「快刀ホン・ギルドン」(主演:カン・ジファン)のタイトルに隠された意味

特集 韓ドラここが知りたい ドラマの不思議
三大悪女がいた朝鮮王朝に、三大義賊と呼ばれるヒーローがいた。義賊とは、役所や地方長官が不正に貯めこんだ財産を奪って、貧しい民に分け与える盗賊で、日本でいうところの石川五右衛門や鼠小僧次郎吉、はたまた海を渡ってジンギスカンになった源義経か、水戸黄門のような庶民の味方というところ。3人の義賊の名前は林臣正(イム・コクチョン)、洪吉童(ホン・ギルドン)、張吉山(チャン・ギルサン)。韓国では彼らを描いた多くの映画やドラマ、アニメなどの作品がある。

中でも人気なのがホン・ギルドン。ホン・ギルドンは、朝鮮王朝15代国王の光海君の時代に、作家ホ・ギュン(許筠)が書いた小説「洪吉童伝」の中の主人公。この小説は、ハングルで書かれた最古の小説で、15世紀末の10代国王の燕山君の時代に実在した盗賊団のひとり洪吉童がモデルだという。

2008年、韓国で、小説「洪吉童伝」をベースにしたドラマ「快刀 ホン・ギルドン」が大ヒットした。「がんばれ、クムスン」「京城スキャンダル」で注目を集めたカン・ジファンが主人公のギルドンを演じ、「ファン・ジニ」「ベートーベン・ウィルス」のチャン・グソンと、元女性アイドルグループFIN.K.Lのメンバーで「千年の愛」に主演したソン・ユリが主役陣に顔を並べた。ドラマは、フレッシュな演技で活躍する若い俳優の見事なアクションシーンや、喜劇のようなストーリーで新感覚のフュージョン史劇に仕上がった。その衣装も驚くもので、カラフルなストールやヘアアクセサリーを身につけ、カン・ジファンは、きついパーマヘアーに色のついたサングラス、フードつきのジャケットにオフタートルのインナーと、そのまま渋谷・原宿を闊歩できそうな奇抜なスタイル。これには、さすがのドラマ大国の韓国ファンも度肝を抜かれたようだ。日本でもテレビ放送され、人気。

前置きが長くなったが、このホン・ギルドン(洪吉童)という名前、韓国では書類を書くときの見本としてもよく使われるらしい。日本で言えば鈴木一郎や山田太郎といったところだろう。しかし、この名前が他にも慣用句的な使われ方をしているという。たとえば、「ホン・ギルドンのよう」にといえば、どこにでも顔を出す神出鬼没という意味になり、「ホン・ギルドンライブ」といえば、ゲリラライブを意味する言葉になるという。どれも、義賊ホン・ギルドンから来たイメージだろう。日本で言うなら、「イチロってる」といって、ものすごい記録を量産する人物なんていうところかも。

それにしても、自分の名前が500年後、こんな形で使われていようとは、天国(盗賊だから地獄?)のホン・ギルドン氏も驚いたことだろう。あまり驚いたせいでもないだろうが、今年、またぞろ新しいホン・ギルドンが活躍するらしい。もっともこちらは現代に生きるホン・ギルドンの末裔を描いた映画「ホン・ギルドンの末裔」のことで、11月に韓国で劇場公開する。主演は「外科医ポン・ダルヒ」アン・ジュングン役のイ・ボムス。

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KBS WORLD「快刀ホン・ギルドン」で視聴可能。
  • 韓国
    2008年
  • 不明

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キャスト:カン・ジファン、ソン・ユリ、チァン・グンソク、パク・サンウク
脚本:ホン・ミラン、ホン・ジョンウン
演出:イ・ジョンソプ