【蒼穹の昴】宮廷の華麗な食文化を目で味わう…中国食文化の魅力[コラム]
新年最初のコラムになります今回は、お正月らしく豪華に満漢全席、中国食文化のお話でも。そのきっかけはもちろん、ドラマ14話「変革の波」冒頭のシーンにあります。新年を迎えるのは大抵どこの国でもめでたいものとされますが、この回では敗戦直後の正月とあって重苦しい雰囲気が漂う中、西太后や光緒帝の心にある暗い思いと反比例するように豪勢な食事が延々と並べられています。ここに登場するのがかの有名な「満漢全席」であります。
これは清朝の乾隆帝の時代に始まったとされる宴席メニューのことで、その名の通り満州族と漢族の名物料理を網羅したものとなっています。ドラマでは西太后にあれこれ説教?する乾隆帝も、そこは皇帝ですからその食事は贅を尽くしたものになります。この乾隆帝に始まった食の伝統が一番洗練されたのが西太后の時代とされています。ドラマでは料理一品一品がバケツリレー方式で西太后の前に並べられる様子が丁寧に描かれていましたね。料理を包む袱紗までもが凝っていて素晴らしく、一場面の小道具に過ぎないとはいえかなり目を引くもので見応えがありました。日本の時代劇では宴席の場面が描かれても料理に焦点が置かれることがまず無いので、やはり違うなと感じさせられました。日本だと豪華な料理は質を極める事に重きを置いて品数はそう多くないので、この辺りがお膳文化とテーブル文化の違いでしょうか。
食事の場面では、餃子の中に銀貨を仕込んだものを西太后が箸で割っていましたね。そもそも餃子という食べ物が中国にあった馬蹄銀というお金の形を模したものですから、餃子とはまさに福の象徴なのです。現在の中国でも、旧正月(春節)の食卓でこうした仕込み餃子を作って当たった人には良い年がくるといった風習が残っています。アメリカやカナダのチャイナタウンでは「フォーチューン・クッキー」といって中におみくじを仕込んだクッキーが出るのが知られていますが、こちらの方は元々日本が由来なのだそうです。
現在放送のドラマは日本語吹き替え版ですが、副音声で中国語音声を聞くことも出来ます。李蓮英が祝いの言葉を朗々と述べるところなどは、中国語音声の方があの独特の声調で雰囲気が出ていました。儀式の場面や京劇の場面では、やはりオリジナル音声の方が盛り上がるなと感じています。
再放送求む!幻の満漢全席再現ドキュメンタリー
さて、今回紹介したいのが「満漢全席」DVD-BOXです。今でも購入可能だから幻でもなんでもないじゃん、と思いきやお値段が…。希望小売価格30万(税別)、中古で7万ってどんだけー、の世界であります。このDVD-BOXは、日中国交正常化30周年にあたる2002年にNHKの企画で作られた日中共同プロジェクト番組のDVDやその解説書籍のセットであります。DVD15巻の詳細内容は、4巻が番組「完全復元 満漢全席」で、4巻が「中国料理四千年の奥義」と題された中国の代表的料理のレポート、7巻が「満漢全席の精髄 技術編」となっています。当時見たのですが記憶が定かで無く、今調べるとNHKアーカイブに「西太后60歳誕生日の朝に行われた『早膳(そうぜん)』を再現する」とありました。おお、まさにこの前揉めに揉めた西太后の誕生日のことではありませんか。そう思うと俄然見たくなるのですが、何といっても手が出づらいお値段なのが苦しいところ。折角ドラマも放送中でタイムリーなのだから再放送を切にお願いしたいところですよ、NHKさん!
基本的にこれまでここでご紹介した書籍やDVDは全て私が見たものなのですが、今回ばかりは例外です。最初は外そうかと思ったのですが、たまたま発売元のバンダイビジュアルによる商品概要を読んだところ、どうしても今見たくなったので勢いでご紹介してみました。1巻から15巻まで収録時間は16時間48分、内容は「西太后と乾隆帝が食した満漢全席の全メニューと再現までのドキュメント」「満漢全席のアレンジ方法など、現代にも活かせる料理技術を本場のシェフが解説」とあります。うーん、ますます見たいものです。
ドラマ「蒼穹の昴」は毎週日曜日よる11時から放送です。1月9日は通常より20分遅れますのでご注意を。予告および関連動画はドラマ公式サイトにて視聴出来ます。
あらすじ!NHKドラマ「蒼穹の昴」
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