★「歴史ドラマ」を楽しむ-韓国三大悪女-『女人天下』チョン・ナンジョン編④

特集 韓ドラここが知りたい 三大悪女
『女人天下』チョン・ナジョン編③からの続き。
※ネタバレがいっぱいですが、読んでからでもドラマを楽しめるよう配慮しています。
それでも、気になる方はドラマを見てから、お読みください。(145話くらいまで)
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ナンジョンが自分の人生を変えるキーパーソンと見たムンジョン王妃とはどんな人物だったのか?
中宗王は、“勲旧派”の陰謀で、初めは抵抗したものの糟糠の妻を追い出す結果となった。そして側近達に言われるまま2人目の王妃と側室を迎える。そのうち、側室、王妃に男児が誕生するが、王妃が子どもを残して死んでしまう。そこで、亡くなった王妃の息子(王子)を育てるため、第3王妃を迎えることになった。

新しく迎えた王妃はユン・ウォンヒョンの妹(史実には姉とある)のユン・ムンジョンだ。演じているのはチョン・インファ。上品な美しさ、気品溢れる容貌でまさに王妃にぴったり。どこか日本の女優の高島礼子に似ている気がする。彼女が、1988年MBCドラマ「イニョン王后」以降、王妃や皇后の役へのキャスティングが多いのも頷ける。しかし、「女人天下」以降5年の間、ドラマから遠ざかっている。ひょっとしてムンジョン王妃(以下、ユン妃)役の刺激が強すぎたのでは?

それほどこのユン妃、強いのだ。王子の育ての親として飾り物程度にと思って迎えたはずの王妃。うまく利用してやろうともくろんでいた外戚たちはとんでもない選択をしてしまった。王の寵愛は側室のキョンビンにあり、無援のユン妃なんだが、孤軍奮闘で側室の心得など側室たちに厳しくしつけ始める。しかし度が過ぎた。これはしつけなんてモンじゃない!嫌がらせだ。見かねた皇太后も「それじゃ味方がますます無くなるよ」って。でも、このユン妃はナンジョンに負けないくらいの根性者。でも、やっていることはなかなか筋が通っていて、この強さ個人的に“有”だと思う!

ところで、側室のキョンビン。ものすごいやり手で中宗王を手玉に取り、対等にユン妃とやりあう。王を虜にしただけのことはあって、色香漂うなかなかの美女。王にしなだれかかる姿、只者ではないと見た。調べてみると、彼女元々はバレリーナーで、化粧品会社のモデルをしていたという。どうりで身のこなしがしなやかなわけだ。男性を酔わす媚薬なるものも登場するのでチェックしてみよう。

【出世期:ユン妃の側近時代①】
ユン妃とのお目通りの引き換えにウォンヒョンの側室になることに決めたナンジョンだが、肝心なお目通りがなかなか叶わない。ウォンヒョンはキムと言う正室を迎えるのだが、いずれは正室になって・・・と狙っているナンジョンにとって、このキムが当面の敵となるわけだ。ナンジョンは、キムに対して宣戦布告し毒殺まで図る。

このドラマ、毎回ナンジョンのド・アップで終わる。韓ドラの時代劇でよく使うエンディング法で、「朱蒙」や「薯童謠(ソドンヨ) 」でも採用されたが、迫力でいえば、ナンジョンのド・アップが一枚上手。本当に迫力がある。特に、キム正室に毒を盛った回のエンディング!まさに身の毛もよだつ恐ろしさ~。この毒殺成功したかどうかはご自分で確かめていただくとしよう。

遂にユン妃に会えたナンジョンは持てる力をフル動員して、数々の難問を解決していく。そんなナンジョンは、やがてユン妃にとって無くてはならない存在になっていく。男性陣がよく使う「同じ釜の飯」どころではない。同盟を結んだ女の結束はスゴイ!144話でユン妃がナンジョンを処罰するシーンが出てくるのだが、悪女ながらナンジョンのユン妃への思いの強さが改めて感じ取れ、胸に迫り来るものがある。

そういえば、ナンジョンが引っ立てられるとき、彼女はわざわざ正装をするのだが、ユン妃がその着衣と髪を引っぺがす。黒柳徹子さんのようなドデカイ髪をパコッと取ってしまう。「エーッ!アレってカツラ?」と言うことで調べてみた。三つ編みになっているあの髪型はカチェとよばれる当時のカツラで、あの三つ編みタイプは王族などの高位の既婚女性にだけ許された髪型。宮廷で暮らす女性たちは身分によって、着衣はもちろん、髪形も厳しく規制されていた。撮影で使うカチェは7キロほどあるものもあって、女優さんたちはバランスを取るのが大変だと言う。

ナンジョンがユン妃の側近になってからは、ユン妃がどんどん変わっていく。強い女性ではあったが、彼女の強さには筋が通っていて、観ていて気持ちが良かったが、ナンジョンを従えてからの彼女は卑劣になっていく。自分の兄を処刑したり、先代王妃の王子をないがしろにしたり・・・。ユン妃は133話でやっと待望の男児を懐妊するが、無事生まれてからは、時にはナンジョンもくすんでしまうほどの冷酷ぶりを見せる。

しかし、やはり三大悪女は違う!ナンジョンがこの時期に働いた悪事は…偽装、虚言、捏造、文書偽造、毒殺、放火殺人…。おおよそ考えつく限りの犯罪を並べてもたりない。

ところで王子役の俳優、どこかで見たことがないだろうか?そう、あのクォン・サンウ主演「太陽に向かって」で無類の女好きのジェヒョン役を演じたチョン・テウだ。実際の彼は、1歳年上のスチュワーデスとこの5月に結婚する。この王子、本当に純粋でいい人なのだ。彼が引き継いだら朝鮮王朝も安泰なんだが・・ 

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Photo by (c)Tomo.Yun (yunphoto.net)
キャスト: チョン・ナンジョン(カン・スヨン) / 文定(ムンジョン)/ 王后(チョン・インファ) / キルサン(パク・サンミン) / ヌングム(キム・ジョンウン)
原作:パク・チョンファ 、演出:キム・ジェヒョン(金在衡)