孤独を優しく抱きしめる「スロウトレイン」、“脚本が天才すぎる”などSNSに反響続々で新正月ドラマ認定?

01月03日07時00分ドラマ
TBS「スロウトレイン」

2025年1月2日、松たか子、多部未華子、松坂桃李がきょうだい役で共演し、野木亜紀子が脚本を手掛けたTBS新春スペシャルドラマ「スロウトレイン」が放送された。放送直後からSNSには「ずっと見ていたい」などの感動の声が相次ぎ、TVer、TBS FREE、U-NEXTでの見逃し配信も開始された。



■「スロウトレイン」とは

「スロウトレイン」は、交通事故で両親と祖母を失った渋谷家の3姉弟が、鎌倉と韓国の釜山を舞台に、それぞれの人生を模索する姿を描いたホームドラマ。松たか子を当て書きした野木亜紀子のオリジナル脚本であり、多部未華子と松坂桃李が妹弟を演じるほか、多部の恋人役には大ヒット韓国ドラマ「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」のチュ・ジョンヒョクが出演した。この豪華キャストが日本と韓国のドラマファンを巻き込み、大きな話題を呼んだ。



■あらすじ(ネタバレ注意)

鎌倉に住む葉子(松たか子)、都子(多部未華子)、潮(松坂桃李)の姉弟は、幼い頃に交通事故で両親と祖母を失い、互いに支え合いながら生きてきた。23回忌の法事の帰り道、次女の都子が「韓国に行く!」と突然告げたことをきっかけに、3人の人生が大きく動き出す。


葉子は中学生だった妹と小学生だった弟を育てながら編集者として働いてきた。現在はフリー編集者として活躍するが、恋愛や結婚には無関心を装っている。都子は30歳を過ぎても定職につかず、自分の居場所を探し続けている。一方、末っ子の潮は江ノ島電鉄の保安員として働きながら、鎌倉の実家で葉子の食事も世話しながらと二人暮らしをしている。


そんな日常を揺るがすのが、葉子が担当していた作家・百目鬼(星野源)だった。百目鬼は葉子にマッチングアプリを勧めたり、元恋人の目黒(井浦新)との再会を促したりと世話を焼くが、実は潮と1年間交際していたという秘密があった。この事実に葉子は驚きつつも、百目鬼と弟の選択を受け入れるようになる。しかし、潮は葉子をひとりにして家を出ることをためらう。


都子は韓国に渡り、恋人のオ・ユンス(チュ・ジョンヒョク)と共に新店舗の準備を進めていたが、彼のプロポーズには「結婚できない」と答える。都子は「姉を差し置いて幸せになれない」という葛藤を抱え、彼との関係を見つめ直す。一方、葉子も百目鬼との対話を通じて、自分が過去に恋愛を避けた理由を振り返り、孤独と向き合う。


インスタグラムの更新が途絶えた都子を心配した葉子と潮は釜山へ向かう。ユンスの助けで都子と再会田洋子は、「結婚しない選択もある」と認めつつ、自分が結婚しなかったのは妹や弟のためではないと伝えた。そして、「これからの人生、一緒に歩きたい人がいるなら曖昧にしないできちんと話しなさい。家族じゃないんだから」と助言する。この言葉は潮の心にも響いた。


その後、潮は百目鬼との新しい関係を模索し、都子はユンスとの未来に向き合う決断をする。葉子も初めての一人暮らしを始め、孤独と向き合いながら新たな人生を歩み始める。正月には渋谷家に姉弟とそのパートナーたちが集い、葉子は「鎌倉だけど渋谷家へようこそ」と迎え入れた。



TBS「スロウトレイン」TBS「スロウトレイン」

■視聴者の反応


放送後、SNSには以下のような感想が寄せられた。


「脚本天才すぎる」
「いろんな形の孤独を優しく抱きしめるような素敵なドラマだった。正月にまた放送してほしい」
「ゆるやかに淡々と、一緒に生きる人と人との関係を丁寧に描いていて癒された」
「“どうしてみんな誰かと結びつけたがるんだろうね”という台詞が心に刺さった」
「百目鬼の台詞で“人と一緒にいる孤独が辛い”という言葉は心に響いた」
「“独りでも生きていけると言えるのは、一人じゃないから”といった宇野祥平のその後が気になる」


また、野木作品の「「アンナチュラル」に出てきた毒物たち、宇野祥平さんの宅配便セリフ、バーのマスターは山さんじゃなくて谷さん」などの鋭い指摘や、想像の斜め上を行った「松坂桃李×星野源のBL関係」にも注目が集まった。



■感想

「スロウトレイン」は、家族の絆や孤独、そして人とのつながりを穏やかに描いた作品だった。「寂しさ」を日本の美学「侘び寂び」の「寂び」にたとえたことで、「寂しい=ネガティブ」な印象を払拭した。そしてそれを表現するのに『盆石』を使ったのも素敵だった。


またわずか1カ月の日本語のレッスンで、台詞のほとんどを日本語で話したチュ・ジョンヒョクの努力や多部未華子の韓国語がキュートだった。多部が託した100万円のくだりで、彼が悪人でないことにほっとしたチュ・ジョンヒョクファンも多かったのでは?


そして何より、亡き両親と同じ年に近づいて一人暮らしを始めた葉子が、きょうだい3人が新しい人生を歩き始めたことを天国の両親に手紙の形で報告した、松たか子がナレーションが、新年の幕開けにふさわしい、癒しと希望を与えるドラマに仕上げてくれた。



TBS 2025年1月2日(木)21時放送「スロウトレイン」。出演:松たか子、多部未華子、松坂桃李、星野源、チュ・ジョンヒョク、松本穂香、池谷のぶえ、倉悠貴、古舘寛治、宇野祥平、飯塚悟志(東京03)、菅原大吉、中村優子、毎田暖乃、リリー・フランキー、井浦新ほか。番組公式X(Twitter)アカウントは「@SlowTrain_TBS」。

TBS「スロウトレイン」番組公式サイト