テレビ東京「風と雲と雨」(全28話版)第27-28話(最終回)あらすじ:虎猟作戦と民衆の世を夢見て最後の決戦
興宣大院君の暴政を止めるためにチョンジュンは…テレビ東京にて地上波放送中パク・シフ×コ・ソンヒ×チョン・グァンリョル共演の「風と雲と雨」(全28話)2022年6月8日(水)・9日(木)の第27話と第28話(最終回)ネタバレあらすじと見どころ、豆知識をご紹介、DVDも発売中で公式サイト、Youtubeにて予告動画が視聴できる。
「風と雲と雨」は朝鮮最高の観相師と神力を持つ王女、運命に翻弄される愛の行方とキングメーカーたちの王位争奪戦を描くアクション・ロマンス時代劇。【「風と雲と雨」2倍楽しむ】では、2020年に行われたイベントレポート、スペシャル映像、インタビュー映像、各話のあらすじと見どころなどまとめて紹介している。
※当時の時代背景については歴史:哲宗(チョルジョン)、朝鮮最後の王位争奪戦で解説。
※以下、オリジナル全21話版で視聴しているために、カットされた部分やあらすじが前後することもあることご理解ください。また詳しいあらすじを知りたくない方は、見どころと※豆知識をご覧になってあらすじは確認用としてご利用ください。
■キャスト
チェ・チョンジュン役:パク・シフ
ポンリョン(ポンリョン)役:コ・ソンヒ
興宣大院/イ・ハウン役:チョン・グァンリョル
チェ・インギュ役:ソンヒョク
ほか
■第27話
ロシアは南下政策を続け、頼みの清(中国)ももはや頼れる存在ではない。チョンジュンのいう列国同士を牽制させる“以夷制夷”を認める興宣大院君だが、チョンジュンは西洋人を利用して自分や王に反逆を企てていないか確かめる必要があると、高宗に話す。
※以夷制夷(いいせいい):異民族を利用して他民族を抑える。
大院君は西洋人と内通した天主教徒たちを晒し首にする。チョンジュンは天主教徒と一緒に捕まったパルヨンたちを助けるため大院君に会う。大院君はチョンジュンがロシアに宛てたという文書を見せる。証拠の品として王から下賜された金塊まで見せられては打つ手はない。我が子とボンリョンの命まで持ち出され、チョンジュンは土下座して忠誠を誓うしかなかった。
大院君を恨むチョンジュンだが、彼がロシアと内通したという偽文書と証拠の品を仕組んだのは、大院君ではなく、味方のはずの豪商イ・ドギュンだった。チョンジュンと大院君が手を組むことを恐れたドギュンの策略だった。そしてそれを王妃ジャヨンも知っていた。
大院君の横暴に業を煮やしたチョンジュンは、国の運命を変えるべく大院君暗殺を決意する。これを察した山水道人はチョンジュンに暗殺計画を確かめ、チョンジュンはこれを認める。自分の運命を変えることが目的だったが、興宣大院君を殺してこの国の運命を変えるために生まれてきたと気づいた。道人はチョンジュンならできると、励ます。
暗殺を決心したチョンジュンは、我が子ムンを連れてドギュンの元へ行くようボンリョンに言うが、ボンリョンはドギュンを信じてはいけないと忠告する。ボンリョンはドギョンの変化を気で感じ取っていた。別の場所に身を隠すというボンリョンに、計画が成功したら王宮に旗を立て、失敗したら信号弾を打つと、チョンジュン。我が子とチョンジュンの帰りを待っていることを忘れないでと言うボンリョンの額に約束の口づけをして最後の決着をつけに行くチョンジュン。
