古代史ドラマ「大仏開眼」前編、見逃し配信開始―NHKオンデマンド
奈良時代の政争劇をダイナミックに描く、古代史ドラマスペシャル「大仏開眼」前編が、NHKオンデマンドの見逃し番組サービスに配信されている。視聴料金は315円(税込み)。
「聖徳太子」、「大化の改新」に続くNHK大阪放送局制作の古代史ドラマ第3弾。平城遷都1300年にちなみ、奈良時代最大の国家事業・大仏建立をめぐる、野望と挫折が渦巻く政争劇を壮大なスケールで描く。
遣唐使として大陸で最先端の文化を学んだ吉備真備(吉岡秀隆)は、僧・玄昉(市川亀治郎)とともに17年ぶりに日本に帰国する。光明皇后(浅野温子)に拝礼した真備は、聖武天皇(國村隼)の娘・阿部内親王(石原さとみ)の教育係に抜擢される。
737年、天然痘の大流行が朝廷の中枢をも襲う。それまで絶大な権力を握っていた藤原武智麻呂ら四兄弟が相次いで死に、対抗勢力だった橘諸兄(草刈正雄)が右大臣に昇進。諸兄は真備と玄昉を重用する。反対に藤原一族は没落、九州に流されていた藤原広嗣は太宰府で反乱を起こし、武智麻呂の遺子・仲麻呂(高橋克典)もこれに呼応して巻き返しの機会を狙っていた。
朝廷に不穏な空気が渦巻く中、聖武天皇は行幸の折り目にした盧舎那仏に見せられ、大仏の建立を考えるようになる。
多大な出費と人手が想定される大仏建立に難色を示す真備だったが、そんな折、民衆から慕われる僧侶・行基(笈田ヨシ)と出会う。
冷静沈着な学者肌の政治家・吉備真備を演じる吉岡秀隆の演技に注目したい。藤原一族が権勢を握る脇で、健気ながら腰の低さが目立つ前半から中盤までと、藤原仲麻呂と対峙する際の芯の強さが表に出た台詞回しには、振り幅の広さが感じられる。それに呼応した仲麻呂役・高橋克典の敵役ぶりも迫力満点。
複雑な時代背景もあって、ドラマ鑑賞には多少集中力が要求されるかもしれない。だが、ダイナミックさと奥深さが絶妙にかみ合った政争劇はじっくり味わうにふさわしい内容に仕上がっている。
古代史ドラマスペシャル「大仏開眼」前編 NHKオンデマンド