韓国ドラマ「ファン・ジニ」ここが見どころ①:ハ・ジウォン絶品の演技と新たな視点で描いた妓生の物語

2018年06月22日08時00分ドラマ
(c)KBS, Photo Licensed by KBS/KYN

美しい映像によく練られたストーリーと俳優陣の好演などヒットの要因が揃った「ファン・ジニ」(2006)は下馬評どおり最高視聴率29.3%をたたき出す大ヒットとなった!10年以上たっても色あせない本作の見どころをご紹介、本作はKBS World TVにて全話無料配信している。但し日本語字幕なし。また2018年6月現在Huluで配信中だ。

【「ファン・ジニ」を2倍楽しむ】で紹介した記事をリライトしたものです。「2倍楽しむ」では、ドラマの時代背景や写真付きで各話の詳しいあらすじ、キャストの魅力などをまとめて紹介しています。

「ファン・ジニ」は、卓抜した技芸の才能で差別や偏見の多かった朝鮮王朝時代に反旗を翻し、女流芸術家として生きた実在の妓生、黄真伊の半生を描いたドラマ。

■キャスト
ハ・ジウォン(ファン・ジニ/チニ役)
キム・ヨンエ(ペンム役)
チョン・ミソン(ヒョングム役)
キム・ボヨン(メヒャン役)
ワン・ビンナ(プヨン役)
チャン・グンソク(ウノ役)
キム・ジェウォン(キム・ジョンハン役)
リュ・テジュン(ピョクケス役)
イ・シファン(ムミョン役)

fanjini■妓生を新たな視点で描いた職業ドラマ
妓生(キーセン)というと、酒席で男性の相手をしたり、女性の悲惨な人生を語るためのエピソードとして描かれることが多かったが、この作品ではそうしたイメージから完全に脱している。
切ない2つの恋も描いてはいるが、全編通して詩と芸術、音楽、舞等の芸妓としての生きざまに焦点を当てている。
そうした意味で、筆者はこのドラマを「宮廷女官チャングムの誓い」と同じく“職業ドラマ”として分類した。(「ドラマの年表(朝鮮王朝編)」第11代王・中宗の欄参照)
※「ファン・ジニ」ではパク・チャンファンが演じた王は、「チャングム」ではイム・ホが演じている。11代王・中宗についてはコチラで詳しく紹介。

■美しい映像美
艶やかな衣装をまとった芸妓たちの舞う姿や、装飾品、風景などどのシーンも切り取ればそのまま一幅の絵になるような美しい映像に、ため息がもれる。特に物語の終盤で登場する“桃の形の籠”と罪人を移送する“檻の荷車”が行き交う場面。俯瞰でとらえたこのシーンは息をのむほど美しい。あまりに美しすぎて物語をいっそう切なくする。名場面で流れる楽曲「貴方を想い」も素晴らしい。
※ドラマの設定は16世紀だが、妓生たちの美しい衣装などは19世紀のモノを参考にしている。

ファンジニ■ハ・ジウォンの絶品演技
このドラマの一番の見どころはなんといってもハ・ジウォンの演技だ。芸と恋との狭間で揺れる葛藤をゾクッとするほど美しく演じている。

1997年「学校2」の不良サークルのボス役でドラマデビューしたハ・ジウォン。2000年『真実ゲーム』で映画デビューも果たし大鐘賞新人賞を受賞。青龍映画祭助演女優賞を獲得した映画『リメンバー・ミー』で人気上昇し、ドラマ「バリでの出来事」で若手演技派女優として注目された。

彼女の魅力は意志の強いあの“目”。剣道、ゴルフ、乗馬、ジャズダンスなどが抜群の運動神経の彼女は2003年「チェオクの剣」(茶母)の女剣士で時代劇に挑戦し、強くて美しい女優の代名詞を手にした。「チェオク」は韓国で若者から圧倒的な支持を取り付け、「茶母廃人」と呼ばれる熱烈なファンも登場するほどの注目を集めた。

ファンジニそんな彼女が3年後、美貌と芸を誇る妓生にして詩人であるファン・ジニに挑戦した。役作りのために伽椰琴(カヤグム)や古典舞踊、所作、書などの猛特訓を受けた。中でも舞は韓国無形文化財から指導を受け、劇中で描かれた特訓より厳しかったそうだ。
妓生の衣装やカツラの重量は想像を超える重さ。その姿で軽やかに舞ったりするのは相当大変だったはず。演技に徹底的にこだわる彼女は、このドラマの撮影中の半年間は24時間ほとんどファン・ジニ姿で通したというから驚く。劇中の伽椰琴、舞はもちろん、綱渡りシーンも代役なしで挑んだ。

強くて美しい役がハマり役だったハ・ジウォンに“たおやかさ”という代名詞も加わり、本作でみごとKBS演技大賞を受賞した。ちなみに映画版『ファン・ジニ』はソン・ヘギョが演じている。

この後ハ・ジウォンは、2010年「シークレット・ガーデン」、2012年「キング~Two Hearts」、2013年「奇皇后」、2015年「君を愛した時間~ワタシとカレの恋愛白書」など様々な役柄でさらに演技の幅を広げている。

■キム・ヨンエ圧倒の演技
ハ・ジウォンが絶品演技なら、キム・ヨンエは圧倒の演技で松都行首ペンム役になり切った。ペンムはファン・ジニの舞の師匠でもあり弟子を鬼のようにしごく。師弟愛といえば「宮廷女官チャングムの誓い」のチャングムとハン尚宮の師弟愛(「チャングム」の師弟愛で解説)に泣かされたが、こちらの師弟関係は愛憎が入り混じったなんとも凄まじいものだ。
ペンムは、「今の2人は愛のためなら命を捨てても良いと思う年頃。その無謀さを世間では”若さ”と呼ぶのです」や「芸妓の一番の友は苦しみ」など胸にグサっと突き刺さる台詞をいくつも口にする。
全身全霊で芸を愛したペンム。一時は嫉妬もした弟子の才能を守るために最後にどうするのか?気になる方は第17-20話あらすじで詳しく紹介している。

「愛の群像」「ロイヤルファミリー」などでも気迫の演技を見せてくれたキム・ヨンエだが、2016年「月桂樹洋服店の紳士たち~恋はオーダーメイド!~」が遺作となった。

■妓生たちの悲しい覚悟と愉快な女子トーク
妓生たちは艶やかな衣装をまとって美しく舞うが、彼女たちの悲しい身の上や覚悟を思うと涙が出てくる。ある妓生の水揚げ前夜の悲しい選択にはやるせない思いで胸が痛んだ。
その一方で、松都教坊の準備室で若い妓生(童妓)たちが身支度する場面はにぎやかで楽しい。イマドキの働く女性たちが休憩室でおしゃべりするようなテンポの良さで“女子トーク”をする。思わずメモっておきたい美容に関する豆知識やコスメ情報なども飛び出すのでお見逃しなく。

●ヒロインの切ない2つの恋については「ここが見どころ②」で紹介。

韓国KBS World TV「ファン・ジニ」ep.1
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kandoratop【作品詳細】【「ファン・ジニ」を2倍楽しむ】