景福宮の火災や外敵の侵攻で不安がる民を慰労するために観灯祭(クァンドゥンチェ)を行うと高宗に伝える大院君。チョンジュンを気に掛ける高宗に、口先だけの忠誠ではなく彼の手足を切ると答える。その頃、チョンジュンはマンソクに火薬を集めさせる。大院君は明日の観灯祭のあと、貿易館の教徒を全員逮捕し、謀反の罪を着せて処刑するつもりだった。これを知ったチョンジュンはパルヨンたち仲間にこのことを話し、大院君を爆弾で暗殺する“虎猟作戦”を話す。失敗すれば処刑されると説明するが誰一人として計画を抜ける者はいなかった。
大院君はさらにボンリョンとその子ムンの拉致を部下に命じる。尾行に気づいたボンリョンは、ダンイと乳母にムンを託して貿易館でチョンジュンを待つよう告げ尾行をまく。
一方、警備の厳しい大院君を暗殺するために、チョンジュンはイギリスで学んだ時限爆弾をコムンゴ(伝統楽器、朝鮮の琴)に仕込、琴線を伝った液体で点火させる計画だ。その頃、ジャヨンは護衛のチソンだけを連れてお忍びで賑わう市場に出ていた。そこでチョンジュンを見かけるが、彼とは進む道が違うと声をかけない。
夜、追っ手をまいて逃げるボンリョンだがとうとう捕まってしまうが、インギュに救われるが、次々襲ってくる負ってたち相手に戦い背中に剣を突き刺したままボンリョンを守るインギュ。
その頃、賑わう人々を眼下に見下ろし満足した大院君は宴会場へ。そこにチョンジュンが姿を見せ、自らを大院君の臣下と名乗り、酒を差し出す。その酒をコムンゴ(琴)に撒き、大院君に賛辞を贈るチョンジュン。安心して酒を飲む大院君の姿に計画成功を確信したチョンジュンは部屋から出ていく。ところが入れ替わりに子どもたちが部屋に入り、大院君に近づくのを目撃したチョンジュンは部屋に戻って時限爆弾を仕込んだコムンゴを放り投げ、子供たちを守る。しかしそれは大院君を守ることでもあり、“虎猟作戦”の失敗を意味する。グチョルが計画失敗の信号弾を打ちあげる。
計画失敗の信号弾を合図に仲間たちは、三田渡場の民たちを連れて彰義門を通って漢陽から逃げて金剛山を越えて朝鮮を出る手はずになっていた。実はチョンジュンは計画が失敗しても仲間と三田渡場の民が暮らせるようにと、マンソクに延秋に広大な土地を買わせていたのだった。そしてその時には必ず国を超えろと仲間に言い聞かせていた。
延秋(ヨンチュ):ロシア極東にあった代表的な朝鮮人村。1860年代より飢饉に襲われ、生活の糧を求めて朝鮮の民が沿海州に集まった。その後、1910年、日本が朝鮮を植民地化すると、その政治的・経済的圧迫を逃れてもっと多くの朝鮮人がロシア領に流入して来るようになった。
夜が明け、瀕死のインギュは傍らで眠るボンリョンの手にそっと触れ、静かに涙を流す。遠のく意識の中でインギュは、これまでのことをボンリョンに謝り、感謝して虹のかかる中ボンリョンと手を繋いで幸せにあの世に旅立つ。目覚めたボンリョンはインギュの冥福を祈るが…。
■見どころ
土下座で忠誠を誓わされるチョンジュンの震える拳に激しい怒りが見て取れる。それにしてもまさかドギュンが裏切っていたとは。しかもジャヨンまでがそれを容認していたとは…。ジャヨンを演じるパク・ジョンヨン。可憐で民を思う貧しい少女から、王妃になってどんどん表情がきつくなっていく。前回は悔しさに唇をかみ切ったが、チョンジュンを見限った冷たい笑みが恐ろしい。実在の明成皇后と演じたパク・ジョンヨンについては【明成皇后】で詳しく紹介。」
それに引き換え、子供たちを守るために成功必至の計画を自ら失敗させるとは。父の敵であるインギュへの対応と言い、チョンジュンの優しさと懐の深さに泣かされる。そんなチョンジュンに助けられたインギュ。いつものイッちゃってる目ではなく、ボンリョンを助けるときの眼差しが柔らかい。また、ボンリョンを名前で呼ぶあたりからも、執着が恋慕に変わった証明。最期の涙が幸せそうにも思える。不器用ながらも彼なりに愛する人へ全力でぶつかり続けたインギュという人物を俳優ソンヒョクは見事に演じきった。
