菅田将暉登場で原作ファン歓喜!「寄生獣 -ザ・グレイ-」第5−6話(最終回):寄生獣とチョン・ソニの最終決戦
日本発の不朽の名作漫画である岩明均の『寄生獣』(講談社刊)を韓国を舞台に実写化した「寄生獣 -ザ・グレイ-」がNetflixで独占配信を開始した。第5−6話(最終回)ではマイノリティからの脱却のための寄生獣の計画が明らかになり、主人公スインが人類の存亡を賭けた戦闘を繰り広げた。あらすじと見どころを紹介する。(ネタバレあり)
●【「Netflix」で独占配信の韓国ドラマ】
「寄生獣 -ザ・グレイ-」は、人間を宿主として勢力を拡大しようとする寄生生物たち=パラサイトと、これを阻止しようとする専門チーム、ザ・グレイの作戦が始まり、その中で寄生生物と共生する少女スイン(チョン・ソニ)の物語を描いている。⇒【関連・各話のあらすじ】
■キャスト
チョン・スイン役:チョン・ソニ
ソル・ガンウ役:ク・ギョファン
チェ・ジュンギョン役:イ・ジョンヒョン
キム・チョルミン役:クォン・ヘヒョ
カン・ウォンソク役:キム・イングォン
ほか
Netflixシリーズ「寄生獣 -ザ・グレイ-」
独占配信中/(C)岩明均/講談社
■第5話あらすじ
姉ギョンヒ(ユン・ヒョンギル)が寄生されたとも知らず、脳腫瘍の検査を受けさせようとしたせいで殺されてしまった妹ジニ(ムン・ジュヨン)。彼女は死の直前に兄ガンウ(ク・ギョファン)にメッセージを残していた。警察から救出され、親代わりだった刑事チョルミン(クォン・ヘヒョ)を目の前で殺されたスイン(チョン・ソニ)を連れて友人の家に身を寄せたガンウだが、使ってた妹のスマホから彼女の生前最後のメッセージを見つけて心を痛める。同時に彼らの居場所はスマホを通じてギョンヒに知られていた。
その頃、寄生されたチョルミンはジュンギョン(イ・ジョンヒョン)に寄生獣らのアジトの情報を流し罠にかけようとする。スインはジュンギョンを呼び出して説得を試みるが、再び捕らわれそうになり逃げ出すことしかできなかった。過剰な力の消費でハイジが休眠状態に陥っている中、友人をギョンヒに人質に取られたと知った二人は急行するが、ハイジの力なしでは太刀打ちできず、友人を殺されてしまう。
ガンウの最後の警告で夫を殺したのが寄生獣と繋がっている刑事のウォンソク(キム・イングォン)だと知ったジュンギョンだが、包囲したアジトにはチョルミンの言う通り多数の寄生獣が潜伏していた。チョルミンはなぜ仲間の居場所を警察に告げて殲滅させたのか?イベントに参席する市長に寄生して人間の組織の頂点に立つことが寄生獣の狙いだと気づいたスインら。同じ頃、アジトに戻ろうとしていたギョンヒは大勢の仲間が殺されるのを目の当たりにして、チョルミンの裏切りを知る。
■第6話(最終回)あらすじ
寄生獣の特徴を示さないウォンソクは寄生獣出現以前からセジン教会に通う信者だった。ある日、様子がおかしい牧師を見舞った際に、惨殺された一家や寄生獣の存在を知り、それ以来、人間界のトップを支配するという彼の目的を果たすために忠実な下僕になっていたのだ。
チョルミンの罠で指名手配されたスインとギョンヒ。彼の不審な行動に気づいたジュンギョンも偽の情報で江原道に左遷されそうになってしまう。仲間だと思っていたチョルミンに裏切られたギョンヒの提案に乗り、チョルミンを止めることにしたスインの言葉でジュンギョンは来た道を引き返す。
イベント会場に現れた市長を狙って徐々に距離を縮めていたチョルミンが遂に正体を現し、会場が大パニックに包まれる中、ギョンヒはガンウを守るため、彼の姉と妹の命を奪ったことを詫びながら最期を迎えた。
寄生獣がチョルミンからウォンソクに乗り移り、駆けつけたジュンギョンにスインを射殺するよう急かすが、ジュンギョンはスインを信じてみることに。スインはジュンギョンに迫っていた寄生獣を撃破し、ジュンギョンはウォンソクを撃ち抜いた。ハイジはスインをジュンギョンに託して意識を失った。
数年が経ち、コンビニで働き始めたスインにハイジからの手紙を託すガンウ。彼は寄生獣を専門とする会社を立ち上げたジュンギョンのもと、グレイチームであらたな人生を踏み出していた。ハイジからの手紙に書かれた言葉に胸を打たれるスイン。その頃、ジュンギョンのもとには日本から怪しげな来客が訪れる。泉新一と名乗るルポライター(菅田将暉)。彼がジュンギョンに接触した真意とは?
