【韓ドラ歴史コラム】「暴君のシェフ」の時代背景は?イ・チェミンが演じる王のモデルは燕山君

08月21日23時30分ドラマ
画像出典:YouTube|暴君のシェフ | オフィシャル クリップ映像 | Netflixより
Netflixにて2025年8月23日より独占配信

Netflixで2025年8月23日より独占配信されるtvN「暴君のシェフ」(폭군의 셰프)は、料理と歴史、そしてファンタジーを大胆に融合させた話題作だ。

【「暴君のシェフ」を2倍楽しむ】では、全話あらすじと見どころ、キャスト徹底紹介、時代背景や豆知識など、ドラマを深掘りしていく。

【「Netflix」で独占配信の韓国ドラマはこちら】



■物語の舞台は?
約500年前(15世紀後半から16世紀初頭)の朝鮮王朝時代。フランス最高峰の料理大会で優勝した天才フレンチシェフ、ヨン・ジヨンが事故をきっかけに朝鮮へタイムスリップし、宮廷料理とフレンチを融合させた革新的な料理で王の心を掴もうとする。
暴君のシェフ画像出典:YouTube|暴君のシェフ | オフィシャル クリップ映像 | Netflixより
この時代は、朝鮮王朝成立から約100年が経過し、経済や商業が徐々に発展していた。農業基盤も徐々に拡大し、小農民も商取引に参加し始めて都市化・商業化が促進された。経済的には対外貿易の拡大と共に発展を見せた。ただし、政治的には中央集権体制の下で王権は強化されつつあったものの、内紛や権力乱用もあった時期でもある。

【朝鮮半島歴史年表】


■暴君イ・ホンは燕山君
劇中、宮廷を支配するのが、イ・チェミン演じるイ・ホン王。絶対的な権力を振るう一方で“暴君”と恐れられる存在だ。モデルとなっているのは、朝鮮王朝第10代国王・燕山君(ヨンサングン、在位:1494年~1506年)。

即位当初は腐敗を正そうとし、密使を全国に派遣して有能な人材登用に努めるなどの政策を行った。しかし、次第に新進官僚である【士林派】官僚との対立が激化し、「戊午士禍」をはじめとする大規模な粛清を行い、独裁的な圧政に転じた。

燕山君は贅沢な生活を送り、国家財政を悪化させたため、重税を課し、臣下の土地没収を試みたことで反発を受けた。さらに粛清を強化する「甲子士禍」を起こし、多くの権力者や反対派を処刑した。

こうした暴政に耐えかねた臣下たちはクーデターを起こし、燕山君は廃位、江華島に流され、その後まもなく亡くなった。燕山君の時代は政治的混乱と独裁的な圧政で特徴づけられ、朝鮮史上最も悪名高い暴君の時代とされている。

1494年:即位
1498年:「戊午士禍」で学者を粛清
1504年:「甲子士禍」で大規模な弾圧
贅沢な生活で財政悪化、重税強化
1506年:重臣のクーデターで廃位、流刑先で死去

苛烈な政治と圧政が渦巻く“暴君の時代”が、ドラマの舞台となっている。さらに詳しく知りたい方は【燕山君はなぜ稀代の暴君になったのか?】で詳しく紹介している。
【朝鮮王朝系図】



■燕山君が登場する他のドラマは?
(作品タイトル青文字クリックで作品詳細ページへ遷移)
MBC「朝鮮王朝五百年 雪中梅」(1984-1985年、日本未公開)配役:イム・ヨンギュ
KBS「韓明澮 〜朝鮮王朝を導いた天才策士〜」(1994年)配役:イ・ミヌ
KBS「王妃チャン・ノクス -宮廷の陰謀-」(1995年)配役:ユ・ドングン
KBS「王と妃」(1998-2000年)配役:アン・ジェモ
MBC「宮廷女官チャングムの誓い」(2003-2004年)配役チョン・ギソン
SBS「王と私」(2007年)配役:チョン・テウ、子役:チョン・ユンソク
JTBC「インス大妃」(2012年)配役:チン・テヒョン
MBC「逆賊-民の英雄ホン・ギルドン-」(2017年)配役:キム・ジソク
KBS「七日の王妃」(2017年)配役:イ・ドンゴン、アン・ドギュ(子役)
【ドラマの年表:朝鮮王朝】
※他にも小説や映画で燕山君が登場する作品は多い。



■「暴君のシェフ」のイ・ホンは?
単なる暴君のイメージを超え、美食家としての繊細な一面も併せ持つ複雑な人物として描かれている。彼の味覚の鋭さと、イム・ユナ(少女時代)扮するヨン・ジヨンとの交流を通じて見えてくる人間味あふれる姿は、本作の最大の見どころのひとつである。歴史の中で悪名高い燕山君を新たな視点から再解釈し、意外な魅力を引き出している点に注目だ。


暴君のシェフ画像:tvN「폭군의 셰프」
「暴君のシェフ」は、時代劇にタイムスリップ、グルメ、ロマンスを組み合わせた独自の世界観が魅力。宮廷美食の華やかさと歴史の暗部が交錯し、“暴君”の裏に潜む人間らしさに光を当てる。イ・チェミンがどのように燕山君を現代的に再解釈するのか、視聴者の期待が高まっている。

本作は、単なる時代劇やグルメ番組の枠にとどまらず、タイムスリップというファンタジー要素と宮廷の権力抗争、美食ロマンスを絶妙に融合させ、誰もが楽しめる豊かな世界観を作り上げているからである。歴史の重みと現代の色彩が交錯するストーリー展開に、多くの視聴者が惹きつけられることは間違いない。


kandoratop【作品詳細】【「暴君のシェフ」を2倍楽しむ】