「舟を編む〜私、辞書つくります〜」第1話、池田エライザが見つけた“右”の意味とは?(ネタバレ感想)

17日、池田エライザ×野田洋次郎三浦しをんの大ベストセラー小説『舟を編む』を原作に、新たな視点で描かれるNHKドラマ「舟を編む 〜私、辞書つくります〜」の第1話が地上波放送された。NHK+にて6月24日(火) 22:44 まで見逃し配信中だ。(ネタバレあり)
「舟を編む 〜私、辞書つくります〜」は、2012年に本屋大賞を受賞した『舟を編む』を原作とし、2013年には松田龍平主演で映画化、2016年にはテレビアニメ化もされた人気作品。原作や映画では、辞書編集に情熱を注ぐ馬締光也(まじめ・みつや)が主人公だったが、本ドラマでは、ファッション誌から辞書編集部に異動してきた新入社員・岸辺みどりの視点から物語が描かれる。⇒【キャスト紹介はこちら】
異動の知らせと新たな職場
第1話は、読者モデル出身でファッション誌の編集者として働いていた岸辺みどり(池田エライザ)が、突然辞書編集部に異動となるところから物語が始まる。配属先のファッション誌が廃刊となり、「大抜擢」と告げられた異動先は、華やかさとは無縁の地味な部署だった。言葉に取り憑かれた編集部員たち
辞書編集部には、言葉に異常な執着を見せる正社員・馬締光也(野田洋次郎)と、契約社員の佐々木薫(前田旺志郎)、舌打ちをするクセのあるアルバイトの天童充(渡辺真起子)しかおらず、編集部全体がみどりの想像とはかけ離れていた。みどりは、辞書『大渡海』の編纂に13年もの歳月が費やされており、完成まであと3年かかると聞いて衝撃を受ける。価値観の衝突と問いかけられる「右」
歓迎会で紹介された辞書監修の松本朋佑(柴田恭兵)や社外編集者の荒木公平(岩松了)との対話を通じて、「辞書とは何か」という問いに向き合い始める。荒木から「右を説明してみて」と問われたみどりは、『→』という記号で表現し、「辞書なんて欲しいと思ったことがない」と本音を口にしてしまう。その発言に天童が反発し、場が険悪な空気になるが、松本のユーモアある言葉で空気は和らぐ。言葉は舟、選ぶのは人間
松本は「言葉が悪いのではなく、使い方が悪い」「辞書は言葉の海を渡る舟だ」と語り、みどりの柔軟な感性こそが、辞書作りに新しい力を与えると励ます。帰路、馬締もまた、みどりの発想に辞書編集者としての可能性を見出し、「言葉の右」が見つかったら教えてほしいと伝える。言葉に向き合う夜、そして夜明け
その夜、みどりは恋人でカメラマンの昇平(鈴木伸之)と喧嘩をした際に口にした「朝日なんて」という言葉を思い出す。松本に勧められた辞書で「なんて」を引く。そこには「軽視」「無視」といった意味が書かれており、無意識のうちに相手を傷つけていた自分に気づかされる。直後、昇平から「距離を置きたい」と電話が入り、みどりは一人、彼との思い出の海岸を訪れる。自分だけの「右」を見つけて
朝日が昇る中、頬を伝う涙と風の感触に、自分なりの「右」がどこにあるのかを感じたみどりは、辞書作りという新たな世界に一歩を踏み出す。第1話見どころ
みどりが朝日の海に佇み涙を流すシーンから始まった第1話。みどりの泣きを「たんそく(嘆息)⇒ていきゅう(涕泣)⇒おえつ(嗚咽)⇒どうこく(慟哭)」と順に字幕で解説していくのが秀逸だ。この回の見どころは、池田エライザ演じる岸辺みどりの成長物語にある。辞書編集という未知の世界に戸惑いながらも、言葉の力に触れ、自分と向き合っていく姿が丁寧に描かれている。馬締役の野田洋次郎は、静かで情熱的な言葉オタクを好演し、対照的な二人の関係が物語を引き立てる。また、「辞書は舟」など名言の数々が、言葉の意味や使い方をあらためて考えさせてくれる。
さらに、恋人とのすれ違いや、松本(柴田恭兵)の導くような言葉が、みどりに大きな変化をもたらす。辞書という地味な題材の奥に、人間関係や自己発見のドラマが詰まっている。
【放送予定】2025年6月17日(火)スタート<全10話>
総合:毎週火曜22:00~22:45
再放送(総合)毎週木曜24:35〜25:20 (※金曜0:35~1:20)
【原作】三浦しをん 『舟を編む』
【脚本】蛭田直美
【音楽】Face 2 fake
【演出】塚本連平 麻生学 ほか
【出演】池田エライザ 野田洋次郎 矢本悠馬 美村里江 渡辺真起子 前田旺志郎/岩松了 柴田恭兵 ほか
◇NHK「舟を編む 〜私、辞書つくります〜」HP
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