【Netflix「恋は飴模様」】主演ハヨン、“4代続く医師一家”が思わぬ波紋 韓国で問われる「金のスプーン」報道

12時51分ドラマ
画像:하영(本人)Instagramより

Netflixシリーズ「恋は飴模様」(原題:이런 엿 같은 사랑)でチョン・ヘインとともに主演を務め、世界的な注目を集めている女優ハヨン。ところが今、韓国では彼女の演技や作品だけでなく、「4代続く医師一家」という華麗な家系が思わぬ形で話題になっている。

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「恋は飴模様」は、記憶喪失になった検事コ・ウンセ(ハヨン)と、自分こそ彼女の恋人だと主張するボクシングコーチのチャン・テハ(チョン・ヘイン)が、思いがけない同居生活を送ることから始まるロマンティックコメディ。運命的な縁で結ばれた2人が、笑いあり、ときめきありの恋模様を繰り広げる。➡【「恋は飴模様」を2倍楽しむ】

発端となったのは、ハヨンがドラマの宣伝のため出演したKBS2のバラエティ番組「屋上部屋の問題児たち」で明かした家族についてのエピソードだった。

ハヨンは番組で、曾祖父から祖父、父、姉まで医師が続く「4代続く医師一家」であることを紹介。さらに、曾祖父について「日本で西洋医学を学び、韓国で開業した最初の医師だったと聞いている」と語り、高宗皇帝を診察した人物であることも紹介された。

ところが放送後、曾祖父とされる近代医学者アン・サンホ(1872~1927)の過去をめぐり、韓国で親日的な活動があったのではないかとの疑惑が浮上。論争が急速に広がった。

当初、所属事務所はオンライン上で拡散している親日関連の内容について「事実無根」と反論していた。その後、ハヨン本人はSNSに直筆の謝罪文を掲載。「家族から聞いた話を通して曾祖父の人生を断片的に知っていた」としたうえで、今回、関連資料を調べる過程で曾祖父の親日的な行為を知ったと説明し、「後裔として心から謝罪する」と謝罪した。

一方、この騒動をめぐって韓国で今、別の問題も浮上している。

それが、芸能人の「家柄」をスターの魅力として紹介するメディアやテレビ番組のあり方だ。

■これまで「金のスプーン」として紹介されてきたハヨン

ハヨンは今回の騒動以前から、自身の華麗な家系や経歴が韓国メディアで取り上げられていた。4代続く医師一家という家系に加え、ハヨン自身も芸術教育のエリートコースを歩んできたことで知られる。

韓国芸能メディアでは以前から、こうした背景を「金のスプーン(금수저)」という言葉で表現する記事も登場していた。

「金のスプーン」とは、単にお金持ちの家庭に生まれたという意味ではない。親から受け継ぐ財産だけでなく、教育環境、学歴、職業、人脈など、社会に出る前から有利な条件を持っている人を指す言葉として、韓国では広く使われている。

もともとは韓国社会の格差や「生まれによって人生が決まる」という不平等を皮肉る意味合いを持っていた。

・金のスプーン(금수저):非常に裕福・社会的に恵まれた家庭
・銀のスプーン(은수저):比較的裕福な家庭
・銅のスプーン(동수저):一般的な家庭
・土のスプーン(흙수저):経済的に厳しい家庭


しかし近年の芸能界では、その言葉が必ずしも批判的な意味では使われなくなっている。

「実は医師一家のお嬢様だった」「家族に名門大学出身者が多い」「知られざるエリート一家」

――といった家柄が、本人の“意外な魅力”や“育ちの良さ”を示すエピソードとして紹介されるケースが増えているのだ。

■「金のスプーン」を持ち上げたメディアにも疑問の声

今回のハヨンをめぐる論争について、韓国の評論家ウィ・グンウ氏は、曾祖父の問題だけではなく、「4代続く医師一家」という家系そのものを華麗なプロフィールとして消費してきた芸能界やメディアの姿勢に疑問を投げかけている。

