この『愛と希望の街』から松竹ヌーベルバーグはスタートした。

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かつて「松竹ヌーベルバーグ」と呼ばれた映画界の新しい波があり、その旗手が大島渚であった。
そんな大島渚の記念すべきデビュー作が『愛と希望の街』。若者たちが「60年安保」闘争に燃えていた時代であり、社会的な階層の歪みを、劇映画として焼きつけた記念碑的な作品でもある。

街頭で、つがいの鳩を売る少年、正夫(藤川弘志)。実は、正夫の売る鳩は買った先から何度も戻ってきており、いわば詐欺のような商売をしていたのであった。病弱の母と妹の三人暮らしの正夫は、そうやってお金を稼いでいたのだ。
ある日、大会社の社長令嬢、京子(富永ユキ)がその鳩を購入する。一羽が、やはり逃げ出すが、途中でケガをして死んでしまう。
そんな正夫も中学を卒業したら働かねばならない。就職先を探して悩んでいたが……。

もともとのタイトルは「鳩を売る少年」であり、こちらのほうがよほど良いと思うのだが、なぜか、無味乾燥な題名に変えられてしまったようだ。
ラストシーンは衝撃的であり、また、いろいろな解釈が可能である。そのあたりが、「新しい波(ヌーベルバーグ)」なのだろう。
後の大島作品常連となる渡辺文雄が京子の兄役で出ており、独特のクセのある芝居を見せている。
  • 製作:池田富雄/監督:大島渚/脚本:大島渚/撮影:楠田浩之/音楽:真鍋理一郎/美術:宇野耕二/照明:飯島博/録音:栗田周十郎/編集:杉原よ志/助監督:田村孟
  • 勇次:渡辺文雄/京子:富永ユキ/秋山:千之赫子/正夫:藤川弘志/保江:伊藤道子/泰三:坂下登/いさ子:瓜生登代子/久原:須賀不二夫/くに子:望月優子
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