Netflix韓ドラ「ソンサン-弔いの丘-」第5−6話(最終回):予想不可能の真犯人と事件の裏に眠る複雑な人間関係

02月05日01時00分ドラマ
Netflixシリーズ「ソンサン-弔いの丘-」
独占配信中

「地獄が呼んでいる」の監督ヨン・サンホが企画・脚本を描いたNetflixの新しいシリーズ「ソンサン-弔いの丘-」が19日にNetflixで独占配信を開始した。クライマックスとなる第5−6話では誰も予測できなかった真犯人の登場と、主人公ソハの父が隠していた家族の秘密が明らかになった。気になるあらすじをチェックしてみよう。
【「Netflix」で独占配信の韓国ドラマ】

「ソンサン-弔いの丘-」は、存在すら知らなかった叔父の死により、先祖の墓がある土地“ソンサン”を相続することになってから不吉な出来事が立て続けに起こり、これと関連する恐ろしい秘密が紐解かれていくミステリー・スリラー。



キャスト
ユン・ソハ役:キム・ヒョンジュ
チェ・ソンジュン役:パク・ヒスン
パク・サンミン役:パク・ビョンウン
キム・ヨンホ役:リュ・キョンス
 ほか

第5話
ビルのオーナー(ユ・スンモク)の態度から何かを感じ取ったソハ(キム・ヒョンジュ)は、サンミン(パク・ビョンウン)から切迫した様子でヨンホ(リュ・ギョンス)を告訴するよう頼まれるもそれを断っていた。あえて釈放させて、オーナーが雇った弁護士に覚書を書かせて土地の権利を放棄させようとしていたソハだが、計画が狂ってマフィアたちがヨンホを殺そうとしていることを知り動揺する。

捜査失敗の責任を取って辞めようとするサンミンは、ソンジュン(パク・ヒスン)が辞職することを知り、またも見下されていると劣等感をソンジュンにぶつけて遂に殴り合いに。自らの無能さを知りながらも不自由な体で憐れまれ、惨めな気持ちをソンジュンのせいにしてきたと明かしたサンミンに、妻を発作に気付けなかった息子に心無い言葉をかけてしまった自分が全ての元凶だと謝罪したソンジュン。二人は再び手を取り合い事件の真相解明を急ぐ。ソハの父ミョンホ(キム・ホヨン)の家庭事情に詳しい人物を訪ねた二人は兄弟にもうひとりミョンヒという妹がいたことや、兄妹で子供を作って夜逃げしたという噂、ミョンホだけが実家に戻り、巫堂によるお祓いを受けさせられていたことを知る。

最初に怪死したミョンギル(キム・ジェゴン)の家に出入りしていた老婆(チャ・ミギョン)こそ、ミョンホの妹でヨンホの実母ミョンヒだと気づいたソンジュン。しかし、その頃ヨンホを探し回っていたソハはミョンヒに注射を打たれ意識を失っていた。

第6話
ミョンヒに捕らわれ彼女が祈祷を捧げる祠で目を覚ましたソハは叔母が父と関係を持ち、ヨンホを産んだことに嫌悪感を示すが、猟銃を見て彼女が事件の真犯人であることを察した。

かつて口蓋裂で周囲から好奇の目で見られていたミョンヒは父親から不幸な結婚を迫られ、自殺を考えるも、それを止めた兄ミョンホに一生守ってほしいとすがりついていた。それを素晴らしい愛だったと陶酔するミョンヒを見て、狂っていると叫ぶソハ。銃を向けられ窮地に陥ったソハは、自分のせいでヨンホが殺されそうになっていることを打ち明け、オーナー(ユ・スンモク)から場所を聞き出すと共にヨンホを救出に向かい時間を稼ぐ。

その間、ソンジュンらもヨンホとソハがそれぞれ拉致されたことを知ると、ソハの携帯電話を通して巧みにミョンヒの心理を利用し、彼女が向かう先の住所を突き止めた。マフィアに発見され窯に入れられたソハはヨンホ共々焼き殺されそうになってしまう。隙を突いてヨンホを助けようとしたミョンヒも捕らえられ、燃え盛る窯の中で目を覚ましたソハは必死にヨンホを起こす。

