風吹ジュンと夏木マリ「照子と瑠衣」第1話:“日本版テルマ&ルイーズ”の幕開け(ネタバレあり)

6月22日、NHKプレミアムドラマ「照子と瑠衣」がスタート。井上荒野の同名小説を原作に、70代の女性ふたりが人生を見つめ直し、新たな一歩を踏み出す“シスターフッドドラマ”だ。第1話では、平凡な主婦・照子(風吹ジュン)と歌手・瑠衣(夏木マリ)の“現実逃避の旅”のはじまりが描かれた。第2話予告動画は番組HPで公開中だ。
⇒【全話あらすじと見どころ】/【キャスト紹介】
■物語の始まり:70代、人生の舵を切る
物語は照子が愛車を運転し、瑠衣を助手席に乗せて出発する場面から始まる。傍からは 70代女子の楽しげな旅行に見えたが、実は決意の逃避行だった。
照子は、家事を当然の義務とするモラハラ夫・寿朗(大和田伸也)との生活に限界を感じていた。一方の瑠衣は、かつての栄光にしがみつきながらも、老人ホームで歌う自分に虚しさを感じていた。そんなふたりの“もう我慢しない”思いが、旅のきっかけとなる。
■ドライバーと寝袋、ふたりの覚悟
夫との暮らしに限界を感じた照子はある日、ドライバーを手に夫の後ろに立った。その矢先「助けて」と電話してきたのは、アパートからも追い出された瑠衣だった。行き先は八ヶ岳の別荘地。しかし到着した別荘は施錠されており、ドライバーを使って中へ入ると、寒さの中でふたりは寝袋にくるまって一夜を過ごす。
一方、照子の不在に気づいた夫は大慌てで電話をかけるが、受けた瑠衣が「私の友だちを泣かすな!」と怒鳴って切る場面も印象的だ。救われたのは「私だった」と話す照子に、「瑠衣は老人マンションからも出て、アパートも追い出され、私にはいくところがない」と打ち明けた。
■心に残る音楽と回想シーン
ドライブ中、照子のリクエストで瑠衣が「夢で逢えたら」を歌い出す。妖艶な「絹の靴下」などで知られる夏木マリの歌声が、50年の時を経てもなお響く名シーンだ。
さらに印象的なのが、ラストで流れる「イエスタデイ(Yesterday)」の回想シーン。1966年、ビートルズの武道館公演の日。13歳の照子と瑠衣が、チケットもないまま雨の放課後に武道館へ駆けだしていく――そんな青春の一瞬が、現在の逃避行と美しく重なる。
■『テルマ&ルイーズ』と異なる結末に期待
本作は、1991年公開のアメリカ映画『テルマ&ルイーズ』(監督:リドリー・スコット)へのオマージュとして企画された作品。映画では、平凡な主婦テルマとウエイトレスのルイーズが、男社会や抑圧から逃れるために旅に出る姿が描かれた。道中で犯罪に巻き込まれ指名手配されながらも、2人は自由と自分らしさを追い求めていく。ただし、結末は全く違う。
■次回(第2話)の見どころ
八ヶ岳の別荘地で、素性を隠して新たな日々を始めた照子と瑠衣。地元の人々とのふれあいが始まり、ガソリンスタンドの依子(福地桃子)、ご近所の静子(由紀さおり)らが登場する。照子は清掃のバイトを始め、報酬で瑠衣にごちそうしたいと入った店で、うっかり瑠衣が歌手であることを漏らしてしまう。店主(山口智充)は歌ってほしいと頼むが、瑠衣はなぜか気乗りしない様子だ。
毎週土曜23:10からの定時再放送に加え、追加再放送が決定!
[BS] 2025年6月29日(日) 13:30~ ※初回のみ
【放送予定】 2025年6月22日(日)スタート〈全8回〉※予定
毎週日曜22時~22時45分(BS&BS レミアム4K)
【原作】『照子と瑠衣』 井上荒野
【脚本・ディレクター】 大九明子(『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』 『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』 ほか)
【脚本】 フルタジュン(1 話~3 話共著)
【出演】風吹ジュン 夏木マリ 、大和田伸也、福地桃子、山口智充 他
◇NHK「照子と瑠衣」HP
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