韓国歴史大作「風と雲と雨」で終盤の重要人物となる王妃は実在の明成皇后（閔妃）がモデル…今回は朝鮮王朝最後の王妃と、演じた新人女優パク・ジョンヨンを紹介しよう。ドラマの予告動画はYoutubeにて視聴できる。



「風と雲と雨」は四柱推命とサイコメトリーをテーマに、朝鮮最高の観相師と霊能力を持つ王女、権力者たちの王位争奪戦を圧倒的な映像美で描く本格時代劇。【「風と雲と雨」を２倍楽しむ】では時代背景や、実在人物の紹介、各話のネタバレあらすじと見どころなどまとめて紹介している。

■鉄の女・明成皇后・閔氏（生1851年～没1895年）
© 2020 TV Chosun驪城（ヨソン）府院君（プウォングン）・閔致禄（ミン・チロク）の娘。幼名は玆暎（チャヨン/ジャヨン）8歳で両親を亡くし兄弟もいない天涯孤独な少女。興宣大院君の夫人（閔氏）の推挙で王妃に選ばれ、15歳で1歳年下の朝鮮王朝第26代王・高宗と結婚し入宮した。明成皇后・閔氏は容姿端麗で礼儀作法も十分身に着けており、学問にも秀でてどんな名門の娘と比べてもそん色ない娘だった。何より、外戚が権力を握る勢道の弊害を知る興宣大院君は、天涯孤独の少女が条件ぴったりと大賛成。
だが、皇后となった彼女の暮らしは厳しいものだった。夫の高宗は皇后に関心示さず、すでにお気に入りの後宮・李氏がおり、二人の間に王子・完和君が誕生していた。大院君が孫を寵愛し世子（後継者）に冊封しようとしたことから嫁と舅の関係は悪化。1871年、閔氏にもやっと王子が誕生したが、生後5日で死亡。大院君から贈られた山参（野生の高麗人参）のせいだと信じ、閔氏と大院君の仲は険悪になる。

※あわせて読みたい人物紹介
・興宣君は史実でも豹変したのか？
・父に怯える気弱な王、高宗はどんな王？

■嫁VS舅バトル開始
© 2020 TV Chosun才女の閔氏は王室政治を理解し、伝統的な学問はもちろん急変する国際情勢を読むのにも秀でており、大院君の鎖国政策は時代遅れと見た。政治に関心のなかった高宗も20歳を超えて親政を執ろうとしたこともあって閔氏勢力を集めた閔氏は1873年、大院君の追い出しに成功し、高宗から信頼を得る。政権を掌握した閔氏は開化政策を進めるが、民衆の支持が得られず権力闘争と民乱が頻発する。1882年には大院君勢力による「壬午軍乱（イミグンラン）」が勃発するもなんとか政権を維持する。しかし、列強国の朝鮮進出を止められず1894年、大院君を担いだ日本軍により失脚させられる。そこで翌年にロシアの力を借りて政権復帰するが同年8月20日、何者かによって暗殺される。これを（乙未事変、または閔妃暗殺事件）と呼ぶ。享年43。一説には親露政策で日本に対抗したために殺害されたという説も。

■呪術儀式にハマった亡国の悪女
© 2020 TV Chosun大院君が失脚した後の1874年には2番目の王子・坧（チョク）（後の第27代王・純宗、大韓帝国第2代皇帝）が生まれ、清に賄賂を贈り坧を世子に冊封している。その後2男、1女を産むがみんな早世してしまう。才媛の閔氏が巫堂ノリという呪術儀式に熱中してしまう。病弱な世子の病を治した真霊君（実在した巫女）を寵愛し財を与え人事権への介入も許した。また国費で盛大な儀式を開催するなど国家財政を圧迫させ、亡国の悪女とも評された。

■「風と雲と雨」のジャヨンは？
© 2020 TV Chosun心優しく意志の強いジャヨン（パク・ジョンヨン）は孤児たちの世話をし、チョンジュン（パク・シフ）の力を借りて孤児のための施設・留接所を守る（7話/28話版）。その後、世話になったチョンジュンの頼みで、興宣大院君の暴政から民を守り、罪人とさせられたチョンジュンを赦免させるために王妃の座に就く（22話/28話版）。愚鈍なふりをして王妃になったが、王妃になってからは聡明さを出して度々逆らい、舅である大院君に疎まれる。侍女たちの前で度々屈辱感を味わわされたジャヨンは、舅に復讐心を抱く。その決定的な要因となったのが風紀紊乱の罪に問われたジャヨン兄ミン・スンホの一件（26話/28話版）。実在の閔氏にも閔升鎬（ミン・スホ）という義兄がいる。大院君の妻の弟で閔氏の父・閔致禄に息子がなかったために養子に入った。閔升鎬は1874年に自宅で爆弾により暗殺され、閔氏はこれが大院君の仕業と信じ込んだ。
ちなみに、パク・シフが演じたチョンジュンは架空の人物。

★パク・ジョンヨン（1997年5月13日生）
父は歌手カク・ハッキ、母は女優ソン・グムラン、3歳違いの姉パク・スンヨンも女優で芸能一家。ちなみに姉のパク・スンヨンは「警察授業」で警察大学新入生のミン・ジェギョン役を演じている。
本人は2020年デビューを目指す、SMエンターテインメントの新ガールズグループの有力なメンバー候補として名前があがる存在だったが、キーイーストに移籍して女優として活動を始める。女優デビューは「ハイバイ ママ!」（2020）、同年「風と雲と雨」で時代劇初挑戦ながら重要な役にキャスティングされた。本作の後は「カシリイッコ」（2021）、日本の漫画が原作の「まだ最善を尽くしていなかっただけ」（2022）に出演している。

■明成皇后が登場するその他のドラマは？
幼年期ムン・グニョン、青年期イ・ミヨン、晩年期チェ・ミョンギルの3代で閔氏を演じた「明成皇后」がある。閔氏を“亡国の悪女”ではなく、“悲劇のヒロイン”“鉄の女”という新解釈で描いている。一方、チャン・ヒョク主演の「客主」はメインキャストではないがチェ・ジナが閔氏を演じ、史実にあるように世子の病を治そうと呪術儀式などのために国庫を濫費したり、壬午軍乱では宮女の服に着替えて王宮から抜け出すという史実に残るエピソードもドラマチックに描いている。そのほかの作品は【ドラマの年表：朝鮮王朝】の高宗の時代で確認できる。

明成皇后を深く知るためには夫の高宗と舅の興宣大院君の紹介にもぜひ、目を通してほしい。
●父に怯える気弱な王、高宗は史実ではどんな王？
●チョン・グァンリョルが演じた興宣君は史実でも豹変した？

序盤は可憐で民を思う貧しい少女として登場したジャヨンが、23話/28話版で舅に恥をかかされてから変わっていく。特に26話/28話版からは悔しさに唇を嚙み切ったり、恩人であるチョンジュンを陥れる一幕も…。果たしてジャヨンはチョンジュンを裏切るのか？大院君に一矢報いるのか？最終回までどのシーンもお見逃しなく。

「風と雲と雨」
DVD-SET1～３発売中
各14,740 円（税抜13,400 円）
※DVD 好評レンタル中
発売・販売元：ＮＢＣユニバーサル・エンターテイメント
© 2020 TV Chosun
原題：바람과 구름과 비

◇テレビ東京「替えと雲と雨」番組公式サイト
　2022年5月3日スタート　月～金8：15-9:11
◇「風と雲と雨」公式サイト
◇Youtube「風と雲と雨」予告動画

【作品詳細】【「風と雲と雨」を２倍楽しむ】