大島渚監督の力量を世に知らしめた出世作である。デビュー作に比べ、描写はより鮮烈になり、扱われる題材もさらに衝撃的になっている。
本来、大島に少し先駆けて、日活の石原裕次郎の初期作品にも似た匂いがあったのだが、裕次郎が国民的スターになるに従って、脱色された健全さが押し出されるようになった。明るく、前向きな青春映画が増えいくことになる。
そんな当時としては、こうした大島作品はかなり異色だった。ただ、観客はこのリアルさに惹かれていったのだ。
女子高生の真琴(桑野みゆき)と陽子(森島亜紀)は、夜遊びの後、家まで送らせるため男を引っかけていた。ある夜、そうやって引っかけた中年男にホテルに連れ込まれそうになるが、大学生の清(川津祐介)に助けられる。おまけに清は中年男からお金を脅し取ったのだ。
付き合いはじめ、やがては同棲する真琴と清。お金を稼ぐために美人局を試みるのだが……。
この作品で「松竹ヌーベルバーグ」という言葉もまた確立したのだろう。
タイトルに示された「青春の残酷さ」は、とくに10年ほどを経た後の日本映画に多大な影響を与えることになる。
きれいごとでは済まされないリアルな青春を描いた『青春残酷物語』。
スタッフ: 製作:池田富雄/監督:大島渚/脚本:大島渚/撮影:川又昂/音楽:真鍋理一郎/美術:宇野耕司/照明:佐藤勇/録音:栗田周十郎/編集:浦岡敬一/助監督:石堂淑朗キャスト: 新庄真琴:桑野みゆき/藤井清:川津祐介/秋本透:渡辺文雄/伊藤好巳:田中晋二/樋上功一:林洋介/寺田登:松崎慎二郎/西岡敏子:富永ユキ/石川陽子:森島亜紀/津田春子:堀恵子/下西照子:小林トシ子/マーキュリーの紳士:森川信/松木明:佐藤慶/フォードの男:田村保/坂口政枝:氏家慎子/新庄正博:浜村純/ぐれん隊の男:水島信哉/刑事:佐野浅夫/刑事:宮坂将喜/吉村茂子:俵田裕子/パッカードの紳士:山茶花究/堀尾敬三:二本柳寛/新庄由紀:久我美子配信期間: 年月日 ~ 年月日
(C)1960松竹株式会社
54件中1~10件を表示しています。
-
戦時中に作られた『陸軍』に挟み込まれた庶民の戦争観
エンタテインメント邦画スペクタクル[年月日 ~ 年月日] -
戦国時代、「政治」と深く関わった文化人『利休』
エンタテインメント邦画歴史・時代劇 -
VHS誕生秘話をドラマとして描いた『陽はまた昇る』
エンタテインメント邦画ドラマ[年月日 ~ 年月日] -
近未来の日本を舞台に、子どもたちの凄絶な闘いが展開する『バトル・ロワイアル』
エンタテインメント邦画アクション[年月日 ~ 年月日] -
懐かしのパソコン通信時代のネット恋愛を描いた『(ハル)』
エンタテインメント邦画恋愛[年月日 ~ 年月日] -
いくつもの人生の交錯を爽やかに描いた内田けんじ監督の『運命じゃない人』
エンタテインメント邦画恋愛[年月日 ~ 年月日] -
事件からもう40年なのか!石井輝男監督、小川真由美主演でおくる”ファクション”の傑作『実録三億円事件 時効成立』
エンタテインメント邦画アクション -
5度も映画化された『肉体の門』、1988年公開版は、かたせ梨乃・名取裕子ら豪華キャスト
エンタテインメント邦画ドラマ -
美しき母娘の関係の心情の複雑さを描く『秋日和』
エンタテインメント邦画ドラマ[年月日 ~ 年月日] -
中年夫婦の倦怠感を冷静に見据えた小津作品『お茶漬の味』
エンタテインメント邦画ドラマ
54件中1~10件を表示しています。