「マイ・ディア・ミスター」最終回考:誰かに話さずにはいられない!最高の結末とネタバレあらすじ-BS11-予告動画

2019年12月10日16時25分ドラマ
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BS11で放送していた韓国ドラマ「マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~」が12月10日(火)で最終回を迎えた!人間関係が希薄になりつつある昨今、人と人との繋がりの温かさを極上のストーリーで伝えてくれた本作の魅力を、ネタバレあらすじを含めて振り返ってみたい。なお、本作はDVDも発売中で、作品公式サイトでは予告動画も公開されている。



「マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~」は、不遇な人生を生きている若い女性と人生の重さに耐えながら生きている中年男性が出会い、お互いの人生を癒やしていくヒューマンドラマ。「ミセン-未生-」「シグナル」などヒット作を連発しているキム・ウォンソク監督の演出作品で、IUが女優としての新境地を開き、2018年百想芸術大賞作品賞も受賞した感動作である。韓国放送時には右肩上がりの視聴率で同時間帯一位を記録した。

本作の序盤はとても重苦しい雰囲気が漂う。主人公のジアンが不憫でいたたまれず、ラストまで視聴できるか心配だった方も少なからずいるのではないだろうか。本作は、ラストまで見た人でないとこの感動は味わえない。途中リタイアした方がいたら、次の機会にはぜひ、ラストまで視聴していただくことを強くオススメしたい。

おじさん■ドンフンは月の光のような人
主人公のジアン(IU)は、不遇な人生を生きてきたため世の中に絶望し、周りに壁を作って生きている女性。一方、“おじさん”と称されるドンフン(イ・ソンギュン)は平凡と安定を好み、けして冒険はせず、会社でも家庭でもまるで無期囚のように生きている。辛いことや悲しいことが降りかかっても、「なんてことない」と自分に言い聞かせ、常に本音を心のうちにしまうことに慣れてしまった。

ジアンは当初、お金を稼ぐ手段としてドンフンの盗聴を始めたが、盗聴をすればするほど彼の人間性に魅了されていくようになる。育った環境も年齢も全く違うジアンとドンフンだが、気持ちを押し殺して生きているという共通点があった。自分自身が嫌で世の中に対しても嫌気が差し、生きづらさを抱えている二人がいつしか共感しあうようになっていくところが、本作の最大の魅力だ。
「私のおじさん(原題)」というタイトルから、若い女性と年の離れた男性とのラブストーリーだと誤解されがちだが、本作はそうではない。親子ほど年の離れた男女がお互いに共感し慰めあうとするなら、大抵、不倫かそれ相応のラブストーリーになりそうなものだが、あえて、ラブラインを描かなったかったことが、本作がこれほどまでに感動作と称された理由の一つでもあろう。
ただし、ラブラインを描いていないとはいえ、ジアンがドンフンを心から尊敬し、愛していたことは明らかだ。小さい頃から苦労しながら生きてきたジアンの傷だらけの心を最初に理解したドンフンに対し、強烈な愛情を持つことは極めて当然のことで、彼を見つめるまなざしからもジアンのドンフンへの清らかな愛が感じられた。
おじさんジアンがドンフンに心を開くようになったのは、祖母ボンエに月を見せに行くジアンをドンフンが手助けした時からだった。
別れ際にドンフンはジアンに「착하다(チャッカダ)」=「いい子だな」とひとこと告げる。(착하다は直訳すると、善良だ、親切だ、やさしい、という意味)
スーパームーンのような満月をボンエに見せていたジアン、ジアンにとってドンフンは一筋の光のような存在だが、それは太陽の光ではなく、月の光のようだとIUがその後のインタビューで答えている。暗い空でやさしく光を放つ月は、暗かったジアンの人生を温かく見守るドンフンのやさしさの象徴ということなのだろう。

おじさん■人間にはみな治癒能力がある
本作で、もう一つの癒しを与えてくれたのは、三兄弟の長男サンフン(パク・ホサン)と三男のギフン(ソン・セビョク)だった。気持ちを押し殺すドンフンとは対照的に、この二人はちょっとのことで大騒ぎするが人情には厚い。ボンエの葬儀の際に見せたサンフンの最高の男気には感動。また、ギフンが『誰も知らない』(是枝裕和監督作品)に触れたセリフの中に、本作の制作意図の一片を垣間見たような気がした。
おじさんジアンもグァンイル(チャン・ギヨン)もギボム(アン・スンギュン)も、いい大人に出会えずに育ってしまった。これはある意味、現代社会への警鐘でもある。

ジアンはドンフンに、ドンフンはジアンに癒され、お互いそれぞれに幸せな道を歩んでいく。きっとこの二人は生涯、素敵な関係を築いてくれるに違いない。最終回でのドンフンの嗚咽のような涙は、これまで押し殺してきた自分の感情を解き放ったかのような涙だった。
人間にはみな治癒能力がある。何かをきっかけに抱えていた肩の荷を下ろせば、いつでも再生できることを本作は私たちに教えてくれた。

おじさん■最終回ネタバレ
ボンエの葬儀が滞りなく執り行われる。サンフンの取り計らいで盛大にボンエを見送ることができたジアンはドンフンらに心から感謝する。ある日、ドンフンが出勤すると差出人不明の小包が届いていた。それは、グァンイルがジアンを守るために送った、盗聴内容が録音されたUSBだった。それによりジュニョンは会社をクビになる。
その後、ジアンはチャン会長の紹介で釜山で働けるようになったことをドンフンに報告する。ジアンが「私の肩の荷を下ろしてくれてありがとう」と感謝の言葉を述べると、ドンフンは「おまえは俺を救うためにこの町に来たのかもしれないな」と話し、幸せになろう!と二人は穏やかな表情で乾杯する。
別れ際、「一度、抱きしめてもいい?」と聞くジアンをドンフンはやさしく抱きしめる。やがて、ドンフンは会社を退職し自分の会社を設立する。一方、サンフンは妻と元サヤに戻り、ギフンは映画製作に一念発起しそうな気配だ。
ある日、ジアンが同僚とカフェに入ると聞き覚えのある声が。近寄ってみると、そこにはドンフンの姿があった。再会を喜ぶドンフンとジアン。「今度、おじさんに美味しいものをごちそうしたい」と言うジアンに「今度、会社に遊びに来い」と話すドンフン。二人はかたい握手をして別れる。同僚と去って行くジアンの後ろ姿をドンフンは嬉しそうに見つめていた。

■キャスト
パク・ドンフン役:イ・ソンギュン「パスタ〜恋が出来るまで〜」
イ・ジアン役:IU(イ・ジウン)「麗<レイ>〜花萌ゆる8人の皇子たち〜」
イ・グァンイル役:チャン・ギヨン「ここに来て抱きしめて」
パク・サンフン役:パク・ホサン「刑務所のルールブック」
ほか

Youtube「私のおじさん(原題)」予告動画
BS11「マイ・ディア・ミスター ~私のおじさん~」番組サイト
 2019.11.04-12.10 月~金15:29-16:30 BS初放送

kandoratop【作品詳細】【「マイ・ディア・ミスター」を2倍楽しむ】