『魔界転生』原作山田風太郎。
荒唐無稽、痛快無比の傑作歴史劇。

かつては、夏といえば「怪談」と相場は決まっていた。しかし、幽霊にリアリティがなくなり、生身の人間のほうがよほど怖いと思える昨今、怪談やら幽霊やらはなかなか出番がないようだ。
そんな中、幽霊ものの変化球としておススメなのが『魔界転生』。
原作は山田風太郎、お得意の荒唐無稽、痛快無比、適当にお色気も散りばめられた傑作歴史劇である。

江戸時代初期。長崎で起きたキリシタンによる一揆は幕軍に鎮圧され、総大将の天草四郎（沢田研二）の首も刎ねられてしまう。
しかし、天草四郎は悪魔の力を借り、この世に蘇ってくるのだった。なおかつ、幕府を倒すために、さまざまな霊を呼び覚ます。宮本武蔵（緒形拳）、法蔵院胤舜（室田日出男）、柳生宗矩（若山富三郎）、細川ガラシャ（佳那晃子）などなど。
一方、この魔人たちを迎え撃つのが、柳生十兵衛（千葉真一）。たった一人で、不死身の剣豪たちを倒さねばならなかった……。

豪華キャストを揃えただけに、なかなかの見応えである。とくに十兵衛と父宗矩との対決、天草四郎との死闘など、手に汗握る展開だし、ラストなどは意表をつく終わり方である。
夏の夜には、暑さも忘れて楽しませてくれる、うってつけの作品だろう。
なお、後に佐藤浩市の柳生十兵衛、窪塚洋介の天草四郎でリメイクされたが、その迫力において前作には遠く及ばなかった。

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