最終回に寄せて…「推奴-チュノ-」が伝えたかったこと。第2回お気に入りキャラ投票結果発表!予告動画

2011年09月10日03時21分ドラマ

「推奴」最終回まで観終えた感想はいかがでしたか?まずは、2011年8月5日~9月8日までの【あなたの好きなキャラ№1】の投票結果を発表しますね♪ 今回は2回目となりすが、1回目以上に得票に差がついたようです。どの登場人物も素敵でしたが、やはり最終回まで観てしまうとテギルのキャラは際立ちましたね。ということで人気キャラは前回に引き続き、今回もテギルが1位でした。オッポクに1票も入らなかったのは少々残念です。

推奴結果「推奴」第2回人気投票の結果(2011.8.5~9..8)」

さて、ナビコンの「2倍シリーズ」には、読者の方からたくさんのお問い合わせや応援メールをいただきます。そんな中からいくつかの質問にお答えします。

①韓国の歴史を知るための書籍を教えてください。
回答:朝鮮王朝のことなら「承政院日記」「朝鮮王朝実録」に詳しく書かれていますが、あくまでも王室がらみのことだけです。これについては朝鮮王朝豆知識に【◆歴史記録書】で紹介しています。
その他「わかりやすい朝鮮社会の歴史」(明石書店)、「韓国の歴史」(河出書房)、「知れば知るほど面白い 朝鮮王朝の歴史と人物」(実業之日本社)などありますが、、ドラマを楽しむために歴史の勉強をするなら、韓国ドラマの解説をかねた歴史のムックが各社から出ています。これなら、ドラマと絡めて勉強できるので便利です。ナビコンの韓ドラここが知りたいの【ドラマを楽しむための便利なツール】とあわせてご覧になれば、かなりの歴史通になれるかと思います。ただし、あくまでも歴史ドラマを楽しむための知識とお考えください。正史とは大きく異なったり、フィクションだったりすることが多いです。ページの下に色々紹介しておきます。

②推奴師という職業は本当にありましたか?
回答:まず奴婢は物品と同じく売り買いの対象にされていたことを理解してください。奴婢は一度奴婢になったらその子供も奴婢という“一賤則賤”という掟がありました。奴婢には、国が管理する官(公)奴婢と個人が所持する奴婢とがあり、両班たちはお金に困った平民を奴婢としたり、男の奴婢と平民の女を結婚させ、妻子を奴婢にして個人の奴婢=財産を増やしました。こうして、奴婢の数はどんどん増え、18世紀にはなんと奴婢が人口の40%以上、両班は7%~8%、残りの50%が中人・常民(平民)という人口比になりました。両班以外の暮らしぶりはともて厳しく、当時はたった1割にも満たない両班が豪華な暮らしをするために残り9割が厳しい生活を余儀なくされたのです。政府は、奴婢が増えすぎると税収が減り、両班の力が大きくなるため、「奴婢従母法」という法で、男の奴婢と平民の女が結婚した場合、生まれた子供は母と同じ平民になるという法や、逆に「奴婢従父法」で対抗しました。特に顕宗以降、西人派とと南人派の対立が激しくなると、ルールはコロコロ変わりました。
それでも奴婢たちの暮らしぶりは厳しく、逃げ出して盗賊や反乱族に加わったりするものも出てきました。ドラマ「快刀ホン・ギルドン」で、両班の父と奴婢母の間に生まれた主人公が“活貧党”という盗賊団を結成するというエピソードを盛り込んでいます。こうしたことを防ぐために、政府は「推刷都監」という官庁を設け、国家レベルで逃げた奴婢を定期的に連れ戻しました。両班たちも、テギルたちのような推奴師に連れ戻させたりしたのでしょうね。もっとも、彼らを“チュノ”と呼んだかどうかはわかりませんが…。ところが、「推刷都監」が奴婢を虐待し、その手口もどんどん残酷になったために、「イ・サン」の主人公である22代王の正祖が「推刷都監」を廃止し、さらに、「官奴婢」を解放しました。しかし官奴婢以外は、朝鮮王朝の最後まで残りました。

