銃か宝か―Netflix「トリガー」vs Disney+「パイン ならず者たち」、今夏必見の韓国ドラマはどっち?

海底に眠る宝船をめぐる欲望と、銃器清浄国・韓国に突如持ち込まれた違法銃の脅威。2025年夏、韓国発のOTT(動画配信サービス)ドラマ界では、スリリングな題材を武器にした2つの超大作が話題をさらっている。
Disney+(ディズニープラス)で16日から先行配信されている全11話構成の「パイン ならず者たち」、そして本日25日配信の全10話構成のNetflixによる「トリガー」。全く異なる世界観とアプローチながら、いずれも人間の裏側を描き出すスケール感満点の作品だ。
「パイン ならず者たち」は1977年の韓国を舞台に、生計のために宝船を探す集団が互いに裏切り合う群像劇である。
主演にリュ・スンリョン、ヤン・セジョン、イム・スジョンを迎え、コミカルで人間味あふれるキャラクターたちが織りなすドラマが見どころだ。⇒【「パイン ならず者たち」を2倍楽しむ】

主人公は、生計のためにコソ泥や詐欺で小金を稼ぐオ・グァンソク(リュ・スンリョン)とその甥オ・ヒドン(ヤン・セジョン)。ある日、ソウルの古物商から“海の底に眠る財宝”の話を聞いた二人は、生活再建の一発逆転を狙い、危険な冒険へと踏み出す。
物語の主軸は“宝探し”だが、作品の魅力は個性的なキャラクターたちにある。とぼけた泥棒グァンソク、礼儀知らずだがどこか影を持つヒドン、そして宝を買い取ると宣言するチョン会長(チャン・グァン)と、野心に満ちたその妻ジョンスク(イム・スジョン)。一見内助の功に徹するジョンスクだが、裏では緻密な策略を練る姿が印象的だ。
さらに、木浦の喫茶店でヒドンと微妙な関係を築くソンジャ(キム・ミン)や、自称恋人のボルグ(チョン・ユンホ/東方神起)など、脇役たちも存在感たっぷり。演出は『カジノ』でヒットを飛ばしたカン・ユンソン監督、主演のリュ・スンリョンは『ムービング』で注目を集めたばかりと、実力派タッグにも期待がかかる。
1970年代の街並みを忠実に再現したセット、広大な海でのロケ撮影など、制作費非公開ながらそのスケールは一級品。人間の欲望が交差する“コメディ×クライム×ヒューマン”の絶妙なバランスが光る作品だ。
一方、「トリガー」は韓国でほとんど見られなかった銃器犯罪をテーマに据えたアクションスリラーで、キム・ナムギルとキム・ヨングァンという人気俳優の共演で注目を集めている。⇒【「トリガー」を2倍楽しむ】

主演はキム・ナムギルとキム・ヨングァン。これまで韓国ドラマであまり見られなかった“違法銃”という設定と、激しいアクション描写、そして重厚な人間ドラマが交差する本作は、制作費に300億ウォン(約34億円)を投じたと言われており、その規模も破格だ。パク・フン、キル・ヘヨン、キム・ウォネ、ウ・ジヒョン、そして特別出演としてチョン・ウンイン、チョ・ハンチョルら“信頼できる俳優陣”が脇を固める。
演出と脚本を手がけるのは、映画『殺人鬼から逃げる夜(原題:ミッドナイト)』でカナダ・ファンタジア国際映画祭にて受賞歴をもつクォン・オスン監督。共同演出にはキム・ジェフン監督も参加している。クォン監督は「『トリガー』は銃そのものより、“誰が、なぜその銃を手にしたのか”に焦点を当てた」と語り、キム監督も「この作品は銃を手にした人々の背景や社会の葛藤を描いたもの」と付け加える。
憎しみ、恐れ、復讐──人の感情と引き金が織りなすドラマは、派手なアクションの裏で社会のひずみをあぶり出す。
対照的な題材とスタイル、共通する“人間ドラマ”
『パイン』が宝を追う人々の欲望をコミカルに描く一方、『トリガー』は銃を通して社会の闇をえぐるシリアスな作風。しかし共通するのは、極限状況における人間の本性に迫る視点だ。
“宝”か“銃”か。どちらも、それを手に入れた時、人は何を得て、何を失うのか──。今夏、韓国OTT界の話題をさらうこの2作は、視聴者にその問いを投げかける。
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