竹内涼真主演「看守の流儀」心揺さぶる本格ヒューマンミステリーの全貌に、視聴者“面白過ぎて感動”【ネタバレあり】

02時00分ドラマ
画像:テレ朝「看守の流儀」より

6月21日(土)、テレビ朝日の「ドラマプレミアム」枠で放送されたスペシャルドラマ「看守の流儀」。TVer、TELASAで見逃し配信開始した。
※この記事にはドラマ『看守の流儀』のネタバレを含みます。未視聴の方はご注意ください。



原作は、『このミステリーがすごい!』大賞を受賞した作家・城山真一による同名小説。舞台は石川県・金沢にある架空の「加賀刑務所」。刑務官たちと受刑者の人間模様を通して、再生と希望を描き出す本格ヒューマンミステリーだ。

主演は竹内涼真。刑務所内で正義と信念のはざまで葛藤する若き刑務官・宗片秋広を熱演し、視聴者の心をつかんだ。今回のドラマは、原作に登場する5つの事件のうち「ヨンピン(模範囚の失踪事件)」と「Gとれ(入試問題流出事件)」に焦点を当てて展開された。

「ヨンピン」──模範囚の失踪と、その裏にあった過去


物語は、高齢受刑者・蛭川(柄本明)が薬をアルミごと飲み込んで意識不明となるところから始まる。蛭川には認知症の兆候があり、担当刑務官の西門(井上祐貴)は注意を受けるが、処遇部長・蒲田(北村一輝)はこの件を「自殺未遂」として処理しようとする。しかし、指導官として新たに加わった火石(木村文乃)が事態を引き継ぎ、宗片とともに蛭川の行動を再調査することに。

そんな中、仮出所したばかりの模範囚・源田(渡辺大)が更生施設から突然姿を消す。宗片は部下の奥井(阿佐辰美)とともに行方を追うが、手がかりは差出人不明の手紙に記された1つの携帯番号だけ。奥井はこの手紙の危険性を察知し、源田には見せなかったが、それが事件を深刻化させる可能性があったことから、宗片は規則を破り、自ら手紙に書かれた番号に電話をかける。

電話の相手は源田の恋人・ミカゲ(星野真里)だった。彼女は過去にDV被害を受け、源田とはその後交際を始めていた。源田は仮出所後、彼女を探していたのだった。彼の失踪の背景には、更生施設にいた“かつての悪仲間”の存在があった。宗片は、かつて源田と対立していた人物がすでに逮捕されたことを伝え、事件はひとまず収束へと向かう。

だが、火石はミカゲの発言から、彼女が「服役期間の残り4分の一を残して仮出所することを『ヨンピン』」という言葉を知っていたことを指摘する。このことから宗片は彼女が蒲田の元妻・美景であることを突き止める。その後、火石は蛭川の部屋にあった文庫本に挟まれていたメモ「正気のうちに終わりたい」から、蛭川が本当に自殺を図ったのだと結論づける。

娘に宛てた手紙を出さないまま命がつきそうな蛭川。西門の尽力で、娘・洋子(小沢真)の元にその手紙が届けられ、病床で父と再会。静かだが希望を感じさせる再会が描かれた。


「Gとれ」──信頼と裏切りのあいだで揺れる更生プログラム


刑務所内では、第7工場が受託する大学入試問題の印刷業務で、問題の流出事件が発覚。宗片は、暴力団から足を洗うため「Gとれプログラム」を受講中の受刑者・与崎(近藤公園)を担当していた。宗片は彼の更生を願い、私物である携帯電話を使って、幼い娘と通話させるという“規則違反の温情”を示していた。

やがて警察が介入し、与崎は一度連行されるが、それは別件での事情聴取で容疑が晴れ、刑務所に戻ってくる。宗片は心のどこかで与崎を疑い、それに対して与崎は「最後まで信じてもらえなかった」と悔しさをぶつける。

そんな中、第7工場で受刑者同士のいじめ問題が発覚。Gとれ受講者の勝田が、組織を裏切ったとされ、同じ組の瀬山から暴力を受けていた。実は勝田こそが流出事件の真犯人であり、いじめ問題は宗片の目を逸らすための罠だった。

終盤、宗片と火石は、監視カメラの死角で密かに携帯電話が投げ込まれる瞬間を確認。受刑者がどのようにして外部と連絡を取っていたかの手口が明らかになり、ついに証拠を押さえる。

勝田は県警に引き渡されるが、宗片は「俺はお前の更生を諦めていない」と告げる。信じることで傷つくことがあっても、人を信じるという宗片の信念は揺るがなかった。



刑務官たちの“流儀”がぶつかる 信じることの難しさと美しさ


物語の中心にいるのは、受刑者に対して温情を示しながらも、現実との板挟みに苦しむ宗片。その姿に、自らも過去のトラウマを抱える指導官・火石(木村文乃)は共鳴していく。

厳格な処遇を信条とする蒲田(北村一輝)は、かつて信じた受刑者に裏切られた経験から、非情な態度を貫こうとするが、次第に心を揺さぶられていく。

また、戸籍上は男性でありながら心も体も女性である受刑者・三上順(ロザリーナ)との関わりも、刑務官たちが向き合う“再生”の意味を深めていく。


クライマックス──暴かれる真相と、希望を託すラスト


終盤、宗片と火石は、入試問題流出事件の犯人が受刑者・勝田であると突き止める。県警の強制捜査が迫るなか、2人は証拠の携帯電話を確保し、勝田を引き渡すことに成功する。しかし、宗片は彼にこう伝える。「俺はお前の更生を、まだあきらめていない」。

その後、宗片と蒲田は責任を取って辞表を提出。しかし火石は、「彼らは刑務所にとって必要な人材です」と署長に進言し、辞表は受理されずにとどめられる。

蒲田は過去、信じた受刑者に裏切られた経験から「人を信じること」を捨てていた。しかし宗片は言い切る。「それでも私は信じたい。それが私の流儀です」。

そして物語のラスト。かつて「あなたを上司にした覚えはありません」と宗片に言われた火石が、同じ言葉を返す。「私はあなたを部下にした覚えはありませんよ」。それは、敬意と信頼を込めた火石なりのエールだった。

今回のドラマ化では、信じることの難しさと尊さ、人が変わることへの希望。そのすべてを静かに、そして力強く描いた『看守の流儀』は、観る者の心に深く残る一夜限りの傑作となった。


視聴者からの感動の声続々


放送後、SNSには「ドラマ面白すぎてすごく感動した、俳優さん達の演技がすごすぎて引き込まれた」などストーリーの面白さと竹内涼真、木村文乃の高会陰以外にも、「柄本明さん、北村一輝さん、内藤剛志さん脇役も豪華」「複雑な事情を抱える受刑者としてロザリーナがドラマ初出演!!」などの声が続々上がっている。

テレビ朝日 2025年6月21日放送。出演:竹内涼真、木村文乃、北村一輝、星野真里、小沢真珠、渡辺大、寺島進、内藤剛志、柄本明 ほか。

テレビ朝日「看守の流儀」番組公式サイト