韓ドラ編集部が本気で推す名作:「ライブ〜君こそが生きる理由〜」が描く警察のリアル
派手な事件や分かりやすいヒーロー像に頼らず、警察官という仕事の「日常」と「感情」を徹底的に掘り下げた、完成度の高い警察群像ヒューマンドラマがある。
韓国ドラマ「ライブ〜君こそが生きる理由〜」は、サスペンスとしての緊張感を保ちながら、観る者に「人はなぜ働き、なぜ生きていくのか」という普遍的な問いを静かに突きつける。 次に何を見るか迷っている視聴者に、ぜひ勧めたい一作である。
本作の大きな魅力は、新米警官の成長物語にとどまらない点だ。 若手だけではなく、中堅、管理職クラスに至るまで、「警察官である前に一人の人間」である彼らの人生を多角的に描いていく構成が非常に秀逸である。 正義感だけでは生活できない現実。それでも誰かを守ろうとしてしまう使命感。 その矛盾と葛藤が繰り返し提示され、「善意で動くことは本当に正しいのか」「正義とは誰のためのものなのか」という問いが、静かに、しかし確実に観る者の胸に残る。
登場人物たちのキャラクター造形も、きわめて濃密だ。 主人公となる新人警官たち(チョン・ユミ、イ・グァンス、イ・ジュヨン)は、エリートでも「選ばれし存在」でもない。 就職に失敗した末に警察を選んだ者や、家庭の事情を背負って安定を求めた者など、現代のどこにでもいそうな若者として描かれる。 その等身大の存在感があるからこそ、現場で市民の悲しみや怒りに直面し、「自分は何のためにここにいるのか」と自問していく姿が、よりリアルに迫ってくる。
なかでも強烈な印象を残すのが、オ・ヤンチョン(ペ・ソンウ)という人物である。乱暴で不器用であり、決して理想的な上司とは言えないが、誰よりも職務と部下に対する責任感を手放せず、自らをすり減らしながら現場に立ち続ける「壊れかけの大人」だ。本作の精神的な核を担う存在と言っても過言ではない。彼の父親役で、故イ・スンジェさんのいぶし銀の演技が見られるのも、うれしいポイントだ。
演出と脚本の方向性もまた、この作品を特別な警察ドラマにしている要因だ。 銃撃戦や大規模な事件で盛り上げるのではなく、酔っ払いの対応、近所トラブル、理不尽なクレームなど、一見地味で報われない案件を丹念に積み重ねていく。 そうした日常業務を通じて、現場警官の疲弊と、そこで働く人間たちのリアリティが浮かび上がる構成になっている。 感情のクライマックスも、大きな事件ではなく、日常の中の小さな選択や後悔、仲間同士の衝突の積み重ねによって生み出されるため、物語が進むほどじわじわと心に効いてくる。
物語の中盤以降は、仲間の死、規律と正義の衝突、組織防衛と市民の命の板挟みといった重いテーマが次々と突きつけられる。 それでも、随所に挟まれるユーモアやチームの連帯感によって、作品全体が過度に暗く沈むことはない。 シビアな現実の中にも、人と人とのつながりやささやかな救いがきちんと描かれており、このバランス感覚も本作の大きな魅力である。
新人たちは当初、「安定した職業」として警察を選んでいる。 しかし現場での経験を通じて価値観を揺さぶられ、「自分は何のためにこの仕事をしているのか」を問い直さずにはいられなくなっていく。 その過程は、本作最大の見どころのひとつと言ってよい。 一気見すると精神的に重い場面も少なくないが、最後まで見届けたときには「良いドラマを観た」という確かな満足感が残るだろう。
ロマンスや派手なアクションを前面に押し出した韓国ドラマに慣れている視聴者には、やや地味に映るかもしれない。 しかし、人間ドラマとしての深さや、「働くこと」「生きること」の意味を真正面から描いた作品を求めている人には、強く推薦したい一作である。
■配信情報
韓国ドラマ「ライブ〜君こそが生きる理由〜」は、日本国内では動画配信サービス各社で配信されている。2026年1月現在、ABEMA、Disney+、Amazonプライムビデオなどで配信中だ。実際に視聴する際は、各サービスの最新の配信状況を確認してほしい。
■作品情報
原題:라이브
tvN 2018年3月10日~5月6日
最高視聴率:全国7.7%(ニールセン・コリア調べ)
脚本:ノ・ヒギョン
演出:キム・ギュテ
キャスト
ハン・ジョンオ役:チョン・ユミ
ヨム・サンス役:イ・グァンス
イ・ジュヨン役:ソン・ヘリ
オ・ヤンチョン役:ペ・ソンウ
アン・ジャンミ役:ペ・ジョンオク
キ・ハンソル役:ソン・ドンイル
ウン・ギョンモ役:チャン・ヒョンソン
チェ・ミョンホ役:シン・ドンウク