最終回50%超えという驚くべき数字をたたき出したドラマが、今回おすすめの『私の名前はキム・サムスン』。日本よりTVドラマの枠が多く、ドラマをよく観る韓国では、当然視聴率も日本に比べて高め。しかし、そうは言っても、30%を超えるドラマは最近ではそうそう出てこない。それに、時代劇やホームドラマと違って視聴者の年齢層が若者よりになりがちなラブコメでこの視聴率とは驚く!
物語は、30歳の独身女性でちょっぴり太目の“サムスン”がクリスマスイブに恋人にフラれ、仕事もクビになる最悪の日から始まる。人生最悪の日に、サムスンはレストランの若き経営者ジンホンと“トイレ”で出会う。最悪の出会いから始まる二人の恋の行方は抱腹絶倒。でも、不思議、最後まで観ると、なんともサムスンが愛らしく、誰もが彼女を好きになる。人生で迷ったときに頼りにしたいナイスなセリフもぽんぽん飛び出し、なんだか前向きになる不思議なドラマなのだ。
ストーリーも素晴らしいが、小道具もうまく使っている。元来、韓国ドラマでは小道具を、実にうまく使いこなしている。「冬のソナタ」のポラリスのネックレス。「秋の童話」のゴルフのホールに仕掛けたネックレス。「ルル姫」の片方なくしたイヤリング。などなど。どれも宝物にふさわしい美しいものばかり。
ところが、このドラマの小道具ときたら“ブタのぬいぐるみ”!主人公二人の間を何度も行き来し、誰よりも二人の恋の行方を知り尽くしたお世辞にもかわいいといえない“サムスン・ブタ”。2005年、ドラマ放送後、韓国の街という街にはブタのぬいぐるみが氾濫していた。街だけでなく韓国の空港のショップでもサムスン・ブタが所狭しと陳列台に座っていた。ドラマを知らない外国の旅行者は、この見知らぬブタのお出迎えにさぞかし驚いたことだろう。
サムスン・ブタが象徴するように、このドラマには全く気取りがない。これまでの韓国の恋愛ドラマといえば、主人公は美しいヒロインのシンデレラと、スマートで気前のいい御曹司に決まっていた。ところが、このドラマのヒロインは、これまで映画で活躍してきた元スーパーモデルの女優キム・ソナが、8キロも体重を増やして役作りする必要があったというから想像がつくだろう。相手役のジンホンも、イケメンではあるが、相当お金にがめつく根性がひん曲がっている。この役は、当時新人のヒョン・ビンが大抜擢された。
キム・ソナは2005年MBC演技大賞と最優秀女優賞を受賞、ヒョン・ビンも最優秀男優賞を受賞し、その他の賞も総なめにし、なんと計8つの部門の賞獲得し、完成度の高い作品としても認められた。国民の半分が観たラブコメなんて、そうそうあるもんじゃない。今世紀№1のラブコメ、観ておいて絶対に損はない。
国民の半分が観たラブコメ『私の名前はキム・サムスン』
キャスト: キム・サムスン(キム・ソナ)、ヒョン・ジンホン(ヒョンビン)、ユ・ヒジン(チョン・リョウォン)、ヘンリー・キム(ダニエル・ヘニー)
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