小芝風花が挑む“商いの道”再び…NHK「あきない世傳 金と銀2」第1話は人情と知恵の開幕篇【ネタバレあり】

00時05分ドラマ
©NHK「「あきない世傳 金と銀2」

4月6日(日)、NHK(BS/BSP4K)にて時代劇「あきない世傳 金と銀」待望のシーズン2」がスタートした。第1話のあらすじと見どころ、シーズン1の振り返りも紹介する。次回13日放送の第2話の予告動画は番組HPで公開している。



「あきない世傳」は、髙田郁の時代小説のシリーズが原作。江戸中期、兄と父を亡くし大坂天満の呉服商に奉公に出た学者の娘・幸(さち)が商才を発揮し商人へと成長する物語。⇒【全話あらすじ・関連記事】

■シーズン1振り返り
商品知識も経験もない中、幸(小芝風花)は持ち前の勤勉さと誠実さで信頼を得ていく。聡明と商才を見込まれて14歳で四代目徳兵衛(渡辺大)の後妻となる。四代目に先立たれた後に五代目惣次(加藤シゲアキ)に請われて再びご寮さん(女主人)となるが、商売上の揉め事が元で五代目は隠居、離縁される。五鈴屋を守り継ぐためと六代目智蔵(松本怜生)に請われて三度ご寮さんに。女中時代からの店の仲間や商売仲間、商売相手の事も考えて商いを行うという展開だった。

シーズン2は、その直後からの物語となる。脚本は引き続き山本むつみ。

■キャスト
小芝風花(主人公・幸)
松本怜生(五鈴屋六代目店主・智蔵)
泉澤祐希(桔梗屋番頭・周助)※S2より
朝倉あき(五鈴屋元ご寮さん・菊栄)※S2り
いしのようこ(五鈴屋女衆・お竹)
内藤理沙(五鈴屋女衆・お梅)
八嶋智人(五鈴屋本店番頭・鉄助)
舘ひろし(治兵衛・元五鈴屋番頭)

■第1話「ご寮さんの大勝負」ネタバレあらすじ
延享三年(1746)正月、大坂・天満の呉服屋「五鈴屋」では、六代目の智蔵と妻・幸が新製品「浜羽二重」を初出荷し、五百反を即完売させた。ところが直後、仲間からその羽二重が盗品ではないかという疑いが持ち上がる。呉服商・真澄屋(山西惇)は「五百反が横流しされた」と訴え、産地を明かせと迫るが、智蔵は織元を守るため拒否。代わりに幸が証拠の「結び糸」を提示し、伏見屋(田中健)がそれを識別し、盗品ではないと詮議を打ち切った。

この年、五鈴屋は勝負の年だったが、好調な羽二重に手を取られ、人手不足でそれ以外の商品が売れ残るという新たな課題が。幸は元番頭・治兵衛(舘ひろし)に相談し、「今が正念場」と励まされる。話題は近江商人に移る。彼らは近江国(現在の滋賀県)に本宅を置き、天秤棒を担いで他国へ商いをしていた。これに着想を得た幸は、奉公人を増やす代わりに近江商人に販売を委ねる戦略を思いつく。

梅雨が明けてすぐ、行商から戻った近江商人の茂作が訪れ、「羽二重ならいくらでも売れる」と力強く語る。天秤棒で担ぐのは見本だけで、商品自体は馬や船を使って大量に運べるという。「近江商人は店を構えない問屋だ」と言い、現金で100反を任せてほしいという。幸たちは問屋向けに値引きして100反を託し、新たな販路を開拓する。

7月の末、幸は船場にある小間物屋・紅屋を訪ねる。久々に再会した菊栄(朝倉あき)は、かつての約束通りに五十鈴屋の袋物を販売してくれていた。紅屋は菊栄が切り盛りしていたが、当時の大坂では「女は店主にも家持ちもできない」という掟があった。

話は、かつて店を辞めた留七(辻本祐樹)と伝七(葵揚)に及び、彼らの新しい奉公先が潰れて困っていると知る。幸と智蔵は彼らに売れ残った反物を託し、売れた分だけ代金を支払う「委託販売」を提案。菊栄から顧客リストの支援も受け、2人は感謝しつつ再出発を決意する。

年末、同業・桔梗屋が真澄屋に買い取られることに。事前に桔梗屋の主から聞いていた幸は、相手が真澄屋と聞き、不安を募らせていた。その不安が的中。真澄屋は天満の呉服仲間たちの前で、約束を反故にし、天満で禁じられている現金売りを行うと宣言。桔梗屋の主人は衝撃で倒れてしまう。その場にいた幸は、急きょ自ら桔梗屋を買い取る決意を固めるのだった。



■第1話まとめ・感想など
シーズン2の幕開けとなる第1話は、「あきない(商い)」の真髄と人情がたっぷり詰まった非常に見応えのある内容だった。夫婦は先代の遺した新商品・浜羽二重の大ヒットから始まり、盗品疑惑、商売の転換期、そして人との再会や再起への支援と、盛りだくさんの展開がテンポよく描かれ、物語の深みが一層増した印象だった。

大河「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」でヒロインを務める小芝風花扮する幸の芯の強さと柔らかな機転が光った。特に、盗品疑惑の場面で夫・智蔵に代わって織元の証を差し出すシーンや、委託販売という柔軟な発想で、元奉公人を支援する姿勢には、"商いは人と人の心で成る"という本作のテーマが力強く息づいていました。

また、近江商人との連携や問屋との駆け引き、紅屋との再会、そして真澄屋との新たな対立構造など、シーズン2のドラマとしてのスケールと奥行きも丁寧に仕込まれている。なかでも、留七・伝七に委託販売という仕組みを提示し、再起のチャンスを与える流れは心に響くものでした。しかしこれを単なる人情ものにせず、反物を包む風呂敷の中央に大きく店の名前を印字させている。これは現代の「ウォーキングアド」、つまり歩く広告塔として大いに店の宣伝効果にも役立たせる辺り、さすがだ。

最後に描かれた、桔梗屋買収を巡る真澄屋の策略と、それに対して幸が立ち上がる展開は、次回への大きな引きとなり、シリーズのさらなる盛り上がりを予感させる。

■第2話「二つの五鈴屋」
浜羽二重の一件で遺恨のある真澄屋(山西惇)と五鈴屋が、桔梗屋買い上げを巡り争うことになるが、幸(小芝風花)たちが買い上げに成功する。受け渡し当日、桔梗屋番頭の周助(泉澤祐希)たちの表情が暗いことに気づく幸と智蔵(松本怜生)。すると、孫六(吉見一豊)から「桔梗屋の屋号も暖簾も、もう使てはあきまへん!」と言われ当惑するが、その前日、幸は治兵衛(舘ひろし)から買い上げに関するある知恵を授かっていた…。

【本放送】2025年4月6日(日)~5月25日(日)
18:45~19:28(毎週(日)43分×全8回)
【再放送】2025年4月10日(金)~30日(金)19:30~20:13
【原作】 髙田郁
【脚本】 山本むつみ

NHK「あきない世傳 金と銀2」HP

【2025年春ドラマ】