NHK「舟を編む」第6話:紙の辞書は“豪華特典”? デジタル移行に揺れる編集部、それぞれの覚悟

00時55分ドラマ
画像:NHK「舟を編む」より

7月22日(火)放送のNHKドラマ「舟を編む~私、辞書つくります~」第6話では、玄武書房の新社長・五十嵐(堤真一)が『大渡海』の紙版出版を中止し、デジタル版のみとする方針を打ち出す。岸辺みどり(池田エライザ)ら辞書編集部のメンバーは紙の辞書を守るべく、再びひとつになって動き出す。この回のあらすじと見どころを紹介、次回(第7話)の予告は番組HPで公開中だ。



「舟を編む 〜私、辞書つくります〜」は、2012年に本屋大賞を受賞した『舟を編む』を原作とし、2013年には松田龍平主演で映画化、2016年にはテレビアニメ化もされた人気作品。原作や映画では、辞書編集に情熱を注ぐ馬締光也(まじめ・みつや)が主人公だったが、本ドラマでは、ファッション誌から辞書編集部に異動してきた新入社員・岸辺みどりの視点から物語が描かれる。⇒【キャスト紹介はこちら】【全話あらすじと見どころ】

■第6話あらすじ(※ネタバレあり)

辞書作りに没頭するみどりは、辞書を開いた時に生まれる“そよ風”のような感覚に気づく。松本先生(柴田恭兵)は「そよ風」は「微風」と書くと教えてくれるが、編集部にはそよ風どころか大きな嵐が押し寄せていた。

玄武書房の新社長・五十嵐(堤真一)は、売れ行き不振の雑誌を次々と廃刊に追い込み“死神”と呼ばれる存在。辞書編集部も存続のため人員削減を余儀なくされ、西岡(向井理)は宣伝部へ異動した過去があっただけに、メンバーは戦々恐々。

西岡の助言で、編集部は“紙の辞書の意義”を示すために説得材料を探すことに。そんな中、SNSに投稿されたみどりと天童(前田志郎)の『辞書引き学習会』での「ジーションズ」の写真が2000回以上拡散されていることが判明する。しかしコメント欄には、「読モから転落」など悪質な書き込みが並び、過去に炎上経験のあるみどりは再び心を揺さぶられる。

馬締(野田洋次郎)たちは削除を提案するが、みどりは「覚えていてくれたことが少し嬉しかった」と語り、投稿を残すよう依頼する。仲間たちはその思いを尊重し、静観することに決めた。

そんな中、馬締と宣伝担当の西岡が役員会に呼び出される。五十嵐社長は『大渡海』の紙辞書としての出版を廃止し、デジタル版のみで展開すると提案。馬締が「精神論」で反論しようとするのを西岡が制して、1週間の猶予をもらう。この1週間で紙の辞書の意義や利点を考えることに。編集部員たち、とくに長年紙の辞書に情熱を注いできた荒木(岩松了)は大きな衝撃を受ける。

みどりは天童から小学生のころ、お菓子目当てで観た映画の話を聞き、紙の辞書を『大渡海』のデジタル版の「付録」にするアイデアを思いつく。しかし紙の辞書が「付録」と呼ばれることに荒木は激怒し、辞書編集からの離脱を宣言して立ち去ってしまう。

みどりは荒木に「言葉の選び方が間違っていた」と謝罪し、「豪華特典」という言葉に込めた想いを伝える。「多くの人が安心して長く乗れる舟を作りたい」と語る彼女の言葉に、荒木の心も動き始める。そして編集部は、反撃のためのさらなるアイデアを探し出す。

■第6話見どころ
今回のエピソードでは、天童が辞書と出会ったきっかけとなる、小学生時代に松本先生と出逢ったエピソードも描かれた。

子どものころ、自身の性的マイノリティに気づいていた天童は、お菓子目当てで観た「両手のない女性」の映画に心を打たれる。しかし、エンディングで流れた「互いに手を差し伸べて…」という歌詞に違和感を抱き、座り込んで泣いてしまう。

そのとき声をかけたのが松本先生だった。天童が感じた違和感を受け止めた上で、「辞書を引いてみませんか」と提案。「て(手)」や「差し延べる」を引く中で、天童は「ナイフだと思っていた言葉が、本当は花束だった」と気づき、言葉の力を知る。その出会いが、天童を辞書編集の道へと導いたのだった。

堤真一が演じた五十嵐社長はドラマオリジナルの人物。これについて堤は。【こちら】で語っている。


■次回(第7話)予告:紙の辞書、消滅の危機!?

馬締は西岡の助けを借り、難攻不落の超人気ブックデザイナー・ハルガスミ(柄本時生)への装丁オファーを試みる。一方、紙の辞書を守るための秘策として、みどりは、過去のトラウマを乗り越えてSNS投稿を始める。さらに、荒木は、思いがけない遭遇によって、新たな気づきを得る。そして、ついに、社長・五十嵐を説得すべく、運命の取締役会プレゼンの日がやってくる…!


【放送】2025年6月17日(火)スタート<全10話>
 総合:毎週火曜22:00~22:45
 再放送(総合)毎週木曜24:35〜25:20 (※金曜0:35~1:20)
【原作】三浦しをん 『舟を編む』
【脚本】蛭田直美
【音楽】Face 2 fake
【演出】塚本連平 麻生学 ほか
【出演】池田エライザ 野田洋次郎 矢本悠馬 美村里江 渡辺真起子 前田旺志郎/岩松了 柴田恭兵 ほか

NHK「舟を編む 〜私、辞書つくります〜」HP

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