韓国青春ロマンスはなぜ地上波で苦戦？「ソンジェ背負って走れ」が世界的ヒットを飛ばした理由を徹底考察

【グローバル視点で読む韓国ドラ】2025年春、韓国の青春ロマンスドラマに異変が起きている。

地上波で放送されたMBC「バニーとお兄さんたち」やSBS「四季の春」は、視聴率0％台という“歴史的不振”に見舞われ、苦境に立たされている。一方、tvNの「ソンジェ背負って走れ」は韓国のみならず、日本・台湾・欧米でも爆発的な人気を博し、まさに「シンドローム」と呼ばれる現象を巻き起こした。なぜこれほど明暗が分かれたのか。その背景を探る。



地上波青春ロマンスは“視聴率0％台”の苦境に
MBC「バニーとお兄さんたち（바니와 오빠들）」は初回こそ1.3％の視聴率を記録したが、わずか数話で0％台へ転落。その後も反転の兆しを見せることなく、同様にSBS「四季の春（사계의 봄）」も第2話で0.7％という低調な数字に沈んだ。若年層を意識した青春ロマンスでありながら、主要キャストの知名度不足やストーリーの完成度の低さ、クリシェの多用（ありきたりな展開）といった問題点が指摘されており、「ウェブドラマレベル」との辛辣な評価も聞かれる。

視聴習慣の変化と“テレビ離れ”の現実
こうした不調の根底には、視聴者層の分散と視聴習慣の変化がある。現在、地上波テレビの主な視聴者は中高年層へと移行しており、青春ロマンスの主要ターゲットである10〜30代は、もっぱらYouTubeやNetflix、TVING、WAVVE、U-NEXTといったOTT（動画配信サービス）を利用する傾向が強い。そのため、地上波ドラマが若年層へリーチするのは、構造的に難しい局面に入っている。

「ソンジェ背負って走れ」は、なぜ“世界的ヒット”になったのか？
2024年にtvNから放送された「ソンジェ背負って走れ（선재 업고 튀어）」は、そんな状況とは正反対の成功を収めた。韓国国内では最高視聴率5.8％と爆発的な数字ではないものの、20〜30代の女性を中心にSNSやオンラインコミュニティで話題となり、“シンドローム”と呼ばれる現象を巻き起こした。さらに海外では、Rakuten Vikiで130カ国以上の視聴ランキングで1位、日本のU-NEXTや台湾のiQIYIでも1位を獲得。IMDbでも9点台という高評価を記録し、アジアのみならず欧米でも熱い支持を得た。

「ソンジェ背負って走れ」が刺さった理由
■Y2Kノスタルジーとリアルな時代描写
2000年代初頭を舞台に、MP3プレーヤーや大流行した韓国のSNS「싸이월드（サイワールド）」といった当時のカルチャーを精密に再現。青春を過ごした世代に強烈なノスタルジーを呼び起こした。

■王道×新鮮なストーリー展開
タイムスリップ×ロマンスという定番の組み合わせに、主人公の“推し”への一途な想いと現実とフィクションの境界を曖昧にする演出が加わり、高い没入感を生んだ。

■キャストのケミストリーと魅力
主演を務めたキム・ヘユンとビョン・ウソクの息の合った演技が高く評価され、視聴者の間に“ファンダム”が自然と形成された。

■戦略的なグローバル展開
最初からOTTを中心にグローバル市場を見据えた配信戦略をとり、SNSや海外ファンイベントを積極的に活用したことで、国境を越えた人気を獲得した。

地上波 vs OTT：青春ロマンスの明暗を分けた要因


今後の展望：地上波は限界、ヒットはOTTから生まれる？
地上波ドラマにとって、青春ロマンスというジャンルは今や逆風だ。視聴者の中心が中高年層である以上、若年層向けジャンルの視聴率を稼ぐのは難しい。今後もこの傾向は続くと予想される。
一方で、OTTプラットフォームを主軸とした作品は、柔軟な制作体制やSNS連動、グローバル視野を武器に、新しいヒットモデルを確立しつつある。「ソンジェ背負って走れ」の成功は、その象徴的な事例といえる。

まとめ：青春ロマンスの新時代はOTTが主戦場
韓国の青春ロマンスドラマは、地上波では不調が続いているが、OTTやグローバル配信を活用し、ターゲットに刺さるコンテンツを作れば『선재 업고 튀어』のような世界的ヒットも十分に狙える。今後は視聴者層の変化とメディア環境の多様化に合わせた戦略が不可欠である。

今回は韓国の事情を紹介したが、韓国と同じく、日本でも若者のテレビ離れが進み、動画配信サービス（OTT）やSNSでの視聴が主流になっている。地上波の青春・恋愛ドラマは視聴率が低迷し、ヒット作が生まれにくくなっている。一方、配信サービスやSNS発の青春ドラマが若年層に人気を集め、ヒットするケースが増えている。つまり、「青春ロマンスはテレビより配信やSNSでヒットしやすい」時代になっている点は、韓国と日本で共通している。

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なお、「ソンジェ背負って走れ」と「バニーとお兄さんたち」はU-NEXTで、「四季の春」は「四季の春～恋めぐる僕らの季節～」のタイトルで2025年6月3日からLeminoで独占配信される。

●【「U-NEXT」で独占配信の韓国ドラマ】　/　【「Lemino」で独占配信の韓国ドラマ】

【作品詳細】【「ソンジェ背負って走れ」を2倍楽しむ】