■第28話(最終回)
興宣大院君暗殺は失敗に終わり、チョンジュンは捕らえられる。大院君は「王権を強くして権力者の横暴を止め、外敵から民を守り、王室を正し国の威厳を示すことが目指す道だった」と語り、チョンジュンも同じ夢を見てきたではないかと問う。それを認めるチョンジュンに、天主教を迫害する理由と鎖国を論じる。チョンジュンは開国の必要を訴えた上で、口実を並べているだけで実際には権力を持ちたいだけの醜悪な権力者に過ぎないと、大院君をにらみつける。その権力への執着がいつが朝鮮を亡国に導くだろうとも。大院君はこの言葉でチョンジュンと共存するのは無理と認め、残念だと言う。そしてチョンジュンを刑場に連れて行き、生きたまま手足を切り、見せしめのために城門に放置するよう命令する。「虎狩りはまだ終わっていない」と憎しみの目を大院君に向けるチョンジュン。
大妃は王妃ジャヨンを呼び寄せ、チョンジュンをこのまま死なせるのは惜しいと告げ、高宗も同じ気持ち。義理堅い彼を助けてやれば後日必ず借りを返すだろうと。その意を酌んだジャヨンは動きだす。一方、パルヨンもじっとしていなかった。
刑場。今まさにチョンジュンの手足が切り落とされそうになった時、チソンが防ぐより早く、パルヨンの銃声が響く。そして「チェ導師様が何をしたというのか」という叫びに、その場にいた民衆が同意の声を上げ、一斉にチョンジュンを助けるために刑場になだれ込み、暴動を起こす。チソンやダンイも駆けつけチョンジュンは間一髪のところで救出される。チョンジュンは仲間たちに礼を言う。しかしボンリョンが捕らえられてしまったことを知ったチョンジュンは、眠る我が子の頬をなで仲間たちを先に国外へ逃がし、無事の再会を約束して大院君の屋敷へ最後の決着をつけに行く。
その頃、チョンジュを逃がしたことに憤怒する大院君は、チョンジュンとその協力者イ・ドギュンの連行を命じ、四大門を閉じるよう指示する。
その夜、ボンリョンを取り戻すために再び大院君と対峙するチョンジュン。銃を向けるチョンジュンの後ろには刀を突き付けられたボンリョン。ここで自分を銃撃すればボンリョンは殺され、チョンジュンは妻を見殺しにしてまで王になり違った男となる、脅す一方で、銃をおろせば親子3人が朝鮮で安全に暮らせるようにするという大院君。「朝鮮はお前の国ではない、民衆の国だ…真の王は民衆だ」とチョンジュンは叫び、「王の時代は終わり、竜の化身の王は伝説になり、民が王になる世の中になる」と最後の予言をする。大院君は「そんな世界はこない」と否定し、結局最後まで分かり合えない2人。そして大院君は「外国でそんな世界を実現しろ」とボンリョンを解放し2人を逃してやる。だが大院君の手下が逃げるチョンジュンとボンリョンを狙い、ボンリョンを守ってチョンジュンが銃弾に倒れる。チソンが駆けつけボンリョンは助かるが、チョンジュンは「息子には、我々のように親を失わせてはいけない」と言い、縋りつくボンリョンをチソンに頼んで、その場で倒れてしまう。
翌日、チョンジュンの仲間が貿易館にいるという噂を聞いた大院君の手下が駆けつけるが、そこにはいなかった。ドギュンの流した噂のおかげでチョンジュンの仲間たちは無事に朝鮮脱出に成功する。ボンリョンを送り届けたチソンから報告を受けたジャヨンは、自分にとっても仲間だったみんなを、そしてチョンジュンを思い出す。そしてチョンジュンの生死の確認が出来ないと聞き、こらえ切れずに涙を流す。