③「推奴」の終わり方(テギルの死)に納得がいきません。
回答:お名前はありませんでしたが、きっとテギルファンでしょうね。これについては、筆者はドラマの作者ではないので、個人的な意見でお答えしますね。
ここからは、ドラマのネタばれをしていますので、必ず最終回まで観てから先をお読みください。
「推奴」は“推奴師”を主人公に据えています。多くの韓国時代劇はお家騒動や謀反を描くものが多いです。ところがこの作品はこれまでのそうした作品とは全く趣を異にしています。この作品は、“政府vs反政府”とか“革命勢力vs保守勢力”といったものではなく“個人vs個人”あるいは“個人vs時代”を描いています。登場人物も実に様々で、彼らの抱える事情もいろいろ。テギルの無茶な生き方に対して、テハの高尚な意見。しかし、意外にもテギルの方が時代を読んでいたり。チョルンは単にテハへの嫉妬心で官軍側に回り、奴婢団のオッポクは両班成敗をしながらも妙に哲学的な悩みを抱えていたりと、個人が個人の事情で時代に立ち向かう姿が新鮮でした。
そもそもテギルは初恋探しのため、チェ将軍とワンソンはお金のために推奴師になり、テハは特に思想はなかったが主君の頼みで反乱軍を指揮することになり、オンニョンは自分の初恋のために婚家から逃げ出している。“お家のため”的なこれまでのドラマからは考えられない人物設定ですね。しかし、歴史というものは、意外とそうした個人たちの足跡の寄せ集めに、後で体裁を整えたものかもしれませんよ、と制作者が言っているような気がしました。
ところでドラマは、あまりの人気のために当初の予定より話数を伸ばしたようです。ワンソンも途中で死んでいたはずだったとか。確かにあの設定で生きているのは不思議ですね。ワンソンを生かして、何故テギルを殺す!と、テギルファンの筆者は訴えたいが、ドラマの最後までを観て、制作サイドは「それでも生きていく」「それでも明日は来る」ということを伝えたかったように感じました。テギルが“それでも”の役目を任されたのでしょうね。
テハは、反乱に失敗しましたが、来るチャンスを狙うため、結果的にテギルを犠牲にして王子と生きのびます。オンニョンは、初恋の人テギルに助けられましたが、テハとともに生きる道を選びます。殺人鬼と化したチョルンは、テギルの「世の中を恨んでも、人を恨むものじゃない」の言葉に、妻の元に戻りました。チュノ(C) 2010 KBS. All rights reserved そして、テギルの仲間チェ将軍とワンソンは、テギルの死を嘆きながらも、彼が残してくれた土地で平和に暮らしていくことでしょう。テギルの死を看取ったソルファも、きっといつか愛する人の死を乗り越えて、生来の明るさを取り戻して、また楽しく民謡を歌うのでしょうね。
つまり、どんなに辛いことも悲しいことも人は乗り越えられる。時が経てはきっと新たな希望が現れる。ということを伝えたかったのではないでしょうか?その役をテギルが請け負った…最終回の最後の最後、テギルが伸ばした手の先に、みんなの希望が見えたような気がしました。
正直なところ、ドラマの延長のためか、中盤以降ほんの少しだけ、中弛みも感じましたが、それでもストーリー、アクション、音楽、そして何よりキャスト陣の演技が最高でした。ということで、筆者には満足のいくラストでした。(^-^)

長い間お付き合いくださりありがとうございました。【韓ドラここが知りたい】には、他にもたくさんの2倍シリーズがありますので、そちらでもお楽しみください。     (2011.9.10 -完-)


kandoratop【作品詳細】【「推奴-チュノ-」を2倍楽しむ】

作品情報
■発売・レンタル:カルチュア・パブリッシャーズ
■(C) 2010 KBS. All rights reserved
■2010年、KBS、全24話
■キャスト:チャン・ヒョク、オ・ジホ、イ・ダヘ、キム・ジソク、
        イ・ジョンヒョク、コン・ヒョンジン
■スタッフ:監督・演出=クァク・チョンファン、脚本:チョン・ソンイル

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