「100日の嘘」朝鮮総督府の宴会を中止させた“五・一五事件”とは?運命を変えた日本の政変【韓ドラ歴史コラム】
※実際の記録写真やドラマの場面写真ではありません
11月8日に放送されたキム・ユジョン×パク・ジニョン主演のtvN「100日の嘘」第10話では、爆弾作戦の決行直前、総督らが突然会場を立ち去った。その理由として伝えられたのが、日本で起きた「五・一五事件」だ。日本史でも知られるこの事件が、なぜ京城を舞台にした諜報ロマンスに登場したのか。劇中の展開と史実をつなぐ【韓ドラ歴史コラム】を紹介する。※第9・10話の一部ネタバレを含みます。
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「100日の嘘」は、1930年代の京城を舞台に、身分を偽って朝鮮総督府に潜入したスリのイ・ガギョン(キム・ユジョン)と、秘密を抱えたエリート通訳官・佐藤英雄の運命を描く諜報ロマンス。⇒navicon特集【「100日の嘘」を2倍楽しむ】
第9話で救国団が狙ったのは、朝鮮総督府の「気送管開通記念式」。想定外の事態を受け、イ・ガギョン(キム・ユジョン)は機転を利かせ、爆弾の隠し場所をバラの花台から巨大なケーキへ変更した。総督(キム・スンラク)が乾杯の音頭を取る午後6時20分に爆発し、佐藤信一(チン・ソンギュ)も巻き込むはずだった。
ところが、爆発時刻を前に、通訳を務める佐藤英雄(パク・ジニョン)がケーキの前に立ってしまう。第10話では、英雄への恋心を抱くガギョンの焦りが募る中、総督と信一が部下の報告を受け、突然壇上から退席。宴会は中止となるが、会場には英雄や招待客が残された。ガギョンはとっさにケーキを台車ごと移動させ、英雄とともに危機を切り抜けた。
この時、高官たちを動かした知らせが「五・一五事件」の発生だった。
五・一五事件とは、1932年5月15日、海軍の青年将校らが東京の首相官邸や警視庁などを襲撃し、犬養毅(いぬかい・つよし)首相を殺害した事件だ。「五・一五」という名称は、事件が起きた日付に由来する。政府を率いる現職の首相が襲われる、日本の政治を揺るがす重大事件だった。
背景には、恐慌による社会不安や、政党政治・財閥への不満があった。青年将校らは、武力によって国家のあり方を変えようとし、首相官邸だけでなく、警察や電力関係の施設なども襲撃した。朝鮮の独立を目指した尹奉吉(ユン・ボンギル)の上海での事件とは、実行した人々も、その目的も異なる。
事件の影響は、首相の交代だけにとどまらなかった。犬養の後継には海軍大将の斎藤実が選ばれ、官僚出身者を中心に二大政党の代表も加わる「挙国一致内閣」が成立。それまで続いていた政党内閣の時代は途切れ、戦後まで復活しなかった。五・一五事件は、日本の政治が大きく変わる節目となったのである。
こうした事件の重大さを知ると、劇中で総督らが祝宴を打ち切った理由も理解しやすい。日本の首相官邸などが襲撃されたとの報告は、植民地統治を担う総督府の高官にとっても、式典を続けていられる状況ではないと受け止められる知らせだったのだ。ただし、気送管の式典や総督らの退席、救国団の爆弾作戦は、ドラマの展開として描かれている。
前回の【韓ドラ歴史コラム】で紹介した尹奉吉の上海での爆弾事件は、1932年4月29日。五・一五事件は、そのわずか16日後に起きた。同じ1932年の春、上海と東京で起きた異なる事件を知ることで、「100日の嘘」の背景にある東アジアの緊迫した情勢も見えてくる。
⇒第8話に名前が出た“ユン・ボンギル”とは?上海の爆弾事件と「気送管」を知る【韓ドラ歴史コラム】
第10話では、日本で起きた政変が、京城で進む作戦を思いがけない方向へ動かした。狙っていた相手が去り、愛する英雄が危険な場所に残されるという皮肉な展開。歴史の大きな動きと、ガギョンの切迫した選択を重ねることで、遠い東京の事件を主人公たちの運命に直結させている。
この回の詳しいあらすじと見どころは【「100日の嘘」を2倍楽しむ】で紹介する。
◇「100일의 거짓말」HP
◇100日の嘘 | オフィシャル予告編 | Netflix