これまでハヨンについては、「医師一家の娘」「金のスプーン」など、家柄を強調するような記事が掲載されてきた。ところが、今回の問題が明らかになると、一転して「家柄自慢が問題だった」という厳しい論調が目立つようになった。

ここに疑問を呈する声がある。

そもそも、ハヨンの家系を「華麗な家柄」として紹介し、「金のスプーン」として持ち上げてきたのは誰なのか。

本人だけではなく、テレビ番組や芸能メディアもまた、その家系を一種の“スターの付加価値”として積極的に取り上げてきたのではないか――という指摘だ。

■「生まれた環境」までスターの魅力になる時代

今回の問題を考えるうえで重要なのが、「金のスプーン」という言葉の本来の意味だ。韓国で広がった「スプーン階級論」では、生まれた家庭の経済力や社会的地位によって人生のスタート地点が異なることを、金・銀・銅・土などのスプーンにたとえてきた。

つまり「金のスプーン」は、本来ならば社会に存在する格差への疑問を含んだ言葉だった。

ところが、それがいつの間にか、「実はお金持ちだった」「実は名門一家だった」「実はエリート家系だった」という“意外なプロフィール”を紹介するための言葉になっている。

そこには、親の財産だけでなく、教育や人脈、社会的な信用など、家庭から受け継ぐことのできるさまざまな資産が含まれている。

だからこそ、「金のスプーン」を単純に「すごい家柄」「うらやましい経歴」として消費することには、格差を見えにくくしてしまう側面もある。

■ハヨンだけを責める問題なのか

もちろん、今回の論争において、ハヨン自身の歴史認識について問う声が出るのは避けられない。

本人も謝罪文の中で、曾祖父について家族から聞いた話をそのまま受け止め、十分に調べないまま「家族の誇り」として語っていたことを反省している。

一方で、今回の騒動をハヨン個人だけの問題として終わらせてよいのか、という視点もある。

4代にわたる医師一家という事実を紹介する際、その家系がどのような歴史的背景の中で形成され、代々どのような教育や社会的資源を受け継いできたのか。そこまで考えずに、「金のスプーン」という言葉だけで華麗な家柄として消費してしまえば、家庭環境によるスタートラインの違いそのものが見えなくなってしまうからだ。

今回の騒動を受け、韓国では「先祖や家系を芸能人の宣伝材料として利用する文化そのものを見直すべきではないか」という議論も起きている。

■世界的なブレイクの矢先に起きた騒動

Netflixが発表した8月10日~16日のグローバルTOP10(非英語TVショー部門)で本作は1位に輝いた。ハヨンにとって今回の問題は、女優として大きな飛躍を迎えたタイミングで起きた。

Netflix「恋は飴模様」がグローバル1位!

ハヨンにとって本格的なロマコメ主演作となった。これまで「トラウマコード」などで存在感を示してきたハヨンにとって、チョン・ヘインとのW主演は大きなステップだった。

しかし、作品が世界に向けて公開された直後、本人が語った「4代続く医師一家」という家系が思わぬ形で注目されることになった。

今回の騒動は、ハヨン自身の歴史認識という問題に加え、韓国芸能界で「家柄」がどのようにスターの価値として消費されてきたのかという、より大きな問いも突きつけている。

「金のスプーン」は、本当に芸能人の魅力を語るための褒め言葉なのか。それとも、生まれた家庭によって生じる格差を見えにくくする言葉になってしまっているのか。

世界的な注目を集め始めたハヨンをめぐる今回の騒動は、韓国芸能界に根付く「家柄マーケティング」のあり方にも一石を投じている。

恋は飴模様「恋は飴模様」
ドラマ「恋は飴模様」は、Netflixで一挙独占配信中だ。

이런 엿같은 사랑 | 공식 예고편 | 넷플릭스(メイン予告)

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