「嘘解きレトリック」鈴鹿央士の優しさ、松本穂香の“月がきれい”のセリフをどう読み解く？第3話

10月22日07時00分ドラマ

21日、フジテレビ系月9ドラマ「嘘解きレトリック」（21：00）第3話が放送され、鹿乃子（松本穂香）が左右馬（鈴鹿央士）の役にたちたいという夢を抱いた。この回のあらすじと共に、ラストの鹿乃子の気になるセリフを考察する。

見逃した方はTVerで最新話無料配信、FODでこれまでの全話配信中だ。

「嘘解きレトリック」とは

「嘘解きレトリック」は、都戸利津（みやこ・りつ）の同名漫画が原作で、鋭い観察眼を持つ借金まみれの貧乏探偵（鈴鹿）と、ウソを聞き分ける能力者（松本）の異色コンビが難事件を解決していくレトロモダン路地裏探偵活劇。⇒【各話のあらすじ】

第3話のあらすじからみてみよう（ネタバレ）。

探偵事務所で働く浦部鹿乃子（松本）は、貧乏探偵の祝左右馬（鈴鹿）のガラクタだらけの事務所を掃除する。左右馬はそのガラクタを売ることを思いつき、鹿乃子の「嘘を聞き分ける能力」を使って古道具屋で高値で売ることに成功する。そこで、店主（前野朋哉）から酔っ払って財布を盗まれた話を聞く。

左右馬の友人で刑事の端崎馨（味方良介）が、新しくできた料亭の写真を持ってやってきた。写真の美しい仲居（中田クルミ）が、彼が探している“松葉牡丹の君”ではないかと聞く。数日前、端崎は左右馬からもらった食べ物で食あたりを起こし、その際に介抱してくれた女性が着物の衿に松葉牡丹の絵柄があったことを覚えているという。

左右馬は写真をみて「全然違う」と否定するが、鹿乃子は左右馬が嘘をついていることを見抜く。左右馬は彼女の「嘘を見抜く能力」に真正面から向き合ってくれた初めての理解者。そんな彼の嘘を見抜いたことで嫌われたくない鹿乃子は、親友に嘘をついた理由を問うことはできなかった。

そんな中、鹿乃子は左右馬から古道具屋へのお使いを頼まれ、茶たくを新聞紙に包んで持たされる。新聞には“松葉牡丹の君”の写真が掲載されていた。鹿乃子は店主にそれを見せて料亭の場所を聞き、本人に会って真相を確かめることに。でも勇気が出ずに料亭の前でためらっていると、左右馬が現れる。その刹那、警察が駆けつけて“松葉牡丹の君”が逮捕された。

実は彼女は古道具屋の店主から財布を盗んだ「介抱泥棒」だった。端崎のときも彼の財布を盗もうとしたが、左右馬に見られたため諦めたのだ。左右馬が嘘をついたのは端崎を傷つけたくなかったからだと、鹿乃子は気付く。

鹿乃子の能力が「発言者の嘘の意識を見抜く力」と検証していた左右馬は、「君を騙すことなんで簡単だ」と冗談交じりに伝えつつ、「それくらい僕は君を受け入れるってこと」と、彼女の力を尊重し、一緒に困難を乗り越えていこうと話す。感涙する鹿乃子は、左右馬が差しだして手に縋って立ち上がり「月がきれいですね」と言った。月見そばを食べに行こうという左右馬の後に付いて、鹿乃子は「先生のお役に立てるようになりたい」という夢を見つけた。

■「月がきれいですね」のもう一つの意味

この回では、第2話の誘拐騒ぎで、左右馬の名推理ぶりにすっかり惚れこんでしまった千代（片山友希）がやって来て、鹿乃子に「夢」を尋ねた。夢を持つことなどなかった鹿乃子が、左右馬の優しさに触れて、「先生の役に立ちたい」という夢を持てた。問題はその前のセリフ「月がきれいですね」だ。

この言葉は、かの夏目漱石に言わせると「I Love you」になるらしい。漱石が英語教師だったころ、「I Love you」を「我君を愛す」と訳した生徒に、日本人はそんなことは言わないといって「月がきれいですね」と訳したという逸話がある。果たして漱石先生の予言は当たるのか？左右馬の「僕は君を受け入れる」と共に気になるところだ。

衣装や小道具もさることながらレトロ感漂うセリフも素敵な本作。警察が来た時に左右馬が「アベックのふりをして」という。今や死語ともいわれている“アベック”を使うのも粋だ。

■第4話あらすじ

探偵の祝左右馬（鈴鹿央士）と助手の浦部鹿乃子（松本穂香）は、家賃が払えず夜逃げする途中、置引犯を捕まえる。偶然居合わせた端崎馨（味方良介）の姉・雅（北乃きい）が犯人を取り押さえ、二人に怪談雑誌の取材旅行に同行しないかと誘う。左右馬は家賃分の報酬に目がくらみ、同行を承諾する。
一行は「人形屋敷」と呼ばれる綾尾家を訪れ、そこで起こった不可解な事件を調査することに。屋敷の女中が「死体を見た」と訴えるが、それは人形だった。その後、女中は不審な死を遂げ、左右馬たちは事件の真相を追う。