「蒼穹の昴」豆知識:清朝におけるスーパー皇帝・乾隆帝ってどんな人?

2019年05月16日12時55分ドラマ
(C)アジア・コンテンツ・センター、北京華録百納影視、
博報堂DYメディアパートナーズ/浅田次郎・講談社

BS日テレで浅田次郎原作の日中合作ドラマ「蒼穹の昴」が好評放送中だ!今回は、西太后の世まで崇め奉られている人物として名前の出る乾隆帝についてご紹介、ドラマ予告動画はYoutubeにて公開中だ。
(※この記事は、【「蒼穹の昴」を2倍楽しむ】の「コラム」より一部抜粋、リライトしたものです)

■乾隆帝は清朝が絶頂期の大トリ!
(生1711.9.25~没1799.2.7、在位1735.10.8~1796.2.9)
日本でよく時代劇に取り上げられる人物には信長や秀吉、家康、坂本龍馬に新撰組…などがあるが、中国でも同様にドラマ化されやすい歴史人物がいる。その一人が「蒼穹の昴」でも重要な存在である「乾隆帝」。乾隆帝は、清朝におけるスーパー皇帝で、清朝全てを通じて最高峰の皇帝と見なされている人物である。乾隆帝の時代に清朝の勢力図が最大になったという事を皮切りに、「四庫全書」という優れた書の編纂、内政の充実によって度々減税を行う事で民の信奉も篤い皇帝だった。漢詩や芸術に精通した文人皇帝でありかつ武芸にも優れ、後の皇帝の規範とされる人物だっただけにその威光は代々伝えられてきた。

清朝を語る上で「三世の春」という言葉があるが、これは康熙・雍正・乾隆という3代にわたる賢帝の出現で清朝が絶頂期を迎える黄金の時代を表している。その大トリとも言える乾隆帝は現代の世でも人々に愛され、その逸話は数多くドラマ化されている。「蒼穹の昴」の第2話で「訓政」の話が出たが、乾隆帝は在位60年を迎えるに当たって祖父である康熙帝の治めた61年を越えてはならないとして名目上引退をしたものの、実際は太上皇として実権を持ち続けたという話だった。令和を迎えた今年、昭和を知る人にとっては在位60年というものがいかに長いかというのを実感出来るのではないだろうか。

それだけ長い間世に君臨していたのだから、逸話もたくさん生まれている。ドラマ化されるに当たっても若き乾隆帝、年老いた乾隆帝、武人としての乾隆帝、文人としての乾隆帝などなど、様々な切り口で描く事の出来る魅力ある人物である。数ある乾隆帝のドラマの中でも人気のあるあらすじが、乾隆帝が平民を装って世の中の様子を見て回るという内容で、日本でも「暴れん坊将軍」や「水戸黄門」が人気であるように、中国でも人々に愛されている定番の物語。日本のものは架空の設定だが、乾隆帝は実際に変装して庶民の姿を見て回ったという記録が残されている。
「蒼穹の昴」に直接関係は無い乾隆帝だが、どんな人であったかを知る事で何故西太后の世まで崇め奉られているかという事が分かってよりドラマが楽しめるのでは?

■中国を知るこの一冊
このドラマを見て中国旅行をしたいと思う方も多いのでは?圧倒的な自然と数千年の歴史が育む文化と芸術、14億人近い人々が活気みなぎる驚異の大国だけに、書店でも中国の旅関連の本は実に多い。しかし、せっかく「蒼穹の昴」を視聴しているのなら、ずばり『浅田次郎とめぐる中国の旅』という一冊をお勧めしたい。これには「蒼穹の昴」にまつわる作者の思いが込められた一冊となっている。この作品以前の作者は極道お笑いシリーズなどを執筆していたので、いきなり長編中国時代劇を書いた事で当時は驚く人も多かったようだ。この本の冒頭部分にあるエッセイで、浅田次郎が中国清朝に傾倒するきっかけとなった書物として前回の豆知識で紹介した宮崎市定の本の前身である「科挙史」を挙げている。清朝に対する作者の思いが如何ほどのものか切々と綴られており、読むに連れてこちらまで清朝の魅力の虜になってしまいそうだ。

この本で浅田次郎が旅しているのは紫禁城こと故宮博物院、北京市、瀋陽、万里の長城の八達嶺や山海関などだ。素晴らしいのは「浅田次郎と紫禁城を歩く」と題された観光案内。お勧めの紫禁城観光コースが示され、それに沿って作者による解説文が記されている。浅田次郎の中国史に対する造詣に裏打ちされたガイド文は、一般の観光ガイドでは味わえない奥深さがある。

BS日テレ「蒼穹の昴」番組公式サイト
 2019.05.10スタート 月~金10:00-11:00
Youtube「蒼穹の昴」予告動画
 ※2019年5月10日~2019年6月13日(予定)放送!

ドラマをもっと楽しむためのコーナー 【「蒼穹の昴」を2倍楽しむ】