警察の到着を知っったマフィアは工房に火をつけ逃げ出した。どうにか脱出したソハは、意識を失ったままのヨンホと、それを救おうとするミョンヒを見捨てようとするが共にヨンホを救出して、焼け落ちる工房から脱出。ミョンヒは警察の到着と入れ違いに燃え盛る工房に戻り、禁じられた愛と息子のために手を血に染めた生涯に幕を閉じた。マフィア逮捕の最中に脚を撃たれたサンミンは、これでかつての因縁はチャラだと言ってソンジュンが抱えていた罪悪感を払拭。

事件は解決し、水墨画教室を開いたソハは訪ねてきたソンジュンに、ヨンホとは連絡を取ってはいないが拒むつもりもないことや、ソンサンはそのままにしてあることを打ち明けた。警察を辞職したソンジュンは刑務所を訪ね、初めて息子と向き合い始める。

ソンサンに建てられた兄弟妹3人の墓。ソハがたむけたのはミョンホとミョンヒ、ヨンホが写った家族写真だった…。



■見どころ
度重なる主人公の周辺人物の怪死、30年前に絶縁し他界した父の猟銃、奇妙な言動を口走るもアリバイがある腹違いの弟、ところどころで登場する不気味な巫俗の儀式など、ダークな世界観が特徴的な本作。真犯人は誰なのか、人間の仕業なのか、それとも呪い的な超常現象によるものなのかに注目が集まっていたが、第4話の終盤では真犯人に繋がるDNAが検出され、新展開を見せた。

ヨンホの母方のDNAの持ち主でなおかつソハの父方のDNAを持っている人物、という奇妙な特徴を持つ人物の正体は第5話の序盤での村人の会話から早々に明らかになった。果たして第1〜4話の間で誰がこの真犯人に気付けただろうか。ヨンホの両親は実の兄妹で、近親同士の関係が原因でソハは父と絶縁関係になっていたというのだ。更に驚くことに真犯人は、第1話の序盤でソンジュンがミョンギルの家を捜索した時に話しかけてきた老婆だったのだ。

たびたび描かれた巫俗の要素から、オカルトや呪いなどSFオチを期待していた視聴者は肩透かしを食らうことになったが、振り返ってみると、先山の土地には霊的な不思議な力が宿っているわけでもなく、超常現象らしきものも起きていない。事件の動機も世間に認知されていない息子に土地を相続させるためという、非常にシンプルで、現実的に受け入れられやすい結末だったと言える。

この物語の核になるのは、決して美しいだけではない家族の形だ。登場人物を見ると夫婦・親子・子ども同士で何らかの事情を抱えている。いつでも理解し合える絆で結ばれた幸せな家族の美しい側面ではなく、人間の欲望や弱さ、醜さの上に成り立つ様々ないびつな形の家族を描いたヒューマンドラマと観ることができる。天涯孤独になった腹違いの姉弟が手を取り合って助け合うような結末だったなら、ありがちな美談として片付けられてしまうが、ソハがエンディングで語ったように「ヨンホと連絡を取り合ってはいないが、拒絶するつもりもない」というセリフからは、敵でもなければ味方でもない、ある意味いちばん現実を投影したようなドライで絶妙な家族の距離感を感じられた。

上述の通りSF的な要素は皆無で、オカルトも物語の世界観を演出するために使われたに過ぎないが、過不足なく全6話にまとめられた本作はまるで警察の事件捜査ドキュメンタリーを観ているようなライトな感覚で視聴でき、推理小説好きにおすすめしたい良質なサスペンス・ミステリー作品だ。

土地の相続を巡って巻き起こる奇妙な事件とその陰に隠された家族の物語を描いた「ソンサン-弔いの丘-」は1月19日よりNetflixで独占配信を開始した。


YouTube「ソンサン」公式予告編(日本語字幕なし)
※日本語字幕付きはNetflixサイトで公開中だ。

■作品情報
制作国:韓国
制作年:2024年
スタッフ:
演出:ミン・ホンナム
脚本:ヨン・サンホ
原題:선산
英題:The Bequeathed

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