「寄生獣 -ザ・グレイ-」第1−2話:高度な知能を持つ捕食者の襲来で特殊な存在になってしまうチョン・ソニ
日本発の不朽の名作漫画である岩明均の『寄生獣』(講談社刊)を韓国を舞台に実写化した「寄生獣 -ザ・グレイ-」がNetflixで独占配信を開始した。第1−2話では未知の生物に規制されながらも奇跡的に自我を保った変種の主人公スインと、マフィアの抗争で追われる身となったガンウがそれぞれ寄生獣の脅威に晒されてゆく様子が描かれた。あらすじと見どころを紹介する。(ネタバレあり)
●【「Netflix」で独占配信の韓国ドラマ】
「寄生獣 -ザ・グレイ-」は、人間を宿主として勢力を拡大しようとする寄生生物たち=パラサイトと、これを阻止しようとする専門チーム、ザ・グレイの作戦が始まり、その中で寄生生物と共生する少女スイン(チョン・ソニ)の物語を描いている。
■キャスト
チョン・スイン役:チョン・ソニ
ソル・ガンウ役:ク・ギョファン
チェ・ジュンギョン役:イ・ジョンヒョン
キム・チョルミン役:クォン・ヘヒョ
カン・ウォンソク役:キム・イングォン
ほか
■第1話あらすじ
何の前触れもなく夜空から降り注いだ寄生獣の卵。生まれた寄生獣は次々に人々の身体に侵入し脳を食らうと頭部を自由自在に変形させながら周囲の人々を襲い始めた。
その1時間前、スーパーで働くスイン(チョン・ソニ)は統合失調症の客との揉め事に巻き込まれ、帰り道に腹いせに殺されそうになってしまう。幼い頃に父からの暴力に耐えかねて父を通報した彼女にとってただひとりの頼れる存在だった刑事チョルミン(クォン・ヘヒョ)はスインの事件を聞いて心配するが、犯人はその場で奇怪な死を遂げ、スインも驚異的な速さで回復していた。
未知の生物の襲来は政府の情報統制で隠蔽され数ヶ月、マフィアの抗争で敵組織のボスを殺しそこねたガンウ(ク・ギョファン)は追われる身になり、疎遠だった姉ギョンヒ(ユン・ヒョンギル)のもとに身を隠すが、脳腫瘍を患っていたはずの姉の様子がおかしく、妹ジニ(ムン・ジュヨン)は失踪を遂げ、部屋には怪しげなセジン教会のパンフレットが残されていた。
職場に復帰したものの、奇妙な耳鳴りに悩むスイン。この数カ月後で寄生獣は人間に擬態して社会に紛れ込む能力を身につけていた。特殊部隊狙撃チームを率いるジュンギョン(イ・ジョンヒョン)は寄生獣が人間を誘い込み餌にしようとしたタイミングで襲撃し、寄生獣が独自のシンボルで合図を送り合っていることに気づく。
夜中に出かけた姉を追跡したガンウ。帰宅途中だったスインは再び耳鳴りに襲われ、男に追われるが、人間になりすました寄生獣は互いに脳波で仲間を識別し、スインの耳鳴りもそのせいだった。彼らが隠れ蓑にしているセジン教会への加入を求められたスインの中の寄生獣は尾行していたガンウを殺そうとするが、他の寄生獣に近づけるなという意味深な伝言を残してガンウを生かした。他の寄生獣が人々の脳を食ったのに対し、スインだけは寄生された時点で瀕死の重傷を負っており、身体の治癒のために寄生獣による脳の捕食を免れていたのだった。自分の知らないもう一人の自分に苦悩するスイン。
警察でも寄生獣の対策本部が敷かれ、チョルミンらの前に現れたジュンギョンは、寄生獣を嗅ぎ分けるために利用している「猟犬」が寄生された夫であることや、怪物化した夫に耳を切り落とされたことを打ち明け、寄生獣殲滅に闘志を燃やしていた。
Netflixシリーズ「寄生獣 -ザ・グレイ-」
独占配信中/(C)岩明均/講談社
■第2話あらすじ
寄生獣の特徴を聞いて不安をいだいたチョルミンはスインから髪の毛を採取するが、変種である彼女の髪の毛は朽ちることなく安堵する。再び追われる身になったガンウは妹を探して山中に逃げ込むが、警告したにもかかわらずスインがセジン教会に連れて行かれる様子を目撃。
自らも教会の倉庫に忍び込んだガンウが見たのは寄生獣の食糧となるおびただしい数の遺体。やってきた寄生獣から隠れていたガンウだが、遺体の中に失踪していた妹ジニを見つけ、絶望と怒りから寄生獣に襲いかかってしまう。人間の襲撃に警戒した寄生獣はガンウを殺そうとし、ガンウを追っていたマフィアを惨殺。スインとともに逃げ出したガンウは飛行型の寄生獣に追われ、仲間からの裏切りに遭い絶体絶命のピンチに陥る。
追ってきた寄生獣を交戦の末に始末したスインの中の寄生獣は、崖から落ちそうになっていたガンウを救い、こうして二人の奇妙な共闘が始まる中、過去に起きた不可解な未解決事件を集めたジュンギョンはスインに目をつけ始める…。
■見どころ
日本の名作漫画の世界観を韓国を舞台に再構築した注目作品が独占配信を開始した。全6話の序章となる第1−2話では、家庭に恵まれず幼少期の不遇な経験を抱えながらも地道に働き生きようとするスインと、マフィアから追われたガンウという普通なら決して交わることのない別の社会を生きる二人が寄生獣の出現を通じて一つの大きな渦に飲まれていく様子が描かれた。
本作に登場する寄生獣が他のゾンビ / クリーチャー作品と一線を画しているのは、寄生獣自体に感染力や繁殖力がなく、人間と同等の知性を持ち合わせている点だ。この特性ゆえ、個体数に限りがあり増殖するすべを持たない寄生獣は「マイノリティ」として人間の習性を学習しながら、組織を形成し人類に害を及ぼすためではなく生存するために人間世界に溶け込み対峙していく物語に説得力を与えている。
なぜスインだけが変種として人間の自我を保っているのかという点は早い段階で説明されたものの、彼らが何のためにどこからやってきたのかについては詳しく描かれておらず、冒頭で空から降り注いだ点を考えると宇宙から飛来したのではないかという憶測しかできない。寄生獣はある明確な命令に従って誕生したことも示唆されているが、その目的が何なのかについてもこの先の展開でどう語られるのか気になるところ。
偶然が重なり変種として人間と寄生獣の二面性を持つ主人公スインが人類の敵となるのか味方となるのか、また、夫を殺されて大きなネジがひとつ外れてしまったかのように異様なテンションを見せるジュンギョンとの対立も目が離せない。
■スタッフ
原作:岩明均『寄生獣』(講談社刊)
監督:ヨン・サンホ
脚本:ヨン・サンホ,リュ・ヨンジェ
制作:Climax Studio, WOW POINT
クレジット表記: Netflixシリーズ「寄生獣 -ザ・グレイ-」4月5日(金)より独占配信開始 / (C) 岩明均/講談社
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