コ・アソン×ピョン・ヨハン×ムン・サンミン出演『パヴァーヌ』レビュー:イ・ジョンピル監督が描く、光は闇から生まれる青春の奇跡

02月21日10時50分映画
Netfrix映画『パヴァーヌ』、Netflixにて独占配信中

Netflixで全世界公開された映画『パヴァーヌ』(監督:イ・ジョンピル)は、地下駐車場という暗闇から始まる、静かで優しい青春メロだ。華やかな百貨店の最も奥、誰にも見られない場所で出会った三人の若者が、互いの傷を知り、光を見つけていく物語。派手な展開はないが、心に長く残る余韻がある。



本作の原作はパク・ミンギュの小説『死んだ王女のためのパヴァーヌ』。詩的で幻想的な文体を持つこの作品を、イ・ジョンピル監督は映像ならではの方法で再構築した。説明的なセリフを排し、色彩や光、空間の質感で人物の感情を描き出す。エレベーターの扉から差し込む光、屋上の扉の向こうに広がる白い空、隙間から踏み出す足先――それらはすべて、閉ざされた心が少しずつ開く瞬間を象徴する。

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外見に支配された世界の中で
物語の核にあるのは、「外見で判断される社会」への静かな問いだ。人はどんな人かより、どう見えるかで評価される。その中で傷ついた三人が、互いの内面を見つめ合うことで救われていく。

人々の視線を避け、心を閉ざして生きてきたミジョン(コ・アソン)、軽口の裏に本当の自分を隠すヨハン(ピョン・ヨハン)、父に捨てられたトラウマを抱えるギョンロク(ムン・サンミン)。
PV画像提供:Netflix コ・アソンPV画像提供:Netflix ピョン・ヨハンPV画像提供:Netflix ムン・サンミン彼らが地下駐車場という最も暗い場所で、最も輝く瞬間が生まれる――この逆説が本作のテーマを象徴している。彼らは互いにとって唯一の観客となり、唯一の理解者となる。その関係は、観る者に「誰かに理解されることの奇跡」を思い出させる。

光と闇で語る演出
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イ・ジョンピル監督の演出の核心は、光と闇のコントラストだ。ミジョンが自分を閉じ込める場面では、鏡に映る歪んだ顔や、閉まる扉のアナウンスが孤独を強調する。逆に、誰かと心を通わせる瞬間には柔らかな光が差し込む。
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愛が始まるときの光はまばゆく、関係が揺らぐときの光は痛いほどまぶしい。この微妙な演出が、物語に詩的な余韻を与える。



コ・アソンとピョン・ヨハンの安定感
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ミジョン役のコ・アソンは、『サムジンカンパニー1995』の軽やかさと違い、視線と呼吸だけで感情の変化を見せる繊細な演技で物語の中心を支える。偏見に縮こまっていた彼女が、愛によって少しずつ変わっていく姿は、観客の心に静かに響く。

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「白雪姫には死を~BLACK OUT」での苦悩の演技が絶賛されたピョン・ヨハン。本作では作品の空気を軽やかにしつつ、奥底に深い孤独を抱える人物ヨハンを演じる。これは彼の得意とする冗談のあと一瞬だけ消える笑顔で、三人の関係のバランスを保つ存在となっている。
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誰も予想しなかった衝撃―ムン・サンミンが映画をさらった
画像提供:Netflix画像提供:Netflixそして、本作最大の発見はギョンロクを演じたムン・サンミンだ。現在放送中のKBSドラマ「愛する盗賊様よ」では、卓越した美貌と気品を備えた王子役で、派手な立ち回りやロマンスで視聴者を虜にしている。そんな彼が本作では王子役の華やかさを脱ぎ捨てた素顔の演技で視聴者の心をまっすぐに打つ。未完成な青春の揺らぎ、不安と確信の間をさまよう感情を、自然な存在感で体現した。

一見すると現実離れした純愛を、現実として感じさせたのは彼の誠実な演技だろう。観終わったあとに強く残るのは、彼のまなざしだった。

少し遅くてもいい
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劇中で「何をしたらいいかわからない」と悩むギョンロクにミジョンが「馬から降りたと思えばいい」と「インディアンの話」を語る。これは、まさに本作のメッセージを象徴。「魂が追いつくまで歩みを緩める」という寓話は、速さを競う現代社会の中で、自分の速度で生きていいという優しい励まし。

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イ・ジョンピル監督は、原作の感性を壊さず、現代の観客に寄り添う慰めを加えた。愛は甘いだけではないが、それでも誰かを愛し、誰かに愛された経験は人生を照らす――その肯定が本作の終着点だ。



感想
本作でミジョンがヨハンに電話で話す「結末がハッピーエンドすぎる」という一言。これがどんな意味を持っているのかは、ぜひ、本編で確かめてほしいが、筆者は今年見た韓国映画で最も静かな衝撃を受けた作品だった。
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『パヴァーヌ』は大作ではない。だが、深い場所に静かに届く映画だ。傷ついた者たちが互いを見つけ、光へ向かう姿は、観る者の胸に長く残る。

万人にとってのハッピーエンドではないかもしれない。それでも、誰かの人生を一度でも照らしたなら、それで十分――そんな優しい答えを、この映画はくれる。

冷たい世界の真ん中で咲いた、小さく、確かな光。そして、ムン・サンミンという新たな輝きの誕生。

『パヴァーヌ』は、静かに、しかし確実に心を照らす一本だ。今年、静かな涙を流したいなら、この映画だ。