NHK「未解決事件 File.07」世界的に美術界を揺るがせた ベルトラッキ贋作事件」11月22日放送

20時00分社会

世界の著名なコレクターが購入し、名だたる美術館が展示していた数多の名画――しかしそれらはすべて“贋作”だった。11月22日(土)22時から放送されるNHK「未解決事件 File.07 ベルトラッキ贋作事件〜世界をだました希代の詐欺師〜」では、美術史上類を見ない巨額詐欺事件の真相に迫る。



この事件の中心人物は、“天才贋作師”との異名を持つドイツ出身のヴォルフガング・ベルトラッキ。約40億円規模の被害を生み、発覚後もなお32点の贋作が行方不明のまま世界に散らばっている可能性がある。番組では、未解明の贋作の行方を追い、ベルトラッキ逮捕後も消えることのない“美術界の闇”に切り込む。

ベルトラッキの手口は、一般的な“模写”とは異なる。対象となる画家になりきり、その作風・人生・制作姿勢まで徹底的に追体験。あたかも“失われた名作”のように見せる“オリジナルの偽物”を生み出してきた。さらに、巧妙に捏造した来歴を添えることで、美術商やオークション会社すら欺いた。過去には約8億円で落札された贋作も存在し、その精巧さは世界を震撼させた。

日本でも昨年、高知県立美術館と徳島県立近代美術館が所蔵していた作品が相次いで“贋作”と判明。今年は岡山県のギャラリーにも疑惑が寄せられ、ベルトラッキの影響が国内にも及んでいることが明らかになった。

今回の番組では、ベルリン州警察が保有する捜査資料を独自入手。不明作品の痕跡を探るため、ホワイトハッカーがデジタル空間を解析し、スペインの国立美術館のデータに“贋作疑惑”の作品を発見。取材班は現地入りし、専門家による調査を実施した。その結果、この作品は本物なのか、それともベルトラッキの“幻影”なのか――。

さらに番組はベルトラッキ本人に直接取材。
“鑑賞者を裏切っているとは思わないのか?”という問いに対して、彼は次のように語る。

「私が描くのはコピーではない。新しい絵を生み出すんだ」
「私の贋作には100万ユーロ以上の価値がつくものもある」

反省の言葉はなく、今なお芸術家としての自負を語るその姿は、事件の不可解さをより際立たせる。

番組では、科学鑑定によって暴かれた“絵の具の嘘”、そして30年以上もの間、なぜ真贋が見抜けなかったのか、その構造的な原因を徹底検証する。ベルトラッキが逮捕されてからも行方不明の贋作が見つからない理由とは何か。美術市場の闇を照らす49分間となっている。

番組情報
未解決事件 File.07
「ベルトラッキ贋作事件〜世界を騙した希代の詐欺師〜」
放送日:2025年11月22日(土) 午後10:00〜10:49
配信:NHK ONE(新NHKプラス)同時配信・11月29日(土)まで見逃し配信

世界を欺いた巨額美術詐欺事件の“今”を追う必見ドキュメントとなっている。
未解決事件 File.07「ベルトラッキ贋作事件〜世界を騙した希代の詐欺師〜」
放送予定 2025年11月22日(土) 午後10時~10時49分
配信 NHK ONE(新NHKプラス)で同時配信・11月29日(土)まで見逃し配信予定
番組HP