「照子と瑠衣」風吹ジュン&夏木マリ70代逃避行、試練の第5話 山口智充の“スローバラード”が沁みる夜

07月21日19時10分ドラマ
画像:NHK「照子と瑠衣」より

7月20日(日)に放送されたNHKプレミアムドラマ「照子と瑠衣」(TERUKO & RUI)の第5話では、照子(風吹ジュン)が全財産を失う衝撃の展開と、譲二(山口智充)の歌う「スローバラード」が描かれ、観る者の心を打った。

本作は、人生の後半を迎えた照子と瑠衣(夏木マリ)の“シスターフッドドラマ”。それぞれの過去や傷を抱えながらも、第二の人生を模索する2人の姿が共感を呼んでいる。予告動画はHPで公開中だ。



「照子と瑠衣」の原作は井上荒野の同名小説で、人生の後半を迎えた女性ふたりが、自分らしい生き方を見つけようとする“シスターフッドドラマ”だ。⇒【全話あらすじと見どころ】【キャスト紹介】

■第5話あらすじ
照子(風吹ジュン)に占ってもらいたいと譲二(山口智充)がガソリンスタンドにやって来る。どうやら瑠衣(夏木マリ)とのことを占いたいらしい。照子は嬉しい反面、クリスマスまでにここを出なければならないことを思い出す。

一方、譲二の経営するカレー&ライブバーでは、瑠衣が週2回の「ポップスナイト」を開催するようになり、人気も上々。八ヶ岳での暮らしにも愛着がわいてきた2人だが、無断で使っている別荘の持ち主が現れるクリスマスまでに出ていく必要がある。

ある夜、譲二の店に来た客が瑠衣にリクエストをするが、譲二が「今日はライブの日ではない」と断る。しかしその客は「演歌をやってくれたら来る」と言い出し、隣に座る妻の誕生日会に貸し切りを希望する。妻をないがしろにするその態度に、照子は自分の夫を重ね、「あの男の頼みは聞かないで」と瑠衣に訴える。

そんな中、照子はバイト先で持ち歩いていた全財産、300万円を失くしてしまう。別荘に戻り、瑠衣に事の経緯を打ち明ける照子。どうやら、先輩バイトで全国放浪中の青年・栗原(藤堂日向)に盗まれた可能性があるが、照子は「落とした」と思い込もうとする。

すると瑠衣は「2人とも働いてるし、なんとかクリスマスまではやっていける」と前向きな提案をする。照子は思い切って「夫の退職金が入っている銀行カードがある」と打ち明け、半分は自分の権利があるとして、こっそり引き出すことを決意。2人は協力し、無事カードを手に入れる。

暗証番号がわからず苦戦するが、照子がある数字を試すと的中。無事に引き出せたものの、その番号は夫の浮気相手の誕生日だった。照子の夫・寿朗(大和田伸也)は10年以上も同僚と不倫関係にあり、密かに照子に隠れて旅行資金をためていた可能性が浮上する。

「愛してはいなかったけど…」と涙ぐむ照子。「亡霊のように生きてきた西村照子は、もういない」と瑠衣に告げる。銀行の1日の出金限度額は200万円。照子は、8日かけてしっかりと半分の1500万円を引き出すと宣言する。

その夜は、瑠衣のライブの日だったが、彼女は喉を痛めていた。代わりに譲二が「スローバラード」を歌い、照子と瑠衣はその歌声に耳を傾ける。

ライブには、かつて横柄な夫(阪田マサノブ)に連れられていた女性・みどり(中島ひろ子)が1人で訪れていた。その日は彼女の誕生日。瑠衣の歌目当てで来たが、譲二の歌に感動して涙を流す。照子は彼女のためにシャンパンを開け、皆で誕生日を祝った。

クリスマスが近づくなか、照子は中学生時代に撮った瑠衣とのプリクラを見つめ、「瑠衣に出会えたことに感謝してる」と語る。瑠衣も「私のダメな人生を受け止めてくれてありがとう」と微笑み、「誕生日プレゼントを楽しみにしてる」と伝える。照子は「怒らないでね」と念を押す。



■第5話見どころ
照子が全財産を失うという絶体絶命の展開と、そこからの夫の退職金“奪還”劇が最大の見どころ。こっそりカードを持ち出し、暗証番号を試すシーンはスリル満点。番号が的中した瞬間には、思わず拍手した視聴者も多いはず。

また、今回は喉を痛めた瑠衣に代わって、譲二が歌う「スローバラード」が印象的だった。忌野清志郎とみかんによる名曲は、RCサクセションの1976年のシングル。店内でのライブシーンは、撮影前に生演奏を録音し、その音源に合わせて演技が行われたという。メイキング映像は【番組サイト】で公開中。

瑠衣の娘・冬子(松雪泰子)の近況も描かれ、漁港で優しい夫と息子に囲まれて穏やかに暮らしている姿が明かされた。

そしてラスト、照子が「怒らないでね」と話したプレゼントの中身が何なのか──それは、娘との再会なのかもしれない。

■第6話(予告)
クリスマスが近づき、照子(風吹ジュン)と瑠衣(夏木マリ)は八ヶ岳での残りの日々を惜しむように過ごす。二人が出て行くことに納得のいかない譲二(山口智充)。ガソリンスタンドの依子(福地桃子)の妊娠がわかり瑠衣は大喜びし、自分がかつて離別した娘のことを思い出す。これまでの人生を振り返り、これから先の人生への期待に胸膨らませる二人。だがその頃、照子の夫・寿朗(大和田伸也)が、ついに二人の行方を探り当てようとしていた。

【放送】 2025年6月22日(日)スタート〈全8回〉※予定
 毎週日曜22時~22時45分(BS&BS レミアム4K)
【原作】『照子と瑠衣』 井上荒野
【脚本・ディレクター】 大九明子(『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』 『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』 ほか)
【脚本】 フルタジュン(1 話~3 話共著)
【出演】風吹ジュン 夏木マリ 、大和田伸也、福地桃子、山口智充 他

NHK「照子と瑠衣」HP

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