一方、便殿に清の使臣を迎えた大院君は、内政干渉する清に怒り「朝鮮はすでに西洋人を追い払った。 今後もどの西洋諸国にも門戸を開くことはない ! 」と鎖国政策を明言する。その夜、一人便殿に立つ大院君は同じ夢を見たチョンジュンを思い出していた。そして銃弾に倒れたチョンジュンを抱き起し、「私が悪かった」と号泣した日のことを思い出し、静かな涙を流す。
その後ボンリョンたちはチョンジュンが用意したロシアの地・延秋に定着する。ロシアからの通達でこの地が朝鮮村と認められ、フランスからは修道女も派遣されることに。開墾もおぼ終わり、みんなは開かれたこの地で幸せに暮らしていた。次にボンリョンは学校を作ると発表する。ある夜、ボンリョンは日課となった農地開墾の書を呼んでいた。それはチョンジュンが、自分が死んだ後もみんながすべきことを本にまとめていたのだった。ボンリョンは愛する夫が残してくれたことをすべて実行するつもりだった。その時、ボンリョンは蛍を見つける。その光に導かれ歩いて行った先に馬に乗った男が現れる。馬から降りて「戻ってきた。運命を越えて君のもとへ...」という愛する夫チョンジュンに駆け寄り抱き絞めて涙で再会を喜ぶ。
他日、幸せに暮らす仲間たちは祖国に向かって「朝鮮元気でいるか ? ヤッホー ! 」と叫び、自らの運命を変えたチョンジュンは「民衆が、全ての民がこの世の主人であるべき世界。運命を乗り越えてそんな世の中を実現すること。それが私の運命だ、そして我々の運命なのだ」と、長かった夢の実現をかみしめる。
■見どころ
最後の決着をつけるといった場面でも、血を流しあうような残酷で悲惨な戦いではなく、自身の描く理想の国をどのように作り上げるのか語り合う、そんなシーンが続くことだ。自国を守るための鎖国の重要性を説く大院君に、「殴られて帰ってきたらと言って子どもを家に閉じ込めるのか。ケンカしてその後話し合って和解する過程を経ることで強い大人になる」と子育て法で開国の必要性を説くチョンジュンの言葉が単純で実に分かりやすい。さすがムンの父親だ。
チョンジュンに縋り付いては慣れようとしないボンリョンをチソンに頼むチョンジュン。ボンリョンの手が無理に引き離される切ない瞬間をお見逃しなく。
一方、これまで何度もチョンジュンを殺そうとし、ボンリョンを利用した大院君。だが彼が最も傍に置きたかったのもチョンジュンだ。チョンジュンが銃弾に倒れたときの驚きの表情からすると、ひょっとすると大院君は本心ではチョンジュンを殺そうとは思っていなかったかもしれない。目指す夢は同じ2人だったが進む道が違った。単なる善と悪の戦いという構図ではないことから、最終回でも倒れたチョンジュンと泣き叫ぶ大院君など、他のドラマではなかなか見られない展開も本作の魅力だ。
そして第12話でボンリョンがプレゼントした懐中時計のおかげで致命傷を負わずに済み、大妃が助けてくれるとは、驚きの展開でハッピーエンドで終わった本作。うれしい裏切りをしてくれた脚本家に感謝したい。
ドラマのその後については最終回考で解説。
原題:바람과 구름과 비
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各14,740 円(税抜13,400 円)
※DVD 好評レンタル中
発売・販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント
© 2020 TV Chosun
◇テレビ東京「替えと雲と雨」番組公式サイト
2022年5月3日スタート 月~金8:15-9:11
◇「風と雲と雨」公式サイト
◇Youtube「風と雲と雨」予告動画
【作品詳細】【「風と雲と雨」を2倍楽しむ】