゴス」前編は、織田裕二演じる窓際刑事・警視庁捜査一課継続捜査担当の田川信一が、団地で偽装殺人された仲野定文の14年間を調べ、派遣労働者の過酷な現実を知った。次回後編は13日(月曜、よる9時から)放送、番組公式サイトで予告動画が公開された。

※2月11日(土)午後3時30分からBSプレミアムにて再放送する。

【後編】ネタバレあらすじ



「ガラパゴス」は相場英雄の同名小説を実写化した作品。現代の生き地獄、派遣労働者の現実を暴露する危険きわまりない長編ミステリー。「踊る大捜査線シリーズ」の青島刑事を熱く演じた織田裕二が窓際刑事役で、34年ぶりのNHKドラマ主演とあって注目を集めていた。

画像出典:NHK番組サイトより画像出典:NHK番組サイトより前編「ある労働者の死が、刑事の旅の始まりだった。」は、高校を卒業した仲野定文が頼母子講「もあい」の金を手に育ててくれた祖父に別れの挨拶をして、美しい島を離れるオープニングから始まった。14年後…。

田川信一(織田裕二)はメモ魔で“カンドリ( 鑑取り)の鬼”と呼ばれ地道な捜査を得意とするやり手刑事だったが、体を壊して捜査一課継続捜査班に異動となった。いわゆる窓際族だ。田川が鑑識課の木幡(桜庭ななみ)に頼まれて身元不明の死者リストを調べる。田川はリスト「903」の男が自殺に見せかけて殺害されたと見抜き、男が沖縄出身の派遣労働者・仲野定文(満島真之介)と突き止めた。仲野はいくつもの工場を転々としたが、そのどれもが「ホープネス・ホールディング」という人材会社の傘下だった。田川と木幡が『東京新城会』という新城(あらぐすく)同郷人の定例会の案内にひかれて入った沖縄料理店で、店主(ゴリ)から仲野がメガネの男と店に来て、仲野が三線を披露したという証言を得た。その日は仲野の死亡前日。だがメガネの男の正体は分からない。

そんな中、特殊班捜査係の鳥居(伊藤英明)は田川の動きに目を光らせていた。鳥居は、汚名を着せられ自殺した父のようにならないと心に決め刑事になった。『会社は守ってくれんでね』の父が書き遺した言葉を胸に、高校時代に救ってくれた森(髙嶋政宏)と裏で繋がっていた。森は鳥居から情報を得て「ホープネス・ホールディング」を一代で業界最大手にした。鳥居は自動車メーカーの松崎(鶴見辰吾)とも緊密な関係を結んでいた。

13日に放送する後編では、田川と木幡が生前の仲野定文の足跡をたどって彼が派遣労働者として働いていた各地の勤務先を訪ね歩く。そして田川は、鍵を握る鳥居(伊藤英明)とついに対峙することに。

前編では故郷を出た仲野の14年間や、元派遣労働者の証言から過酷な労働環境の実態、経済アナリストの言葉から、企業が非正規労働者に頼る理由などが詳しく描かれた。全ての派遣労働者に当てはまるわけではないだろうが、そのどれもが怖ろしく背筋が凍る思いに共感した方も多いだろう。織田裕二がインタビューで「演じる上でこれほど『…怖い』と感じたことはない」と語ったのも納得できる。以下で前編で注目すべき点をまとめたので、後編のあらすじとともに一読しておこう。

■故郷を出た仲野定文の14年間
北九州の高専を卒業した仲野定文(満島真之介)は親友の有吉宏二郎(駿河太郎)に正社員の座を譲り、はからずも派遣労働者の道を進むことになった。だが、派遣された職場は劣悪な環境だった。エアコンもきかない工場での長時間にわたる単純作業、派遣社員同士のイジメや正社員からの露骨な差別にただ堪えるしかなかった。

それでも仲野はいつか島に戻れる日を願い、自分に島から出る機会を与えてくれた恩師や同窓生たちへの借金の返済を続けていた。そんな仲野定文という男が2017年8月30日、竹ノ塚東団地27号棟105号室で練炭自殺に偽装され、青酸化合物を飲まされた。それでも仲野は最後に何かを伝えようと『新城 も/780816』というメモを残した。

■元派遣労働者の証言
派遣切りに遭った工藤(金井勇太)は、クーラーの利いた居酒屋でも大量の汗をかく。それは長年クーラーのない工場での長時間勤務では汗をかかないと死んでしまうために、全身性多汗症になってしまったのだ。また求人では「月給25万円以上可」とあったが、実態は派遣会社の高額なマージンを引かれ手取り11万円。家賃4万円の住まいは勤務体系の違う労働者との相部屋。しかも自殺の発見が遅れるからと鍵もない、まるでタコ部屋。そのために盗難に遭うこともしょっちゅう。企業は派遣社員を人ではなく部品のように思っていて、人件費でなく外注加工費と仕分ける。そんな環境の中で命を削り取られて生きてきたのだ。

■経済アナリストの小島の提言
経済アナリストの小島(矢島健一)の説明によれば、日本の製造業界の現場は電気産業や自動車産業が国際的な競争に巻き込まれてコストを下げるために人件費の削減を迫られた。そのために派遣労働者という雇用体系を取ることに。派遣は人件費を抑えるだけでなく、不要になれば簡単に切り捨てるもでき、必要となればまた募集を掛ければいい。企業にとってなんとも都合のいい“調整弁”なのだ。

また小島は、韓国や台湾の台頭で、国際競争力を失ったテレビなど国産家電が国からの補助金で延命されてきたと、国内企業の問題点を突いた。これは家電だけでなく自動車も同じ。そうした国際標準とは違う仕様で独自に進化したのを“ガラパゴス”と呼び、その最たるものがメモ魔の田川が使っているガラケー、ガラパゴス・ケータイ。そうした負の遺産の結果、企業はコスト削減に走ることになり、非正規労働者に依存するしかなくなったのだ。(ちなみに、“ガラパゴス”の由来は、独特の生態系を維持してきたガラパゴス諸島から。)
最後に小島は、ひと昔前の、世界で一番企業が活躍できる日本は、一皮むけば世界で一番労働者がこき使われる国になり、その一翼を担うのが派遣業者で、その最大手が「ホープネス・ホールディング」だと教えた。

■後編あらすじ:働く。生きる。誰もが幸せになっていいはずだ。
ガラパゴス画像出典:NHK番組サイトより刑事・田川信一(織田裕二)は鑑識課の木幡(桜庭ななみ)とともに、生前の仲野定文(満島真之介)の足跡をたどって彼が派遣労働者として働いていた各地の勤務先を訪ね歩く。田川が知ったのは仲野が体験した理不尽な環境であり、仲野が世の中に何かを知らせようとしていたことがわかってくる。それは誰にとって、どういう意味をもつ内容だったのか? 田川は、鍵を握る鳥居(伊藤英明)とついに対峙する。真実が明らかになる!

ドラマ「ガラパゴス」原作は相場英雄の同名小説、脚本は戸田山雅司、演出は若松節朗。主演、織田裕二、共演は桜庭ななみ、満島真之介、伊藤英明、#髙嶋政宏、鶴見辰吾、泉里香、上地雄輔、金井勇太、野間口徹、東幹久、篠原ゆき子、あめくみちこ、津嘉山正種、戸田菜穂ほか。後編は2月13日(月)よる9:00~10:30 BSプレミアム/BS4。予告動画は番組公式サイトで公開中だ。

NHKBSプレミアム「ガラパゴス」番組サイト