テレ朝「舟を編む」第5話:“ウムン”の謎に涙…池田エライザが知る、言葉の裏にある親の想いとは(ネタバレあり)

「“ウムン”って、本当にない言葉なの?」少年のひたむきな問いに、池田エライザ演じるみどりは言葉の意味を、そして母とのすれ違いの記憶を見つめ直す——。
7月15日(火)に放送されたNHKドラマ「舟を編む~私、辞書つくります~」第5話では、「言葉を疑う」ことの意味、そして“載っていない言葉”が抱える想いにスポットが当てられた。この回のあらすじと見どころを紹介、次回(第6話の予告は番組HPで公開中だ。
「舟を編む 〜私、辞書つくります〜」は、2012年に本屋大賞を受賞した『舟を編む』を原作とし、2013年には松田龍平主演で映画化、2016年にはテレビアニメ化もされた人気作品。原作や映画では、辞書編集に情熱を注ぐ馬締光也(まじめ・みつや)が主人公だったが、本ドラマでは、ファッション誌から辞書編集部に異動してきた新入社員・岸辺みどりの視点から物語が描かれる。⇒【キャスト紹介はこちら】
■少年が探した「ウムン」——辞書にない言葉の意味
松本(柴田恭兵)のライフワークである『辞書引き学習会』に参加したみどり(池田エライザ)は、そこで「ウムン」という言葉を探す少年・愛斗と出会う。辞書に載っていないその言葉をめぐり、愛斗と母親(村川絵梨)がトラブルを起こし、イベントを途中退席する。心を引かれたみどりは、自分の名刺を少年に手渡す。
その後、編集部を訪ねてきた愛斗。彼が「ウムン」という言葉を探していた理由は、母がかつて思わず口にした「産むんじゃなかった」という言葉を聞いてしまったからだった。それでも、「お母さんはそんなこと言うはずがない」と信じた愛斗は、その言葉に別の意味があるはずだと辞書に探し続けていたのだ。
■“別解”の面白さ
松本先生の粋な計らいで、「ウムン」は子ども向けヒーロー番組『ソケット・ブースター』に登場する“新種のキャラ”ということにされた。辞書にないのは“新しすぎるから”——子ども心に寄り添うその優しさが印象的だった。
この回では他にも、方言や言葉の“別解”がいくつか紹介される。
「からかう」が「手を尽くす」という意味を持つ地域があること、「かなしい」には「愛おしい」といったニュアンスもあること——。“言葉の意味”は一つではなく、人によって背景や受け取り方が異なるという事実を、みどりは体感する。
■みどり、母と向き合う——親子の記憶がつながる瞬間
上京してきた母・若葉(森口瑤子)と姉・さつき(金澤美穂)と再会したみどり。しかし母との関係には幼少期のしこりがあった。別れた後、電話をかけたみどりは勇気を出して「私のこと好き?」と聞く。母は「もちろん」と即答。続けて幼い頃のある出来事——抱きしめてくれなかった理由を問いかけると、母は「抱きしめたら、別れたお父さん(夫)のもとへみどりを帰せなくなりそうだった」と涙ながらに答える。
「からかう」という言葉も、山梨では「手を尽くす」という意味があることを知り、みどりは“言葉の意味を一つに決めつけていた”自分に気づく。そして母の想いに触れた彼女は、バス乗り場へ駆けつけて母と和解。失われていた親子の絆が静かに、力強くつながった。
■第5話見どころ
この回、みどりは辞書作りだけでなく、馬締から「辞書引き戦隊」も引き継いだ。天童(前田旺志郎)と2人で披露する「辞書引き戦隊」ショーはなかなか見ものだった。また、みどりの悩みに宮本(矢本悠馬)がそっと寄り添った。二人の距離が少しずつ縮まる描写も注目。
「辞書」は、言葉の定義を並べるだけのものではない。そこには人の想いと記憶、そして願いが編み込まれている。第5話はその核心をやさしく、力強く伝えてくれる1話だった。
■次回(第6話)予告:紙の辞書、消滅の危機!?
第6話(7月22日放送予定)では、辞書編集部に猛烈な嵐がやってくる。玄武書房・新社長の五十嵐(堤真一)が「大渡海」の紙での出版を廃止、デジタルのみにすると言うのだ。ショックを受ける馬締(野田洋次郎)たち編集部員。中でも大渡海の刊行に向け、松本先生(柴田恭兵)と二人三脚で長年作業してきた荒木(岩松了)の思いは沈痛だ。なんとか紙の辞書を守ろうとするみどりは、あるアイデアを思いつく。
【放送】2025年6月17日(火)スタート<全10話>
総合:毎週火曜22:00~22:45
再放送(総合)毎週木曜24:35〜25:20 (※金曜0:35~1:20)
【原作】三浦しをん 『舟を編む』
【脚本】蛭田直美
【音楽】Face 2 fake
【演出】塚本連平 麻生学 ほか
【出演】池田エライザ 野田洋次郎 矢本悠馬 美村里江 渡辺真起子 前田旺志郎/岩松了 柴田恭兵 ほか
◇NHK「舟を編む 〜私、辞書つくります〜」HP
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