日本人は「忠臣蔵」が好きである。とにかく、登場人物も多彩で、いろいろなドラマが詰まっているし、大団円の後の散りゆく儚さもまた日本風である。
これまで何度も映画化、ドラマ化、小説化されてきており、名作、秀作、佳作も数多い。
『柳生一族の陰謀』以来の深作欣二・萬屋錦之介コンビによる『赤穂城断絶』は1978年の作品だが、この時点で忠臣蔵としては25本目の映画だそうである。
『柳生一族の陰謀』が斬新な歴史解釈による時代劇だったのに対して、こちらは極めてオーソドックスである。
お家断絶、大石内蔵助を初めとする浪人たちの雌伏ぶり、幕府側の思惑と、まさに定型のドラマ作りである。
ただ、それでもなお十分に楽しめるのは、大石内蔵助を演じる萬屋錦之介の芝居の見事さだろう。やはり時代劇は、それなりの作法を身につけた人が演じることによって一気に重みを増す。
一方で、討ち入り場面での剣劇シーンの迫力は、さすが深作作品である。中でも赤穂義士の一人不破数右衛門(千葉真一)と、吉良側の小林平八郎(渡瀬恒彦)の対決は見ごたえがある。
正統派忠臣蔵を堪能しつつ、スピード感溢れるドラマや活劇も楽しめる贅沢な作品である。
深作欣二と萬屋錦之介コンビによる重厚なる忠臣蔵『赤穂城断絶』。
スタッフ: 監督: 深作欣二キャスト: 萬屋錦之介、千葉真一、松方弘樹配信期間: 年月日 ~ 年月日
(c)東映
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