【最終回ネタバレ】「遙かなる山の呼び声」健さんより不器用な阿部寛の自己推薦でハッピーエンドに

昭和の名作をリメイクした「遙かなる山の呼び声」(NHK土曜ドラマ)最終回の第4話が10月14日に放送され、耕作・阿部寛と民子・常盤貴子の不器用な大人の純愛は原作映画とは違う形のハッピーエンドで幕を閉じた。最終話はNHK+ にて10月21日22時49分まで見逃し配信をしている。
●各話のあらすじ:1話ネタバレと2話予告、2話ネタバレと3話予告、3話ネタバレと4話予告、第4話(最終回)
名匠・山田洋次監督が北海道の春夏秋冬を舞台にした名作『遙かなる山の呼び声』をリメイクした本作。BSプレミアムで2018年に初編、2022年に続編が放送されており、今回は初編と続編に未公開シーンを新たに加えたディレクターズカットとして4週にわたって放送した(ドラマ紹介)。
高倉健と倍賞千恵子による映画版は、網走刑務所へ護送される耕作を見つけた虻田が、「民子が牧場を辞めて武志と中標津で、耕作の帰りを待つ。その間の生活は虻田が見る」という会話を大きな声で話して耕作に聞かせ、民子がそっと“黄色いハンカチ”を耕作に渡すというエンディングだった。
このくだりはドラマ版では第3話の裁判を傍聴した民子と虻田(筧利夫)の会話で聞かせるという展開だった。但し、40年以上たった現代の民子は誰かに面倒を見てもらうというスタイルは似合わない。ドラマ版では細腕一本で牧場を守った。美しくもたくましい民子を常盤が演じてくれた。
一方、阿部が演じた耕作は「自分、不器用ですから」の高倉健より恋に不器用だった。あの裁判所での告白も刑務所への手紙も、再会して「(耕作を)ちゃんと覚えています」ときっぱり言い返した言葉も、「何もわかっていない、自分勝手!」という可愛い拗ねセリフさえ理解できないとは…。でもそんな耕作の精一杯の最後の「バイトの自己推薦」が、大きな図体して大人可愛い。
見ているこちらまでが幸せな気持ちにしてくれるエンディングを実現してくれたのは佐藤優太郎が演じた武志だ。「武志が耕作に気づかなければ」「武志がピアノのコンサートに招待しなければ」「武志が倒れなければ」叶わなかった不器用な大人のロマンス。
コンサート会場で、前のめりで演奏に聞き入る武志、感涙する西川(藤井隆)、民子に夢落ちする耕作…いろんなコンサートの楽しみ方がほのぼのとして面白い。耕作はこの後一人で車の運転をすることになったので、寝ておいて正解だった。一方、コンサートに招待した西川先生は、まさか会場で流した涙を違う種類の涙を最後で流すとは夢にも思っていなかっただろう。
耕作妹、加奈(真飛聖)。こちらのロマンスもうまくいったようで良かった。近年の刺激の強いドラマになれている筆者は、第3話で「相手は離婚が成立したと報告するが…」といらぬ心配をしてしまった(猛省)。
■第4話(最終回)あらすじ<ネタバレ>
©NHK耕作(阿部寛)は交通誘導していた工事現場で偶然、西川(藤井隆)に引率されて札幌に出てきた武志(佐藤優太郎)と再会する。札幌で開かれる人気ピアニストのコンサートを見に来た武志は勢いで耕作を会場に誘う。
コンサート会場で合流した耕作だったが、慣れないピアノの響きにいつの間にか眠りこけてしまう。眠りの中で耕作は、かつて中標津の牧場で民子(常盤貴子)と一緒に送った日々の夢を見る。
コンサートが終わり武志が発作を起こしてその場に倒れてしまう。耕作が抱えて車に運び病院に連れて行こうとするが、武志は断固反対し「お母さんのところに帰りたい」と言い出す。耕作がそのまま中標津まで運転することにし、西川は電話で民子に事の次第を知らせるが、運転しているのが耕作だとは民子は知らない。
車中では西川のおしゃべりで5年間の民子と武志の暮らしを知る耕作。元気になった武志からも民子の日常を聞き、懐かしさと恋しさを募らせる耕作。
車は牧場に到着し、民子は武志を抱えて家へ。1人車に取り残された耕作を西川が強引に家の中に案内する。用意してくれたうどんをパクつく西川の傍で固まる耕作を見て驚く民子。食事が終わって西川を見送った民子は、耕作を離れに連れて行く。「なぜ運転していることを教えてくれなかったの?」という民子に「大切な武志を乗せていたので運転に夢中になった」と耕作。
風呂も着替えも断る耕作に、出所を教えてくれなかった理由を訊くと、「同情からの優しさに甘えてはいけない。返事なんて書けば迷惑だ。忘れてもらうのが一番だと考えた」と大いなる勘違いを口にした。何もわかっていない耕作に「自分勝手」と言い捨てて離れを出ていく民子。
翌朝、耕作は早朝から牛舎で仕事をしていた。その姿を見た民子は気まずく家に戻る。耕作がいることでご機嫌な武志だったが、昼には帰ってしまうと聞いて、元気なく朝食を運んで学校へ。一方、耕作を慕う虻田(筧利夫)がやって来て、民子の気持ちを汲んで「一緒になった方がいい」とアドバイスするが…。
一方、昨夜の気まずさから耕作と顔を合わせたくない民子は柵の修理をしようとするが、牛舎の仕事を終えて耕作がやってくる。手早く作業する耕作に昨夜のことを謝り「ずっとあなたを想っていた」と最後の告白。その言葉を聞いてやっと耕作が「図体ばかり大きい男」をバイトに雇ってほしいと頼み、「そんな人いない」と民子。札幌の妹のことを話し「雇ってもらえますか」という耕作の胸に飛び込む民子。耕作は妹加奈(真飛聖)に電話で「中標津の好きな女性の牧場で働く」と報告。兄の吉報を涙で喜ぶ加奈の涙を恋人が拭う。
牧場の2人を見て西川は“白いハンカチ”で涙を拭き、武志は耕作の元へ駆けていく。
NHK9月23日~10月14日まで(土)22時より(49分×4話)。原作・脚本:山田洋次。脚本:坂口理子。出演:阿部寛/常盤貴子/筧利夫/佐藤優太郞/高畑淳子/中原丈雄/真飛聖ほか。
◇NHK「遙かなる山の呼び声」番組公式サイト
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