敢えて型にはまったドラマを練り上げた倉本聰脚本の『冬の華』

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倉本聰がシナリオを手掛けたテレビドラマ『風のガーデン』が好調である。いま、丹念に作られたドラマが望まれているということなのだろう。
そんな倉本聰と高倉健が組んだ作品には、映画『駅』、テレビドラマ『あにき』などの傑作があるが、この『冬の華』もまた地味ながらよくできた映画なのだ。
それまで高倉健がヤクザ映画で演じてきた役柄を踏襲し、意図的に紋切り型のドラマを作り上げていく。そこからでさえ面白さは生まれるのだと主張しているかのようだ。

かつて関東の東竜会幹部、加納秀次(高倉健)は、裏切り者である松岡を殺害し、服役した。ただ、松岡には三歳になる洋子という一人娘があり、加納は服役中、ブラジルにいる伯父と偽って洋子との文通を続ける。
15年の刑期を終えて出所した加納は、洋子の手紙によく書かれていた喫茶店で彼女と出会うが、素早く立ち去るのだった。
やがて、加納の周囲で、再び15年前と同じ抗争が引き起こされる……。

倉本聰はところどころに笑いを仕掛け、ヤクザ映画になじみのない人にも楽しめるようにしている。
「義理と人情」という言葉が、意外と新鮮に感じ、索漠たる現代には必要なのかと思わせられてしまう。
  • 監督: 降旗康男
  • 高倉健、池上季実子、北大路欣也
  • 年月日 ~ 年月日

(c)東映