“辞書は世界の入り口”―NHK「舟を編む」第3話、向井理が池田エライザを助ける

07時00分ドラマ
画像:NHKより

7月1日(火)、NHK総合で放送された「舟を編む~私、辞書つくります~」では、岸辺みどり(池田エライザ)が馬締光也(野田洋次郎)とその妻・香具矢(美村里江)が暮らす元下宿屋の一室を借り、新しい生活を始めるところから物語が展開する。第3話はNHK+にて7月8日(火) 22:44 まで見逃し配信中。この回のあらすじと見どころを紹介する(ネタバレあり)。



「舟を編む 〜私、辞書つくります〜」は、2012年に本屋大賞を受賞した『舟を編む』を原作とし、2013年には松田龍平主演で映画化、2016年にはテレビアニメ化もされた人気作品。原作や映画では、辞書編集に情熱を注ぐ馬締光也(まじめ・みつや)が主人公だったが、本ドラマでは、ファッション誌から辞書編集部に異動してきた新入社員・岸辺みどりの視点から物語が描かれる。⇒【キャスト紹介はこちら】

辞書編集部の仕事にも徐々に慣れてきたみどり。見出し語チェックの作業中に「やなせたかし」の話題になり、みどりが「辞書に自分の名前が載るってすごい」と感激すると、馬締が「辞書は基本的に日本人の名前は亡くなって来る」と教える。宮本(矢本悠馬)が「生きていると語釈が変わるかもしれないから」と続ける。みどりは「生きるって変わること」と感動する。そんな中、辞書編纂の現場ならではの難題に直面する。

原稿執筆者からの怒りの連絡
辞書の原稿執筆者である秋野教授(勝村政信)から、みどりに怒りの電話がかかって来る。秋野教授は、水木しげるに関する原稿の要約について不満を持っており、みどりがまとめた要約が自分の意図を損なっていると激怒する。みどりは慌てふためき、どう対応すべきか悩む。

西岡の登場と問題解決の糸口
そんな時、元辞書編集部員だった宣伝広告部の西岡(向井理)が現れ、みどりを助ける。西岡は秋野教授との交渉にあたり、辞書の語釈がただの説明ではなく、言葉が持つ「世界」や「想像力」を伝える「入り口」であることを教授に説く。秋野教授も最終的には理解を示し、問題は解決に向かう。

辞書編集の裏側と人間模様
第3話では、辞書の編纂が単なる言葉の整理ではなく、執筆者との信頼関係や調整が不可欠な繊細な作業であることが描かれる。また、みどりが馬締と香具矢の元下宿屋の一室で新生活を始め、辞書編集部の仲間たちとの絆も深まっていく様子が丁寧に描写される。

言葉の奥深さと辞書編集者の使命
みどりは「なんて」という言葉の意味を辞書で調べ、そこに込められた軽視する気持ちに愕然とするなど、言葉の奥深さに触れ続けている。辞書編集者として、言葉の意味を正確に伝えるだけでなく、その言葉が持つ感情や背景も大切にする姿勢が強調される。

第3話は、辞書編集の現場で起こるトラブルとそれを乗り越える過程、そしてみどりが新たな生活を始め、辞書作りにさらに深く関わっていく様子が描かれている。原稿執筆者とのやり取りや西岡のサポートを通じて、辞書編集の難しさとやりがいが浮き彫りになる。



映画版に繋がるエピソード
この回冒頭では、香具矢から馬締とのなれそめを聞くシーンがある。本作は、馬締が結婚している設定だが、映画版では「恋文=手紙」が取り持つ素敵なロマンスも描かれる。この回では、馬締の「手紙」は西岡によってみどりも見ることができる。

馬締はそんな西岡を「もう一人の辞書編集部員」と、みどりに話した。西岡が宣伝部に移った経緯についてドラマでは詳しく説明していないが、映画では重要なエピソードとして描かれる。実は、「出版中止」の危機に瀕したとき、それを撤回する代わりに「予算縮小のため二人のうちどちらかを人事異動させる」条件を出される。西岡は、馬締を残すために自分が異動することにしたのだった。映画版も是非見てほしい。映画版はU-NEXTで配信している。

次回(第4話)
第4話は7月8日ほかで放送される。第4話では、辞書の紙づくりを任されたみどり(池田エライザ)は、宮本(矢本悠馬)と共に“究極の紙”の完成を目指す。一方、辞書「大渡海」の図版見直し作業では、イラストの描き直しが必要になるが、担当のイラストレーターはすでに他界。みどりと馬締(野田洋次郎)は、後を継いだ息子・夏川颯太(戸塚純貴)に協力を依頼するが、簡単にはいかず…。

【放送】2025年6月17日(火)スタート<全10話>
 総合:毎週火曜22:00~22:45
 再放送(総合)毎週木曜24:35〜25:20 (※金曜0:35~1:20)
【原作】三浦しをん 『舟を編む』
【脚本】蛭田直美
【音楽】Face 2 fake
【演出】塚本連平 麻生学 ほか
【出演】池田エライザ 野田洋次郎 矢本悠馬 美村里江 渡辺真起子 前田旺志郎/岩松了 柴田恭兵 ほか

NHK「舟を編む 〜私、辞書つくります〜」HP

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