吉沢亮、主演作への熱い思いを語る…映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』完成披露上映会レポート

09月07日11時38分ドラマ
©五十嵐大/幻冬舎 ©2024「ぼくが生きてる、ふたつの世界」製作委員会

9月5日(木)新宿ピカデリーにて、吉沢亮(五十嵐大役)、忍足亜希子(母・明子役)、呉美保監督が登壇し、『ぼくが生きてる、ふたつの世界』(9月20日公開)完成披露上映会を実施した。公式サイトで本予告編が公開中だ。

『ぼくが生きてる、ふたつの世界』は映画監督・呉美保が9年ぶりに手がける長編作品。コーダ(聴者の子供が聴覚障害者の親を持つこと)をテーマにした五十嵐大の自伝的エッセイ「ろうの両親から生まれたぼくが聴こえる世界と聴こえない世界を行き来して考えた30のこと」を基にしている。脚本は港岳彦が担当し、主演は吉沢亮が務める。吉沢は作中で耳のきこえない両親の元で育った五十嵐大を演じる。



映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』完成披露上映会 概要
【日程】9月5日(木)※上映前イベント 
【場所】新宿ピカデリー スクリーン1(新宿区新宿3-15-15)
【登壇者(敬称略)】吉沢亮、忍足亜希子、呉美保監督、MC:町亞聖


コーダという生い立ちを踏まえて、社会的マイノリティに焦点を当てた執筆活動をする作家・五十嵐大さんによる自伝的エッセイを映画化した『ぼくが生きてる、ふたつの世界』(9月20日公開)。9月5日(木)に都内映画館で完成披露上映会が実施され、主人公・五十嵐大を演じた主演の吉沢亮、母・明子を演じた忍足亜希子、そして呉美保監督が登壇した。
満員御礼の会場を前に、主演の吉沢は「ようやく公開日も近づいてきて、今日こうして皆さんに観ていただく日が来たという事で、この作品を通してどんなことを感じていただけるのか、ドキドキしています」と胸の内を披露。

コーダ

10月9日から20日までロンドンで開催される、第68回ロンドン映画祭のコンペティション部門への正式出品も決定。6月の上海国際映画祭に続き、ヨーロッパでのプレミア上映に吉沢は「光栄な限りです」としみじみしながら「国や文化を問わず、観ていただいた方に伝わる普遍的テーマだと改めて思いました。これからもより多くの方々にこの作品が広がってくれると嬉しいです」と期待。ろう者の俳優である忍足も「日本だけではなく海外の方にも観ていただけて、とても嬉しいです」と笑顔で、呉監督は「日本の劇場公開を待たずしてこのような朗報を頂けて、ただただ嬉しいです」と喜んだ。

コーダ―本作で吉沢はろう者の両親を持つ耳がきこえる息子、忍足は聴者の息子を持つ母親を演じた。ストーリーについて「コーダという特殊な環境に生きてはいるけれど、描かれているのは普遍的なテーマで、家族の関係性や親子の愛情の変化も共感が出来た。純粋に素晴らしいお話だと思った」(吉沢)、「脚本に書かれているすべてが私の中に入って来ました。様々な葛藤や思いが細かに書かれていて、涙を我慢して共感しながら読み進めました」(忍足)と振り返った。

一方、9年ぶりの長編映画となる呉監督は吉沢の起用について「彼は美しい人だけれど、その中にある美しくない何かを自分の目で見たくて、この企画をいただいた時に彼とフィットすると感じた」と説明。忍足については「初めてお会いした時に、劇中のワンシーンを演じてもらいました。それを見た時に『この方にお母さんをやっていただきたい』と思った」とそれぞれのキャスティング秘話を明かした。

コーダを演じた吉沢だが演じるにあたっては「どの家庭にもどの思春期にも似たような悩みはある。自分の失敗を親のせいにするけれど、それがたまたまコーダという環境で生まれただけで、コーダだから辛いと思い込んでいる。本人にとっては重大な出来事だけど、周りから見たら『親とのあるあるだよね』みたいな距離感を意識していました」と普遍的な人物像を念頭に置いたという。 実際に一児の母という忍足は「私には中学1年生の娘がいます。吉沢さん演じる息子が娘と重なるときもありました。娘とは違い、息子は母親に対して反抗したり色々な思いがあったりするだろうとイメージして、母としての気持ちを作りました」と役作りを回想した。



そんな母・忍足との共演について吉沢は「とても温かい方で、忍足さんと(父親役の)今井さんの手話だけは現場ですんなりと入って来て、何を言っているのかがわかる。そこに僕は勝手に愛情を感じて、温かい両親だと思った。一緒にお芝居をしていてもチャーミングで素敵なお母さんだと思いながら演じていました」と親子の絆を実感。
コーダ―それを受けて忍足は「息子を持つのは、ドキドキワクワクで複雑な気持ちでした」と笑わせつつ「吉沢さんは素晴らしい息子。手話も徐々に自然に習得されて、そんな息子の手話表現に感動しました」と互いに褒め合い、笑顔になる場面も。

最後に呉監督は「耳のきこえない両親に育てられたコーダの物語ではありますが、どこにでもある普遍的な親子の感情として描いています。手話に出会い、果たして私たちはどれだけ目と目を合わせたコミュニケーションを取っているのだろうか?という事も考えました。そんな映画になっています」とアピール。忍足は「この作品は新しい感覚の映画になっています。手話の世界、男の世界、女の世界、この世界には色々な世界があります。皆さんがどのように感じていただけるのか私も気になります」と反響に興味津々。
コーダ―そして吉沢は「僕は本作への参加を通して、言葉で伝えることの重要性を感じました。生きている中で言葉を吐き捨てたり、自分の中に壁を作って自分の想いを伝える作業を怠ったりするような事もあると思います。今回手話と出会って、気持ちは伝えなければ伝わらないと実感しました。抱いた感情の全てを伝えてくれる手話という言語は愛に溢れた素晴らしい世界だと思いました。この映画を観ていただき、伝えることの大事さを感じていただけたら僕は幸せです」と呼び掛けていた。

※本作では、バリアフリー上映を実施します。詳細は公式HPのTHEATERページよりご確認を。
https://eigakan.org/theaterpage/schedule.php?t=FutatsunoSekai

『ぼくが生きてる、ふたつの世界』公式YouTube

公式HP
◇公式X: @FutatsunoSekai_