「大岡越前8」第5話:松井玲奈が魔性の女役で登場―寺脇康文、ミイラ取りがミイラになる?

07月06日22時25分ドラマ
画像:NHKより

NHK BS時代劇『大岡越前8』(日曜18:45~)の第5話「逃亡者の命運」が7月6日に放送された。この回では、貧乏旗本の兄(波岡一喜)に利用される初音(松井玲奈)を助けようと蘭方医の新三郎(寺脇康文)が奔走する姿が描かれた。この回のあらすじと見どころを紹介する。次回第6話の予告はHPで公開される。(ネタバレ)



「大岡越前8」とは

江戸の町を舞台に、南町奉行・大岡忠相(高橋克典)が仲間たちとともに事件や人情に向き合い、“大岡裁き”を繰り広げる時代劇シリーズ。2024年の第7シリーズに続き、高橋克典が2期連続で忠相役を務める。

美村里江、勝村政信、寺脇康文らおなじみのキャストに加え、今作では嶋田久作、山崎一輝らが新たに参加。各話に登場する豪華ゲストも見どころのひとつだ。⇒【高橋克典×風間杜夫ほか豪華各回ゲスト紹介】


■第5話「魔性の女」

淡島屋与次郎(吉田ウーロン太)に絡まれていた初音を新三郎(寺脇康文)が救い、初音は新三郎に執着して小石川養生所に居座るようになる。蘭方医の伊織(勝村政信)は新三郎に「魅入られぬよう気をつけろ」と忠告し、忠相(高橋克典)は初音の素性を三次(近藤芳正)に調査させる。

初音は貧乏旗本・疋田群兵衛(波岡一喜)の妹であり、兄が連れてきた金持ちの客に身を売って暮らしていた。今度は、兄はそれを隠して初音を三河一万石の大名・本多家の嫡男に嫁がせようと画策していた。新三郎は初音の心の闇に同情し、心の病を癒そうとするが、伊織は関わることを止める。

初音に執着する与次郎は、初音の過去を大名家に暴露しようとするが、与次郎は殺害され、群兵衛の家来・六之助(前原滉)に嫌疑がかかる。初音は新三郎に自らの過去を語る。初音の母は群兵衛の父に囲われ、後妻となった経緯があり、群兵衛は初音母子を憎み、初音を「ふしだらな女」と蔑み、兄の命じるままに客を取るようになった。その後、初音は不吉な言葉を残し、養生所を去る。

新三郎は川で初音の溺死体と簪を発見する。六之助は浪人に襲われそうなところを忠相に助けられ、捕らえられて裁きの場に立つ。新三郎を「初音をかどわかした」と責める群兵衛も同席する。忠相は事件の真相を見抜き、六之助の無実を明らかにする。

初音は六之助を最後の男として身を任せた後、自ら簪で喉元を刺し川に身を投げて自害した。簪は兄・群兵衛が贈ったものである。初音は兄と「合わせ鏡」のように生き、命をかけて兄を諫めようとしたのだ。

六之助は群兵衛から「自分を斬れ」と命じられていたが、果たせなかったと自白する。忠相は与次郎殺害の真犯人が群兵衛であると見抜く。その時、群兵衛は「これが私と兄上の定め」と囁く初音の霊を感じ、罪を認める。刀ではなく脇差で殺したのは六之助に罪を着せるためだったと忠相は喝破する。

群兵衛は家の再建よりも初音を奪った者への憎しみに囚われていたことを吐露する。真実を白状したとき、初音の霊が再び現れ「ありがとう」と語りかける。兄は初音が自分の贈った簪で自害したことを知り、深い後悔に沈む。忠相は六之助に無罪を言い渡し、事件は幕を閉じる。



疋田群兵衛と初音の兄妹は、単なる家族愛を超えた複雑で強い絆で結ばれていた。群兵衛は初音を蔑みつつも支配し、初音も兄に従いながら生きてきた。初音は兄から贈られた簪で自害し、命をかけて兄を諫めようとした。群兵衛は初音の死に深い後悔を抱く。二人の間には愛憎や依存、罪悪感が絡み合い、悲劇的で宿命的な「引かれ合う」関係だった。恋愛感情ではなく、互いの存在が人生を揺るがすほど強い絆であった。

初音の「魔性」とも言える存在感が周囲の人間関係や事件の展開に大きな波紋を投げかける、シリーズの中でも異色の回となっている。

なお、劇中、忠相が初音を「家を支えるために“春をひさぐ”」と説明するシーンがある。これは古語で売春を婉曲的に表現した言葉をさす。

次週第6話は中越典子をゲストに迎えて7月13日ほかで放送される。



■第6話「情けの十手」

裏稼業を営む住職を殺し金を奪い逃げた左官職人・善吉(阿部亮平)が江戸に戻った事を忠相(高橋克典)は知る。妻・お種(中越典子)と幼い息子・梅吉(宇治本竜ノ助)の住む長屋に善吉が来ると睨んだ忠相は、岡っ引きの勘太(柄本時生)らに張り込ませた。長患いのお種を支え、シジミ売りをしている幼い梅吉。善吉が戻ってきた時のため、心無い噂にも耐え、元のままの長屋に暮らす二人の姿に次第に勘太は情を感じて行ってしまう。

■放送・制作情報

放送日時:6月8日(日)より毎週日曜 18:45~19:28(全8回)
放送局:NHK BS、NHK BSP4K
脚本:尾西兼一(2・3・7・8話)、いずみ玲(1・5話)、森脇京子(4・6話)
音楽:山下毅雄、小笠原肇
主題歌:由紀さおり
出演:高橋克典、勝村政信、寺脇康文、美村里江、近藤芳正、高橋光臣、嶋田久作(新キャスト)、柄本時生、石井正則、金山一彦、山崎裕太、加藤頼、黒川英二、財木琢磨、由夏、亜呂奈、中村加弥乃、山﨑一輝(新キャスト)、高橋長英、徳重聡、松原智恵子、田村亮 ほか

制作統括:本木一博(NHK)、落合将(NHKエンタープライズ)、白石統一郎(C.A.L)

演出:矢田清巳(1・4・7・8話)、六車雅宣(2・3話)、濱龍也(5・6話)

NHK BS時代劇「大岡越前8」HP

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