ネットで楽しむオーケストラ モーツァルト 交響曲第40番ト短調 K.550

モーツァルトは、いわゆる後世に「三大交響曲」と呼びならわされることになる三つの交響曲(第39~41番)を、1788年(天明8年・作曲家32歳)の6月~8月にかけて作曲した。この有名な交響曲群については、肝心の作曲の動機が謎のまま。天下に名高いモーツァルトといえども、いまだわからないことは多いのである。モーツァルトは三曲でワンセットとなるような交響曲集の出版をもくろみ、それに合わせてこの作品を作曲した、という説が、現在有力とされている。1786~87年にヨーゼフ・ハイドンと、その弟ミヒャエル・ハイドンが同様の方法で三曲の交響曲を出版しており、どうやらモーツァルトは同じ出版社から同じ形での出版を打診された、ということらしい。モーツァルトが短調の作品を作曲する際は、その曲に何らかの意味合いがこめられているといわれる。しかし、もしこの説が本当だとすれば、第40番のト短調という調性は、単にヨーゼフのそれに合わせたに過ぎない、ということになる。この交響曲をめぐる「短調」へのロマンは、あっけなく崩れ去りそうだ。この曲が作曲家の生前に演奏されたかどうかも、定かではない。とはいえ、第40番に関しては、演奏用パート譜にモーツァルト自身の書き込みが残されていること、そして、クラリネットを加えた第二版が存在することなどを考え合わせれば、生前に演奏されたことはほぼ疑いないと考えて良いのではないだろうか(なお、この演奏ではクラリネットを用いない版が用いられている)。
  • 日本
  • クリスティアン・アルミンク指揮 新日本フィルハーモニー交響楽団
  • 再生時間 : 23分13秒
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    800k
  • 無料

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