「トンイ」の舞台、19代粛宗は絶対君主の最後の強い王!年表と地図で朝鮮王朝を知る-NHK

2011年05月06日10時01分ドラマ

朝鮮王朝は1392年~1910年の500年以上も続いた王朝である。この時代が半島の歴史のどのあたりに位置するのか、韓国歴史年表を見てみよう。

(ここからは、いろいろなページを参照します。必要がなくなったページは閉じてください。また、このページは文末の■粛宗を知る以外は、「イ・サン」を2倍楽しむの(2)からの転載です。既読の方は、とばして■粛宗を知るのみをお読みください)

古朝鮮から始まった半島の歴史は神話時代から三国時代まで大小の国家があったが、7世紀に入り高句麗、百済の強国を新羅が倒しほぼ現在の朝鮮半島全体に及ぶ全土を統一した。(これについては、「善徳女王」を2倍楽しむで紹介)
当時の地図は韓ドラここが知りたい!に、他の時代の地図と一緒に掲載したので一通り目を通しておこう。


栄華を誇った新羅王朝も935年に滅亡し、取って代わったのが高麗王朝である。その高麗王朝も北からは蒙古、南方からは倭寇に苦しめられ滅亡し、14世紀末には朝鮮最後の王朝李氏朝鮮時代が始まったのだ。(それぞれの王朝時代については、ドラマで知る韓国の歴史を参考にされたい)

李成桂が初代国王・太祖となった朝鮮王朝は、建国当初から権力争いで波乱の船出だった。朝鮮王朝系図で、太祖から27代の純宗までの王を見てみよう。この中で4代王の世宗はハングルを制定し歴代最も優れた王と言われ、王朝の全盛期を築いた。他にも7代世祖、9代成宗など名君と呼ばれる王が誕生したが、成祖王のあたりから政治派閥(党派)の争いが激化し、党派の支持する王を擁立するための反乱が幾度となく繰り返された。(党派については次章で詳しく紹介するが[朝鮮王朝豆知識]に簡単に紹介しているので確認しよう)。

豆知識でも紹介しているが、当時は身分制度も厳しく、王族に次ぐ身分の両班から、売り買いの対象にもされた賎民と呼ばれる奴婢まで厳しい格差があった。しかし、手柄や懲罰によりこの制度の入れ替えは頻繁にあり、当然、それを目的にさまざまな裏取引や謀略がはびこった。
そのもっとも代表的なものが、王族との姻戚関係を結ぶ、つまり妻としてまたは側室として身内を送り込むことだった。ドラマの年表(朝鮮王朝編)を開いてみよう。これは、朝鮮王朝が舞台のドラマを年表にしたものだが、ほとんどが党派の争いを描いていることに驚く。中でもピンク色にマークしたドラマは、日本で言う“大奥”のようなお世継ぎに絡む宮廷絵巻物語。

そんな朝鮮王朝最大の悲劇は、名君と謳われた成宗の息子10代燕山君(ヨンサングン)が運んできた。「チャングムの誓い」でも描かれたこの王は稀代の暴君として歴史に名を残した。燕山君については、三大悪女-「王の男」で詳しく解説している。そして、この燕山君の側室として日夜享楽にふけり民衆から憎悪されたのがチャン・ノクスである。特に、チャン・ノクスと、ドラマの年表にある、11代中宗王時代の「女人天下」ヒロイン、チョン・ナンジョンと、19代粛宗王時代の「張禧嬪」ヒロイン、チャン・ヒビンの3人は政治を我が物にした悪女として“三大悪女”と呼ばれ恐れられ、憎悪の対象となった。

加えて二度の戦乱(壬辰倭乱=文禄・慶長の役)などにより王朝は疲れきり、民の生活は厳しいものこの上なかった。

■粛宗王とは?
粛宗は、1674年~1720年まで在位した朝鮮王朝第19代王。1661年8月15日 (旧暦)に生まれ、1667年に王世子に冊封、1674年8月に14歳で朝鮮国王に即位。朝鮮王朝系図を見てみよう。(系図の年齢は即位年から生年を単純に引いたものなのであしからず)
この系図を見るときのポイントは、“長男”かどうか。嫡男の長男至上主義なので、長男以外の者が王位についている場合は要チェックだ。粛宗の即位はまず問題は無いものの、13、4歳という若さ。通常なら垂簾聴政を受けるところ、直接国を統治した。ここからもわかるように、なかなか気骨のある人物だったようだ。

「チャングム」の舞台背景となる中宗(9代)以降、勢力を盛り返した「志林派」は、西人派と東人派に分裂し、粛宗の時代には、「西人派」と東人派から分裂した「南人派」との対立が激化していた。粛宗の治世では政治論争が尽きなく、一日として静かな日はなかったという。そこで、粛宗は、政策的には15代王の光海君の後を引き継ぎ、朝廷内では、さまざまな党派争いで弱くなった王権を回復するために、党派の力を弱める目的で重要官僚を入れ替える「換局」を3度も行った。

政治手腕もなかなかのもので、光海君が京畿道に実施した大同法を拡充し全国的に実施した。当時の地図で確認しよう。この大同法とは、従来の現物貢納を地税に一本化して、両班たちによる中間搾取をおさえ、国家財政の確保をはかった税法。当然“おこぼれ”を頂戴できなくなった両班たちの反発も強かったはず。このあたりは、曾孫の正祖イ・サンがドラマ21、22話で行った市場流通を変える辛亥通共にどこか通じるものを感じる。こうして粛宗は、壬辰倭乱(文禄・慶長の役)の戦火によって荒廃した農村の復旧と枯渇した国家財政を立て直し、民生安定と経済発展に相当な業績を残した。

粛宗という王を一言で言い表すと、衰弱した朝鮮王朝に新風を吹き込んだ絶対君主の「最後の強い王」とでも言えばいいのだろうか。名優チョン・グァンリョルとキム・ヘスで演じたドラマ「張禧嬪(チャン・ヒビン)」では、チャン・ヒビンに振り回されるデレデレぶりの情けない姿も見せたが、「トンイ」ではチ・ジニがどんな王の姿を見せてくれるのか楽しみだ。

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NHKBSプレミアム「トンイ」番組サイト


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