【韓流コラム】韓国バラードは心の処方箋

2019年01月24日22時20分音楽
出典:Amazon
韓国ドラマ - オータム&ウインター・セレクション

ナビコン【韓流コラム】は、韓ドラ好きのスタッフが思い思いに韓ドラ愛を語るコーナー!コラムの中で紹介するドラマや映画はタイトル青文字をクリックすれば、作品詳細や関連動画ページにジャンプ可能。今回は、韓国ドラマを盛り上げる韓国バラードについて。

【韓国バラードは心の処方箋】
まもなく、平成という一つの時代が幕を閉じようとしている。
この平成という時代に、世間には「韓流」という言葉が生まれ、今となってはそのワードの響きさえ懐かしく感じてしまうほど、韓国のドラマや映画、音楽に至るまで、隣国の文化がこんなにも日本にしっかりと根付いている。
NHKの紅白歌合戦にK-POPアーティストが出演するようになったことになんの違和感も覚えなくなった昨今ではあるが、今から遡ること15年前の2004年4月、日本中の冬ソナファンの心を高揚させたペ・ヨンジュンの来日がなければ、今の日本に韓流という文化はおそらく生まれていない。
「冬のソナタ」は隣国のドラマでありながら、間違いなく平成の秀作といえる。そしてペ・ヨンジュンという人物もまた、日韓の距離をこれほどまでに親密にしてくれた平成の偉人の一人といっても過言ではないはずだ。

■韓国バラードは心の処方箋

「冬のソナタ」の主題歌「最初から今まで」の悲しげなピアノのイントロをたまにどこかで耳にすると、ふとその当時の記憶にワープするのは筆者だけではないだろう。BTS(防弾少年団)やEXO、TWICEなどK-POPアイドル人気が止まらない今の第三次韓流ブームだが、日本に韓流の礎を築いた多くのファンたちが最初に耳にしたのは、韓国ドラマに流れるバラード曲だったはずだ。
それなのに、韓国バラードがK-POPアイドルのように日本で爆発的ブームが来ないのはなぜなのか?いまだにそれが不思議でならない。
最初に聴いた韓国バラード曲は何ですか?と尋ねたら、多くの答えが寄せられるだろう。冬ソナはもとより、イ・ビョンホン主演「美しき日々」の主題歌「約束/ZERO」だという人もいれば、クォン・サンウ主演「天国の階段」の主題歌「ポゴシプタ(会いたい)/キム・ボムス」だというファンもいるだろう。

韓国ドラマにドラマOSTが欠かせないのは、韓流ファンにとっては衆知の事実。最近では、「太陽の末裔」のYou Are My Everything/GUMMYやWith You/Lynなど、女性OST歌手の活躍もめざましい。
せつないシーンで涙をこらえる主人公をバックに、これでもかと感情を煽るバラード曲が流れる。主人公は涙をこらえているのに、涙を抑えきれないのはドラマを見ている私のほう…という人も多いはず。心の奥底にあるなんらかの感情が涙に形を変えこぼれ出す、それがカタルシスとなって、精神の浄化になっていく。
抑えきれない感情に身を委ねたくなるとき、韓ドラ+韓国バラードは心の処方箋なのだ。

■韓国バラードはなぜこんなに心に響くのか?

「冬のソナタ」がブームになった頃、初めて東方神起を知った。当時まだ彼らは16歳だった。可愛い少年たちが歌っているミュージックビデオを見て抜群の歌唱力に感嘆した記憶がある。その彼らがK-POP界を牽引し、今や世界的大スターとなったBTSやTWICEに至るまで若さ弾けるK-POPアイドルたちは、まったりと韓国バラードに浸っている筆者の横を瞬く間に駆け抜けていった。
そんなK-POPアイドルも、自身のコンサートなどで先輩歌手のバラード曲をとても魅力的にカバーすることが多い。一糸乱れぬダンスパフォーマンスという驚異的な才能を持ちながら、抜群の歌唱力まで兼ね備えているとは、天は二物も三物も与えすぎだ。
韓国MBCで放送中の「覆面歌王」でもアイドルが歌うバラード曲を聴くことができる。EXOのチェンはキム・ドンリュルの名曲「酔中真談」を歌って観客を魅了したし、BTOBのソンジェも同じくキム・ドンリュルの「感謝」を披露し、客席を沸かせたことがある。BTOBのソンジェは小学生のときに、キム・ドンリュルの歌を聴いて歌手になりたいと思ったそうだ。
今や世界の音楽シーンを沸かせているK-POPアイドルたちの夢の源も、やはり自国の名曲たちなのだろう。

韓国のバラードがなぜこんなにも自身の胸に響くのか長い間の疑問だったのだが、先日訪れたソン・シギョンのコンサートでその謎が解けた。(あくまでも筆者個人的に)
「僕はマイナー調の歌は、あまり歌わないんですけどね…」と言いながら、スターダストレビューの「木蓮の涙」を見事に歌い上げたソン・シギョン。もちろん、それが感動的だったことは言うまでもないが、彼がポロっと呟いたひとことが筆者の心の琴線に触れた。
韓国バラードでヒットしている歌は、どん底の悲しみをメジャーなメロディに乗せて表現しているものが多い。去り行く恋人に戻ってきてくれと訴える歌も、愛する人を失った悲しみに暮れる歌も、歌詞はとてつもなく惨めで悲しいのに曲調はメジャーコードで、かつ壮大なスケールの曲だったりする。だからこそ、悲しみの中にもかすかな光を感じ、聴いている人に何らかのパワーを与えてくれるのではないだろうかと、一人で勝手に納得していた。

■좋니 (Like it)/ユン・ジョンシンの起こした奇跡

最近では、2017年に韓国で大ヒットしたユン・ジョンシンの「좋니 (Like it)」が記憶に新しい。この曲は、強力なアイドルファンダム(ファンの集合体を指す)を突き破って音源チャート1位という奇跡を起こした名曲だ。最近の韓国の音楽チャートはアイドルファンダム合戦になっていて、アイドル以外の曲が長期に渡り1位を獲得するのは、実に珍しいこと。ユン・ジョンシンは1969年生まれの50歳で、デビューして25年の大ベテラン。オーディション番組の審査員も務めるなど、ここであえて解説の必要もないほど韓国では超有名アーティストだ。
ユン・ジョンシンの「좋니 (Like it)」はコチラで視聴できる。

ユン・ジョンシンの「좋니 (Like it)」

ユン・ジョンシン「좋니 (Like it)」は毎日聴いても飽きないと話す韓国人もいる。BTSのメンバーや多くのアイドルもこの歌を好んでよく歌っている。
韓国にはドラマOSTに限らず、素晴らしい歌手やバラードの名曲が数多く存在するにもかかわらず、K-POPアイドルのように日本への市場が十分に開かれていないことが残念だ。

音楽は国境を超える。
映画『ボヘミアンラプソディー』でクイーンブームが再燃したような状況までは望んでいないが、韓国バラードの名曲を日本でも多くの人に聴いてもらえるような機会が来る日を、ファンとして心の底から願っている。
ちなみに、リアルなクイーン世代ではない筆者は、韓国のカリスマロッカーであるキム・ギョンホのライブで初めてクイーンを知った。今、彼が日本のクイーンファンの前でライブをしたら、ファンは歓喜の涙を流すだろうな…と行き場のない想いを抱えつつ、今日も動画で彼の歌を堪能する。

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