■見どころ
物語の終盤となる第5−6話では起承転結の転結が描かれ、味方(チョルミン)が敵になったり、敵(ジュンギョンやギョンヒ)が味方になったりという勢力図の大きな変化が見られ、そんな中で寄生獣の真の目的が明かされ、第6話での決戦へと物語を導いた。
ここで再び寄生獣とはどんな存在なのかを振り返ってみたい。突然空から卵が降り注ぎ、幼虫が人間の体内に入ると脳を破壊して肉体を乗っ取り、頭部を自由自在に変形させられるものの、繁殖能力がないため、降り注いだ以上の個体で人類の人口を覆してしまうことはない。この設定は原作から踏襲されており、寄生獣をただの侵略者としてではなく、マイノリティとして彼らの行動(自己を守ろうとする本能が強い、人間に擬態して社会に溶け込む、人間の組織のトップに上り詰めようとする等)の動機となっている。彼らがどこから何のためにやってきたのかは原作でも明確には明かされておらず、本作でも何らかの意志で生み出されたという意味深なセリフ以外ではその出自を読み解くことはできなかった。
物語は変種であるハイジと寄生獣の戦いを経て、マイノリティとマジョリティの共存・和解、そして原作の主人公同様に例外的に脳の破壊を免れたスインと体内に潜むハイジの友情などが描かれた。
事態が収まり、それぞれが新たな人生を歩む数年後の世界の描写で物語が幕を閉じるかと思いきや、登場したのが菅田将暉演じるルポライター泉新一だ。原作を読んでいない視聴者には伝わりづらいが、彼は原作および実写版の主人公で、スイン同様、右腕に寄生獣を宿し共生する変種だ。ヨン・サンホ監督のインタビューによると、本編で語られた騒動は2014〜2015年に起こったものとされ、当時高校生だった泉新一が大人になって登場する点も含めて日本での実写版映画の設定と時系列が一致する。つまりクライマックスで視聴者は本作が日本の作品のリメイクではなく、日本の実写版で事件が起こった当時に韓国で起こっていたことを描いた外伝だったのだと知らされることになる。
日本版の主人公との巧妙なクロスオーバーは原作ファンを唸らせたことは間違いないが、果たして彼の登場は原作と同じ世界観を共有している点を強調するためだけだったのだろうか?該当シーンで新一が寄生獣に関する情報の提供を持ちかけていることから、続編を予感した視聴者が大半だったはず。本作ではハイジがその後スインの肉体に生き続けているのかどうかは明確に描かれておらず、上述の通り、寄生獣の出自についても原作から一貫して明かされていない。もしかすると日本の原作でも描かれていない寄生獣にまつわる秘密がこの先描かれるのではないかという期待を抱かずにはいられない。
■スタッフ
原作:岩明均『寄生獣』(講談社刊)
監督:ヨン・サンホ
脚本:ヨン・サンホ,リュ・ヨンジェ
制作:Climax Studio, WOW POINT
クレジット表記: Netflixシリーズ「寄生獣 -ザ・グレイ-」4月5日(金)より独占配信開始 / (C) 岩明均/講談社
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